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膝の痛みの原因は?診断・治療方法や再生医療についても解説

 公開日:2024/05/30
膝の痛みの原因は?診断・治療方法や再生医療についても解説

膝の痛みは男性・女性・年齢に関係なく、多くの人々が経験する可能性があります。特にスポーツをする人や高齢者に多く見られ、進行すると日常生活にも支障をきたすでしょう。

膝の痛みに対処するためには、原因や治療法をしっかり理解することが大切です。普段から注意していれば、予防策を講じることや、痛みの軽減に役立ちます。

本記事では、膝の痛みの原因についてご紹介します。また、膝の痛みの診断・治療方法や再生医療についても詳しく解説しますので参考にしてください。

野本 聡

監修医師
野本 聡(足立慶友整形外科)

プロフィールをもっと見る
1982年:慶應義塾大学医学部卒業
1982年:慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局
1999年:済生会神奈川県病院整形外科リウマチ科部長
2013年:慶應義塾大学医学部客員講師
2014年:東邦大学薬学部客員教授
2013年:済生会横浜市東部病院運動器センター長/整形外科部長
2018年:プライムコースとみなとみらいクリニック院長/理事長
2020年:足立慶友整形外科リウマチ科副院長
2021年:足立慶友整形外科リウマチ科院長

膝の痛みの原因は?

膝の痛みの原因は?
そもそも、膝の痛みは何が原因で発症するのでしょうか。膝の痛みの原因としては、主に次の3つの疾患が考えられます。

  • 膝関節症(変形性膝関節症)
  • 半月板損傷
  • 靭帯損傷(内・外側、前十字、後十字)

それぞれの疾患について詳しく説明します。

膝関節症(変形性膝関節症)

1つ目の原因として考えられるのは、膝関節症です。これは、主に膝関節の軟骨が劣化したり、摩耗したりすることによって引き起こされる関節疾患です。軟骨が摩耗することにより、骨同士が直接触れるようになり、痛み・腫れ・動きの制限などにつながります。
膝関節症の原因はいくつか考えられ、一般的なものとして挙げられるのは加齢による軟骨の摩耗です。また、体重増加や肥満により膝に過度の負担がかかり、軟骨が摩耗するケースもあります。

半月板損傷

2つ目の原因として考えられるのは、半月板損傷です。半月板とは、膝関節の中の大腿骨と脛骨の間にある軟骨組織です。半月板には関節に加わる体重の負荷を分散させたり、関節の位置を安定させたりする役割があります。主にひねる動きのような膝に過度の圧力がかかる動作が原因で半月板が壊れてしまうのが、半月板損傷です。
サッカーやバスケットボールなど、急激な方向転換やジャンプが見られる競技でよく発生します。また、加齢により半月板が劣化し、少しの衝撃が加わるだけで損傷する場合もあります。

靭帯損傷(内・外側、前十字、後十字)

3つ目の原因として挙げられるのは、靱帯損傷です。靱帯は関節の骨の先端部に付いている線維性の結合組織です。靱帯は骨同士をつなぐだけでなく、関節の動きをコントロールする働きがあります。
靱帯損傷は、サッカー・スキー・バスケットボールなどの運動による急激な方向転換・不自然な着地・直接の衝撃により引き起こされる場合があります。また、転倒・転落・交通事故など日常生活における外傷も原因の一つです。
靱帯を損傷すると、膝の痛み・腫れ・膝をうまく動かせないといった症状がみられます。

膝の痛みの検査・診断方法

膝の痛みの検査・診断方法
膝の痛みがある場合の検査・診断はどのような方法で行うのでしょうか。具体的には、次の3つのステップに従って行います。

  • 痛みの原因について詳細に診断
  • 個別の治療計画の立案
  • 治療の進行と患者さんのフォローアップ

最初に、痛みの原因を詳細に診断します。医師による問診・視診に加え、膝を押したり曲げたりするなどの触診により病状を確認します。症状によっては、レントゲン・CT・MRIなどの画像検査を行って、より詳しく調べます。また、血液や関節液などの検査を行う場合もあります。関節が痛んで炎症を起こしていたり、関節リウマチが原因だったりする場合は、免疫系に反応が見られます。
次に、膝の痛みの程度や原因に応じて、医師は個別の治療計画を立てます。後で詳しく説明しますが、膝の痛みの治療法には、薬物療法・物理療法・リハビリテーション・手術療法・再生医療などがあります。膝の痛みの原因や症状は一人ひとり異なるため、治療方法もかわってきます。個別の治療計画を立てることで、患者さんに適切なアプローチを選択します。
最後のステップは、治療計画に基づいて治療を進めることと、フォローアップです。膝の痛みは、長期化する場合もあるため、注射・薬物療法・リハビリテーションなどの治療を継続的に行うことが重要です。また、定期的に検査を行うといったフォローアップにより、より効果的な治療を行えます。

膝の痛みの治療方法

膝の痛みの治療方法
膝の痛みがある場合、原因や症状に合わせてさまざまな治療方法があります。多くの病院では、次の4つの治療方法が用いられるケースが多いでしょう。

  • 薬物療法
  • 物理療法
  • リハビリテーション
  • 手術療法

それぞれの治療方法について詳しく解説します。

薬物療法

薬物療法は、薬物を用いて膝の炎症や痛みを抑える治療法です。薬物には主に外用薬と内服薬があります。外用薬にはクリーム・軟膏・ゲル・湿布などがあり、これには非ステロイド系抗炎症剤が含まれています。内服薬は膝の痛みが激しい場合に用いられ、短期間で効果が出やすいことがメリットです。
内服薬の種類は、非ステロイド系の消炎鎮痛剤であるジクロフェナク・ロキソプロフェン・インドメタシンなどと作用機序の異なるアセトアミノフェンが挙げられます。ただし、内服薬は長期間の服用によって副作用の危険性があるため、痛みが緩和してきたら外用薬に切り替えることが多いです。外用薬や内服薬以外では、膝の関節にヒアルロン酸を注射する「関節内注射」といった方法もあります。

物理療法

物理療法は、膝に光・熱・電気的な刺激を与え、痛みや炎症を抑える治療方法です。膝を温める「加熱療法」と、反対に膝を冷やす「寒冷療法」があります。どちらの療法が行われるかは膝の症状によります。一般的には、炎症がある場合には寒冷療法、炎症がない場合や腫れが引いてきたら加熱療法が行われます。
加熱療法の場合、赤外線・レーザー・ホットパックなどを使用して膝を温めます。膝を温めることにより血行が促進され痛みの軽減につながったり、可動域の拡大に役立ちます。また、寒冷療法の場合は、冷湿布や冷やしたタオルなどを使用して膝を冷やします。

リハビリテーション

リハビリテーションは膝の痛みの治療方法の一つです。リハビリテーションは、保存療法として行われる場合と、手術後に行われる場合の2種類があります。
膝の痛みが進行すると痛みで脚を動かさなくなるため、膝の周りの筋力が低下し関節の安定性が悪くなります。結果としてさらに膝に負担がかかり、痛みが強くなる場合があります。
リハビリテーションにより、膝の周りの筋肉を鍛えて膝にかかる負担を軽減することを目指します。リハビリテーションの具体的な方法には、関節の可動域を維持するためのストレッチ・膝周りの筋肉を鍛えるトレーニング・体重軽減のための有酸素運動などがあります。

手術療法

膝の痛みが重度で、薬物療法や物理療法などの保存療法を行っても効果が見られない場合、手術療法が検討されます。手術療法には、損傷した半月板を修復したり断裂した靭帯(特に前十字靭帯は手術が必要になる場合が多い)を再建したりする「膝関節鏡視下手術」や、膝関節全体あるいは一部に人工関節を挿入する「人工関節置換術」などがあります。また、膝関節の骨の一部を切って関節の形を矯正する「高位脛骨骨切り術」も挙げられるでしょう。
患者さんの膝痛の原因別に、また疾患の重症度に応じて、膝関節鏡視下手術や高位脛骨骨切り術、人工関節部分置換術または全置換術が行われます。膝の関節軟骨だけでなく、骨まで破壊されている重度の症状では、人工関節置換術が行われるケースもあります。患者さんの症状や身体の状態に合わせて手術方法が決定されます。

膝の痛みの治療には再生医療という選択肢も

膝の痛みの治療には再生医療という選択肢も
ここまで、一般的な膝の痛みの治療を紹介してきましたが、最近では「再生医療」という選択肢もあります。再生医療は患者さん自身の組織や細胞を活用して、膝の関節の痛みや炎症を緩和する治療方法です。この治療にもいくつかの種類があり、具体的には次のような方法があります。

  • 幹細胞療法
  • プレートレットリッチプラズマ療法(PRP療法
  • 軟骨細胞移植

それぞれの方法について詳しく解説します。

幹細胞療法

幹細胞療法は、患者さん自身の体から採取した幹細胞を膝の損傷部位に注射することにより、軟骨などの再生を促す治療方法です。当院では脂肪由来幹細胞を使用しますが、この細胞には自身のコピーを作る「自己再生能」と骨や軟骨などのほかの組織に分化する「多分化能」があります。そのため、損傷した部位を修復できる可能性があります。自身の体から細胞を採取するため、他人の病気に感染する可能性がないこともメリットです。デメリットとは、自費診療のため費用が高くなることや効果には個人差があることなどです。費用相場は900,000〜1,500,000円(税込)程度となります。

プレートレットリッチプラズマ療法(PRP療法)

プレートレットリッチプラズマ療法(PRP療法)は、患者さんの血液から多血小板血漿(=PRP)と呼ばれる血小板を多く含んだ成分を抽出し、膝の患部に注射する治療方法です。血小板には成長因子という物質が多く含まれていることから、傷ついた組織の修復を促す働きがあると考えられています。
そのため、組織の自己修復作用や抗炎症作用を高め、患部の回復を早めることにつながります。
PRP療法のメリットは、自分の血液から作り出すため副作用が少ないことや、ダウンタイムが短いことが挙げられます。デメリットは、治療効果に個人差があることや、治療中や治療後に痛みを伴うことなどがあります。費用相場は、1箇所につき50,000〜300,000円(税込)程度です。

軟骨細胞移植

軟骨細胞移植は、患者さんから健康な軟骨細胞を採取し、体外で培養します。その後、損傷した軟骨に移植することにより、軟骨の再生を目指す治療方法です。軟骨は血流が少ないため、損傷すると自然治癒は難しいと考えられていました。
しかし、軟骨細胞移植を行うことにより、軟骨の修復が起こることがわかってきました。この方法は主に、軟骨に損傷がある膝関節症の治療が対象になるでしょう。軟骨細胞移植では、軟骨を関節鏡視下手術によって採取し、軟骨損傷部位に主に切開手術により移植します。
メリットは患者さんの軟骨組織を使用するため副作用が少ないことや比較的大きな軟骨損傷にも適用できることなどがあります。デメリットは病態によっては適応できないことなどです。また、軟骨細胞移植は保険適用となります。費用の詳細に関しては、かかりつけの医院へお問い合わせください。

膝の痛みでお悩みなら足立慶友整形外科にご相談を

足立慶友整形外科内観
ここまで膝の痛みの原因や治療方法について詳しく解説しましたが、膝の痛みでお悩みなら、足立慶友整形外科に相談してみてはいかがでしょうか。

足立慶友整形外科は東京都足立区にあるクリニックで、膝の痛みを始めとし頸(くび)・肩・手・腰・股関節・足など運動器の疾患に対応しています。また、再生医療による膝痛治療にも取り組んでいるクリニックです。

足立慶友整形外科の膝痛治療の特徴をご紹介します。

膝のスペシャリストによる総合的な診断・治療

足立慶友整形外科院長
膝関節外来を担当する医師は、スポーツ整形外科医として膝関節外傷に対する関節鏡視下手術を数多く執刀してきた、膝のスペシャリストです。

膝の変形性関節症に対する保存的治療にも地域ぐるみで取り組み、重症例に対する手術(多くは人工関節置換術)も多数執刀してきた経験があります。

また、最近では手術だけでなく、PRP療法など再生医療にも取り組んでいるといいます。足立慶友整形外科は、こうした膝のスペシャリストによる総合的な診断や治療を提供しています。

身体に負担をかけにくい再生医療による治療

足立慶友整形外科では、身体に負担をかけにくい再生医療による治療にも対応しています。具体的な治療方法は、脂肪幹細胞治療です。

脂肪幹細胞治療では、患者さん自身の身体から採取した脂肪細胞より幹細胞を培養し、患部に注射する治療を行います。また、PRP治療では患者さんの血液から採取した血小板を患部に注射します。

これまでの変形性膝関節症に対する最終治療としては人工関節置換術が多く行われてきました。これは、痛んだ軟骨や骨を削り、その上に金属で作製された人工関節を設置する手術です。通常全身麻酔を必要としますので、特に高齢者や内臓疾患をかかえている方には、身体への負担が大きいことがデメリットといわれてきました。一方、脂肪幹細胞治療では痛んだ関節に自身の脂肪由来幹細胞を投与するだけなので、身体に負担をかけにくいことがメリットと言えるでしょう。

リハビリテーションが充実している

足立慶友整形外科では、充実したリハビリテーションをサポートをしていることも特徴です。リハビリテーション科があり、失われた身体の機能を取り戻すための機能訓練を行っています。

患部別のリハビリテーションでは、医師の指示のもとにセラピストが一人ひとりの症状に応じたリハビリテーションプログラムを組んでいます。また、手術後や骨折後のリハビリテーションもあり、治療段階に応じたプログラムが用意されています。

そのほか、自宅で実践可能なストレッチの指導を行っていることも特徴です。約100坪の開放的なリハビリ室が用意されており、筋力トレーニングと有酸素運動を交互に繰り返す、サーキッドトレーニングが可能となっています。

膝の痛みにお悩みの方は、足立慶友整形外科で診察を受けてみてはいかがでしょうか。

足立慶友整形外科の基本情報

アクセス・住所・診療時間・費用・治療回数・期間

東武スカイツリーライン 五反野駅より徒歩8分

東京都足立区足立1-12-12

診療時間
9:00〜13:00
15:00〜19:00

※初診受付の終了時間:(午前)12:45まで、(午後)18:30まで

【費用(税込)】
 PRP治療50,000円
 幹細胞治療700,000円
【治療回数・期間】
 PRP治療の所要時間は1時間程
 幹細胞治療の所要時間は脂肪採取20分、膝への注射は細胞準備を含めて1時間程
治療回数は原則1回、症状に応じて追加投与可能

この記事の監修医師