片頭痛の治し方|片頭痛の診断基準やセルフケア、治療方法を解説
慢性的な頭痛があっても、頭痛ぐらいで受診していいのかと思って病院に行かず、市販の薬で対処している方も少なくないのではないでしょうか。
頭痛には重度の疾患が隠れている場合もあり、放置すると命に関わることもあります。自身の頭痛の原因を知ることは大切です。
片頭痛を引き起こす原因はさまざまですが、きちんと治療しないでいると慢性化する場合もあります。
片頭痛の原因を知って適切な治療を行うことで早期の改善が見込めます。
本記事では、頭痛のなかでも片頭痛に焦点をあてて解説しています。
監修医師:
坂口 一朗(さかぐちクリニック)
大学より春秋会城山病院等へ出向する。
平成4年 大阪医科大学院修了。博士号取得。
平成4年~大学より出向(枚方市民病院脳神経外科※現:市立ひらかた病院)
平成4年~5年 大阪医科大学附属病院ICU
ここで脳外科のみならず心臓手術後や重症内科疾患患者さまの治療に従事。
平成5年~13年 医療法人東和会第一東和会病院脳外科部長となり年間200件の脳外科手術執刀や一般外来(内科・外科)も担当する。
平成13年 さかぐちクリニック開院
平成16年 さかぐちクリニック改め、「医療法人いぶき会 さかぐちクリニック」開院。
目次 -INDEX-
片頭痛の原因と診断基準
現在、片頭痛の原因と提唱されているものは、血管説・神経説・三叉神経血管説です。しかし、いずれも片頭痛の原因と特定するには説明不足な点があります。
片頭痛の診断基準は、国際頭痛学会の診断基準により診断が確定されます。
片頭痛の原因
片頭痛は、ズキンズキンとした拍動性の痛みやガンガンとした痛みが頭部の片側に繰り返し発生する頭痛です。痛みは片側だけに限らず、約4割の患者さんは両側に痛みが出ることもあります。
従来、片頭痛の原因は血管説(血管が拡張して痛みが発生する)が有力とされていました。しかし、血管説だけでは説明が不十分だとわかり、神経説や三叉神経血管説が提唱されるようになりました。神経説は、大脳皮質が過剰に興奮して起こるとされる説で、三叉神経血管説は血管や神経原性炎症が原因で頭痛が起こるとした説です。
片頭痛の診断基準
片頭痛の診断基準は、国際頭痛学会の診断基準に沿って行います。前兆のない片頭痛の診断基準は以下です。
- 頭痛発作が5回以上ある
- 持続時間が4~72時間にわたる
- 片側性・拍動性・中程度~重度の痛み・日常的な動作で頭痛が増悪するまたは頭痛のために日常的な動作ができないのうち2つ以上の症状がある
- 吐き気や嘔吐・光過敏・音過敏の1つ以上の症状がある
なお、前兆を伴う片頭痛は、上記の項目が2つ当てはまると片頭痛と診断されます。
片頭痛と危険な頭痛の見分け方
片頭痛以外の頭痛は、激痛や刺すような片側性の頭痛があり、発作が15分~3時間程続いて症状の発生が早く前兆もない場合が少なくありません。
一方、片頭痛は原因となる疾患がない発作で、未治療の場合4~72時間頭痛が持続し片側もしくは両側に拍動性の痛みがあるのが特徴です。非拍動性片頭痛発作の場合もあります。
痛みがある期間は、感覚過敏になり光や音・臭いを不快と感じることも少なくありません。吐き気や日常的な動作で頭痛が強まることもあります。
経験したことがない頭痛や意識の喪失、後頭部の激痛などの症状がある場合は、病気が原因の頭痛(くも膜下出血など)の可能性があるので早急に医療機関を受診しましょう。
片頭痛の治し方のポイント
片頭痛は20~40歳代の女性に発症する確率の高い病気です。早い人では10歳前後から発症し、月に1~2回の頻度で発作的に起こる場合があります。片頭痛の予兆や前兆を知ることで、症状を軽減したり治療方法を見つけられる可能性があります。
片頭痛が起こる前兆を知る
片頭痛は前兆の有無によって2つのタイプに分類されます。前兆症状には以下のものがあります。
- 半盲=視野が欠ける
- 閃輝暗点(せんきあんてん)=キラキラやギザギザなどの光で見えづらい
- 感覚症状=感覚が鈍る・チクチクする
- 言語症状=言葉がでにくい
- 半身の脱力感
- 回転性めまい
前兆症状が5~60分程継続した後に頭痛が始まりますが、頭痛が出現すると前兆は消える場合がほとんどです。
前兆がなく突然拍動性の頭痛が継続して起こる場合もあります。片頭痛が始まる数時間前、または1~2日前に予兆を経験する方もいます。
- 頭痛が起こる気がする
- 情緒不安定
- 抑うつ感
- 疲労感
- 繰り返すあくび
- 過食
- 集中力の低下
- 肩こり
- 感覚過敏
上記の症状は5人に1人の割合で起こるといわれています。
片頭痛を引き起こす要因を避ける
片頭痛を引き起こす要因には、以下のものがあります。
- 遺伝性要因=家族性片麻痺性片頭痛
- 精神的要因=ストレス・睡眠障害・不安障害・ダイエット
- 身体的要因=ホルモン変動
- 環境性要因=天候・気圧の変化・光過敏・騒音など
- 薬剤性要因=薬物乱用
睡眠不足やストレスなどは抑うつ状態になり頭痛を誘発する場合もあるので、要因を理解し片頭痛を起こさない対策をしましょう。
日常的にセルフケアする
片頭痛の予防には、日常的にセルフケアを行うとよいでしょう。
- 規則正しい生活=適切な食事・良質な睡眠
- 生活スケジュールの見直し=心身にゆとりのあるスケジュールを組む
- 頭痛の原因になる食べ物を把握する
- 適度な運動
- ストレスを溜めない=がんばり過ぎない
- 強い日差しを避ける工夫をする
- コーヒーの過度な摂取をしない
- 薬物の過度な摂取をしない=鎮痛剤の飲み過ぎ
- 頭痛ダイアリーを取り入れる
病院で処方された抗生物質や経口避妊薬などが頭痛の原因になる場合もあるので、薬を服用した後に頭痛の症状が出る場合は担当の医師に相談しましょう。
頭痛外来を受診する
頭痛外来とは、頭痛の専門的な知識と診療技術を持つ医師がいる外来です。頭痛に詳しい医師は、頭痛に関する総合的な専門の知識と診療技術があるので、慢性頭痛患者さんの頭痛の原因を正確に把握し治療の効果を上げられる可能性が高いです。頭痛の治療方法は要因によって変わるため、頭痛外来では1次性頭痛・2次性頭痛の鑑別や頭痛症状の改善などの指導や治療を行います。
片頭痛ははっきりとした原因がない場合もあるので、専門の医師や検査機器が揃った頭痛外来を受診することが、治療の早期介入につながります。
片頭痛の治療方法
片頭痛の治療方法は急性期治療(頓挫療法)および予防療法の2つがあります。
急性期治療(頓挫療法)とは、頭痛の症状が出たときに早期に頭痛を治める治療です。予防療法は、頭痛の発作回数の減少・軽減・急性期治療薬の効果を向上させるための予防的治療法です。
急性期治療(頓挫療法)
軽度の片頭痛は、数時間程静かな場所で休憩を取ったり睡眠を取ったりすると治る場合があります。市販の非ステロイド性抗炎症薬(アスピリンなど)や、アセトアミノフェンなどの鎮痛剤も有効です。
頭痛が重度の場合は、片頭痛専門薬トリプタンやジタンなどのセロトニン受容体作動薬が有効とされています。トリプタンは頭の血管に作用して拡張した血管を収縮させ、痛みの物質の放出を防ぎ炎症を治める効果が期待できる薬剤のため、早めに服用すればより効果が向上します。
予防療法
予防療法には、生活環境の改善や生活習慣の見直し・予防薬(片頭痛発作抑制注射薬)の投与などがあります。
片頭痛抑制注射薬には、抗CGRP抗体薬(エムガルティ・アジョビ)や抗CGRP受容体抗体薬(アモビーグ)があります。
急性期治療薬の服用が長期間にわたると、副作用で頭痛を悪化させたり慢性化させたりする場合もあるので注意が必要です。予防療法は薬剤の投与を徐々に減量させ、効果が出た場合はいったん休薬して薬剤乱用頭痛をなくすことが目的です。
片頭痛は早期に受診を
片頭痛は放置すると症状が悪化し、長期間頭痛に苦しめられ慢性化する病気です。早期発見で慢性化を防ぐことで、予防療法が開始できるでしょう。
一般外来でも頭痛の検査や治療が可能です。また、頭痛の知識に詳しい医師がいるクリニックはあらゆる頭痛の知識があり、検査や治療方法を習得しています。頭痛外来があるクリニックや、脳神経外科の専門の医師や脳神経内科の専門の医師のいるクリニックでは検査や治療体制が整っているのでおすすめします。
検査を受けて片頭痛の原因をはっきりさせる
画像診断技術の進歩により、MRIやPET検査で片頭痛発作のメカニズムが解明されるようになってきました。画像検査では予兆期から脳内の変化が起きることも証明され、前兆がない片頭痛も発見でき、原因をはっきりさせられる可能性があります。片頭痛の要因がある方は、検査を受けることで片頭痛の重症化を防げるでしょう。
脳神経外科の専門の医師や脳神経内科の専門の医師
脳神経外科の専門の医師は、脳卒中や脳神経外傷・三叉神経痛を代表とした脳神経の専門の医師です。予防・診断・手術などの総合的な専門の知識と診療技術を要し、必要な場合にほかの専門の医師への転送判断が的確に行えます。
脳神経内科の専門の医師は、脳と中枢神経系などの機能的・器質的疾患の内科的診療を行う専門の医師です。急性疾患・慢性疾患・難治性神経疾患の診療を行い、神経症状があるさまざまな疾患の治療を関連の診療科とチームになって治療を行います。
予防療法で使用される片頭痛抑制注射薬は、医師の資格や条件が揃わないと処方ができません。そのため、片頭痛治療は、専門の医師が在籍したクリニックを選びましょう。
片頭痛にお悩みならさかぐちクリニックにご相談を
頭痛は、思考力も低下して気力を失わせます。鎮静剤で治るような頭痛はさほど心配しない方も多いでしょう。ですが、片頭痛はたびたび現れ慢性化するので早期の治療が大切となります。
堺市西区にあるさかぐちクリニックは頭痛外来のあるクリニックです。片頭痛の治療も得意とされていて、検査の設備も整っています。
さまざまな検査方法で頭痛の原因を診断
頭痛は、一次性頭痛と二次性頭痛の2種類に分類されます。
一次性頭痛は、ほかの疾患が原因のものではなく、頭痛が繰り返し起こること自体が問題点となる慢性頭痛症(片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛など)をいいます。
二次性頭痛は、頭痛が症状として現れる疾患がある場合の頭痛です。くも膜下出血・脳腫瘍・髄膜炎・脳卒中などがあります。
脳内の三叉神経が刺激を受け、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(発痛物質)やP物質(痛覚の神経伝達物質)を放出して、局所的な気道の炎症が起こり頭痛が起こるとされています。
頭痛は種類毎に治療方法が異なるので、一次性頭痛か二次性頭痛科の診断が重要です。
さかぐちクリニックは、手術をしない脳外科として、MRI装置やCT、超音波エコーなどを使用して脳や脊髄・心臓の病気の早期発見に努められています。
脳卒中や心卒中などは、生活習慣病が原因で罹患するともいわれています。生活習慣病を早期に発見し治療すれば重症化を防げる可能性が高まります。
片頭痛発作抑制注射薬エムガルティによる治療
片頭痛の予防療法には、片頭痛発作抑制注射薬の投与があります。さかぐちクリニックでは、エムガルティ・アジョビ・アイモビーグの3種類の注射薬を用意されています。
ただし、片頭痛発作抑制注射薬を接種できるのは、以下の条件に適合する方です。
- 片頭痛と診断されていること
- 1ヵ月に平均して4日以上の片頭痛が3ヵ月以上継続している
- 18歳以上である
- 急性期治療薬を服用しても日常生活に支障がある
- 予防薬の忍容性や副作用から継続使用ができない
- 片麻痺性片頭痛・眼筋麻痺性片頭痛・脳底型片頭痛の罹患歴がある患者さんは除外
上記は厚生労働省のガルカネズマブ最適使用推進ガイドラインによるものです。
日常生活や社会生活に影響が出るような片頭痛は、予防治療が可能となりました。片頭痛で辛い思いをされている方は、さかぐちクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
脳神経外科・脳神経内科による診断と治療
さかぐちクリニックでは脳卒中や心卒中を包括的に考え、血管系の疾患とした検査態勢を整えて病気の早期発見に努めています。
坂口院長は日本脳神経外科学会 専門医や日本脳卒中学会 専門医などの資格をお持ちです。勤務医の坂口裕香先生師は脳神経内科の専門の医師であり、日本神経学会 神経内科専門医です。脳神経外科と脳神経内科の両面から診断、治療が行えます。
また、片頭痛の予防薬である片頭痛発作抑制注射薬は、資格のあるクリニックでのみ使用が認められています。さかぐちクリニックは専門の医師が在籍しているため、片頭痛の予防療法や急性期治療が可能です。
片頭痛は、大きな病気が隠れている可能性もあります。辛いけれど命に関わるものではないと軽く考えず、気になる方は一度さかぐちクリニックを受診してみてはいかがでしょうか。
さかぐちクリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間・費用
JR阪和線 上野芝駅 徒歩5分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:30〜12:30 | ● | ● | ▲ | ● | ● | ● | ー | ー |
14:00〜16:00 (検査時間) |
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16:00~19:30 | ● | ● | ー | ● | ● | ★ | ー | ー |
▲訪問診療、★16:00〜17:30
※休診日 水曜・日曜・祝日(水曜日は訪問診療のみ)
【費用】
■保険適応 3割負担の場合、1本あたり13,550円(元の薬価は45,165円)
■初月は2本使用
■その他、通常の再診料、注射処置料などがかかります。
参考文献