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採血で性病検査ができる!?採血以外の性病検査方法もあわせて解説

 公開日:2024/05/10
採血で性病検査ができる!?採血以外の性病検査方法もあわせて解説

性病の検査方法には、病気によりさまざまな方法がありますが、採血による血液検査でなければわからない病気もあります。しかし、採血といってもほんのわずかな血液で簡単にできる検査ですので、心配はいりません。

また、採血ではなく、尿や膣内分泌液からわかる検査もあります。あわせて説明しますので、性病への感染の疑いが生じたら、ためらわずに積極的に検査を受けましょう。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

採血でわかる性病の種類

採血でわかる性病の種類

性病の検査は、尿検査や膣分泌液検査で調べることができる病気がほとんどですが、実は血液検査でしかわからない病気もあります。また、血液検査では簡単に検査することができても、病気によってはそれだけでは不十分な場合もあります。ここでは、その病気の種類と感染経路、検査方法、治療などの情報を病気別に説明します。

梅毒

梅毒トレポネーマという病原体に感染して発症する病気です。コロンブスのアメリカ探検隊の中で、西インド諸島の原住民と性交した隊員が感染し、あっという間に世界中に蔓延しました。日本にも江戸時代に入ってきており、その後瞬く間に日本中に拡大したと言われています。

感染経路として、粘膜や皮膚から感染するのが特徴で、皮膚の小さな傷からも感染すると言われています。病原体が付着した手指から目の粘膜にも感染し、唾液に病原体が含まれていればキスだけでもうつる場合があります。

検査については、無症状でも疑念が生じたら、感染機会から1か月経過していれば、血液検査が可能です。
治療は早期発見であれば、ペニシリン系内服薬や筋肉注射により治療することができますが自然治癒はしません。そのためにも早期検査が重要であると言えます。

HIV

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)という病原体に感染すると、AIDS(後天性免疫不全症候群)を発症します。感染すると免疫力の低下により、さまざまな病気を発症することから、診断の目安として、23種の疾患がエイズ指標疾患として指定されています。その指標疾患の発症をもってAIDS発症と診断されるのです。

HIV感染は確実な検査結果が出るまでには時間がかかりますが、感度の高いスクリーニング検査が導入されており、診断は慎重に行われます。一度陽性判定が出てもさらに別の方法で確認検査を行い、その検査でも陽性と判定されれば、HIV感染と診断されるというしくみです。(次項でも詳しく説明)

治療については進歩が著しく、適切な治療を受ければHIV感染してもAIDSを発症することなく健康を維持できます。そのためにも早期発見が必要で、不安があれば血液検査を受けることが重要と言えます。

骨盤内クラミジア感染

女性のクラミジア感染症の合併症として、骨盤内炎症疾患があります。性器から感染が広がるもので、骨盤や腹膜まで拡大し、下腹部に激しい痛みが生じるのが特徴です。

検査は血液採取でクラミジア抗体検査を行います。体内に病原体が侵入すると抗体が作られるしくみを利用し、採血した血液中にクラミジアに対する抗体があれば感染の可能性があるという検査です。

しかし、抗体検査は過去の感染でも陽性反応が出てしまいます。現在の感染を確定させるためには、抗原検査(PCR法、TMA法など)で各部位別にクラミジア、トリコマチス菌の検出を確認します。
治療は、抗菌薬の内服や筋肉注射を通院で行うのが一般的ですが、重篤な場合は入院して抗菌薬の静脈内投与が行われます。

B型肝炎

B型肝炎はB型肝炎ウイルスに感染して起こる疾患ですが、性行為でも感染するため性感染症に分類されています。
ほかの性感染症と同様、自覚症状がほとんどないため自分では気づきにくいですが、健康診断の血液検査で発見されるケースもあります。肝臓の機能低下の指標として、AST、ALT、血清ビリルビン値などがあり、「要精密検査」の診断結果により発見されることも多いようです。

感染後急性肝炎を発症しますが、数週間で症状は自然になくなります。しかし、ほとんどが慢性肝炎へ移行し、肝硬変や肝臓がんの発症リスクが上昇するのです。肝機能検査の再検査では、HBs抗原(B型肝炎ウイルス)感染を調べる血液検査を行います。

急性肝炎の治療は、抗ウイルス療法はないため、水分や栄養補給の点滴を行い、安静にするしかありません。慢性肝炎治療には、年齢や肝臓状態に合わせ、インターフェロン(INF)療法(注射薬)や核酸アナログ製剤(治療薬)による治療を行いますが、完全にウイルスを排除できないことをふまえての治療となるようです。

C型肝炎

C型肝炎の病原体はC型肝炎ウイルス(HCV)です。感染すると持続感染者となる割合は約70%と言われており、慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進行する確率は高くなります。

感染経路はHCV感染者の血液と言われています。性行為による感染率は低いと言うものの、感染者の血液に触れるような行為は危険です。HCV感染を予防するためのワクチンはまだできていませんので、性行為での感染には注意しましょう。

治療については、2014年からインターフェロンを使わず、飲み薬だけの治療であるインターフェロンフリー療法によって、抗ウイルス治療ができるようになりました。
感染の疑念がある場合は、早期発見、早期治療のためにも、血液を少量とるだけで簡単にできるHCV抗体検査を受けることをおすすめします。

採血で性病検査を受ける時期

採血で性病検査を受ける時期

採血による検査を受ける場合は、検査ができない時期もあるということを念頭に置いてください。検査ができるまでの時期をウィンドウズ期といい、ほとんどの病気で4週間くらいは必要で、B型肝炎、C型肝炎については、8週間から12週間ほど必要となる場合もあります。

感染の機会から3か月以上経過後

採血での検査が必要な性感染症の中で、HIV感染においては、性行為から(早ければ)4週間で陽性が判定される場合もありますが、陰性の確定を得るためには、厚生労働省のガイドラインにより3か月以上の経過が必要とされています。

HIV感染の判定にはスクリーニング検査と確認検査の2段階の検査を行います。スクリーニング検査で陽性もしくは判定保留と出たら、その後確認検査を行い、陽性判定が出た時点でHIV感染の診断がくだされます。感染から3か月経過で99%以上の人で抗体が陽性化するというエビデンスに基づいているのです。

採血で性病検査を行う費用と結果がわかるまでの期間

採血で性病検査を行う費用と結果がわかるまでの期間

性病検査の費用は、検査機関やクリニックによってさまざまです。また、各市町村の保健所でも行っています。どこで受けるかは、自身に合った方法を比較検討することが必要です。次に費用と検査結果がわかるまでの期間を説明します。

採血での性病検査の費用

ここでは、自由診療を行っているクリニックの費用の一例を紹介します。
感染機会から3か月を経過していれば、血液検査セットとして、一度の採血でHIV、梅毒、B型肝炎、C型肝炎の検査をまとめてすべて受けることができます。(この期間外であっても検査自体は可能ですが、結果が反映されないことがある旨の了承が必要です)自由診療ですので、保険証も必要なく、匿名で検査できるなど秘匿性には十分配慮されています。

費用は即日検査トータルで2万2000円(税込)です。

また、自治体の保健所でも性病検査は受けられます。血液検査は、HIV、梅毒、B型肝炎、C型肝炎の検査が可能です。

費用は無料で、匿名で検査を受けることはできますが、検査日、時間が限られていますので、事前に電話での確認が必要となります。また、検査結果も即日検査とは違い、2週間くらいかかるようです。結果を知るには電話対応はなく、保健所を再訪しての確認となります。

結果が分かる期間

上記クリニックでの場合は、感染機会から3か月を経過しての検査であれば、検査後20分から40分で結果は判明します。
なお、前述のとおり、保健所では検査結果の告知は2週間後となります。

採血の性病検査でわかること

採血の性病検査でわかること

HIV、梅毒、肝炎(B型、C型)の感染を判定するには、採血による血液検査しかありません。検査には抗原検査と抗体検査があります。次に抗原検査と抗体検査の違いと陽性反応における対応を説明します。

抗原が陽性になった場合

抗原検査とは、検査したい病原体の抗体を使って抗原(病原体特有のタンパク質)を検出する検査のことです。この検査で陽性が出るということは、体内のウイルスや細菌が検出されたということなので、なんらかの病原体が存在しています。
陽性の場合は治療が必要ですので、医師の診断を受け、適切な治療を受けてください。

抗体が陽性になった場合

抗体が陽性であるということは、すでに体内に抗原が侵入して自己免疫が反応している現象です。したがって、過去に感染していて、現在は治癒している場合でも陽性になることがあります。過去のものであるか、現在も罹患しているものなのかを判明させるためにも、検査結果から医師の内診を受けるようにしましょう。

採血以外の性病検査について

採血以外の性病検査について

HIV、梅毒、肝炎(B型、C型)以外の性病には、尿検査、膣内検査、うがい検査などの検査方法もあります。次に尿検査、膣内検査ができる性病の検査について説明します。

尿検査

尿検査でわかる病気については、男性の場合は初尿検査が行われます。性感染症の病原体を調べるため、初尿(出始めの尿)での検査が重要です。尿検査でわかる病気は淋病(淋菌感染症)、クラミジア感染症、トリコモナス症、マイコプラズマ感染症、カンジダが代表的です。カンジタは女性によくみられますが、男性の発生率は低いとはいえ性器カンジタ症といわれる性感染症があります。

検査結果が出るまでにかかる期間は各疾患により異なりますが、クラミジア性尿道炎で30分から1時間、トリコモナスは2日、マイコプラズマで1週間くらいの期間がかかります。

膣内検査

女性の場合は子宮頸管の粘膜部分か膣分泌液を軽くぬぐい採取した分泌液での検査となります。膣内検査でわかる病気も男性同様、淋病(淋菌感染症)、クラミジア感染症、膣トリコモナス、マイコプラズマ感染症、カンジダ膣炎です。特にクラミジアは感染者が一番多い性病です。女性は自覚症状がなく気づきにくいので、手軽に自身で検査できる検査キットでの検査をおすすめします。検査結果が判明するのにかかる期間は男性同様となるようです。

まとめ

まとめ

血液検査で判定が必要な性病は、重篤になる病気をも含んでいることがご理解いただけたのではないでしょうか? しかし、早期に発見し、初期に治療をすれば、ほとんどの病気は治療できます。自身の選択により、手軽に検査できる方法と費用もかからずできる検査もあります。いずれの病気でも恐れず検査を受けて、感染症を広げないことが重要です。

この記事の監修医師