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「安心して子どもを産む」ために。不安を一人で抱えない環境づくり 【秋田県秋田市 あきたレディースクリニック安田】

 公開日:2026/03/18

「安心して子どもを産む」ために。不安を一人で抱えない環境づくり
「安心して子どもを産む」ために。不安を一人で抱えない環境づくり

少子化は日本全体の社会問題。秋田県も同様に人口減少が続き、分娩件数も減っているという。その背景には若者の県外流出など地域の問題が横たわっているが、同時に若い女性の妊娠・出産に対する不安などもあるようだ。ならば、まずその不安の解消が求められてくる。秋田市内で開院する「あきたレディースクリニック安田」では、妊娠前の相談から妊娠中の管理、分娩、産後までを一貫して支える体制を整え、女性が安心して子どもを産めるように手厚いサポートを行っている。分娩における「安全」と「安心」をどうつくるかについて、同クリニック理事長の安田師仁先生に話を伺った。

Doctor’s Profile
安田 師仁(やすだ かずひと)
あきたレディースクリニック安田 理事長

秋田大学医学部卒業後、同大学産科婦人科学講座に入局。秋田大学医学部附属病院、秋田社会保険病院、中通総合病院、市立秋田総合病院などで産婦人科診療に従事。2006年より秋田赤十字病院産婦人科(産科)副部長を務める。2007年には京野アートクリニックにて高度生殖医療に携わり、2009年NTT東日本東北病院産婦人科主任医長を経て、2010年「あきたレディースクリニック安田」を開院。2015年に医療法人ALCYを設立し理事長に就任妊娠前のケアから不妊治療、妊娠・出産、産後までを一貫して支える医療体制の構築に取り組んでいる。

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「出産」を取り巻く環境と、安心して産むための支援

秋田県では人口減少が大きな課題ですが、分娩の現場にいる先生はどのように感じていらっしゃいますか?

分娩件数が減っている背景には、若い方、とくに若い女性が県外に出ていく流れがあります。若い女性が減ると、地域として未婚率にも影響し、結果的に出生率の低下につながりやすい。
秋田は大きな企業が少なく、若い方が働きやすい職場が限られることも一因だと思います。医療だけで解決できる問題ではありませんが、妊娠・出産を望む方が安心して選べる場所があることは、地域にとって大切だと感じています。

「出産」を取り巻く環境と、安心して産むための支援

妊娠や出産について、女性が感じている不安にはどのようなものがあるのでしょう?

妊娠や出産は大きなライフイベントであり、体の変化だけでなく、生活や家族のあり方にも影響します。とくに初めての出産を迎えるにあたり、どのように過ごせばよいのか、出産後の生活がどうなるのかといった不安を感じる方も多くいらっしゃいます。
また、出産後のサポート体制を心配する方も多いですね。ご家族の支援を受けやすい環境を整えることは、安心して出産に臨むうえで重要な要素です。そうした意味で、里帰り出産を検討する方は多くいらっしゃいます。

里帰り出産は、先生のクリニックでも受け入れ体制を整えておられるそうですね。産前産後の不安の軽減という点で、どのようなメリットがあるとお考えですか?

実家でのサポート、とくに妊婦さんのお母さんにあたる方の支援は大きいです。経験者として、お母さんが支えてくれるのは心強いことでしょう。
さらに経産婦さんの場合は、上のお子さんを連れて里帰りできますし、祖父母や親族に見てもらえる安心感もあります。
出産は妊婦さんだけの出来事ではなく、家族全体の生活にも関わるため、地元での出産は支援体制を整えやすい選択肢のひとつだと思います。

産後の生活に不安を感じる方も多いと思いますが、どのようなご相談がありますか?

退院後に悪露が多いなどについて心配して来られる方もいます。ただ最近は1カ月健診前に2週間健診を行う自治体も増えていますし、当院でも退院から1週間ほど経ってから母子健診を行っています。緊急性の高いお悩みではなく、定期的な受診の中で済むことがほとんどです。

「出産」を取り巻く環境と、安心して産むための支援

そのような不安に対して、産後ケアとしてどのような取り組みをされていますか?

日帰りのデイサービス型と、宿泊型(1泊2日から、自治体の補助を活用して最長6泊7日まで)の産後ケアを実施しています。
赤ちゃんとお母さんが一旦退院してから利用できるため、心身のストレスや疲労感の軽減にもつながります。お母さんが休んでいる間は当院で赤ちゃんのお世話を行うので、その分ご自身の時間を持つことができ、体力を温存できることが大きいと思います。自治体の補助も拡充され、利用される方は増えています。

妊娠中の不安を軽くする生活とセルフケア

妊娠中の不安を軽くする生活とセルフケア

妊婦さんからのお悩みで、多いものにはどのようなものがありますか?

妊娠がわかった段階で、ちゃんと子どもを産めるかどうかの確認で来られる方もいれば、妊娠中に合併症を避けたいという相談もあります。
出産については「痛みが心配」という声も多く、無痛分娩を希望される方がこの数年でかなり増えてきています。「痛みなく産めるなら、痛みなく産みたい」という妊婦さんが増えている印象です。

日常生活の中で、不安を減らすために意識してほしいことはありますか?

妊娠中は特別なことをしなければならないと考える人も多いのですが、基本は無理をせず、日常生活の延長で過ごしていただくことが大切です。体調の変化に気づきながら、自分の体を大切にする意識を持つことが安心につながります。

妊娠中、食事で気をつけるべきことを教えてください

生ものに注意される方は多いですが、意識していただきたいのは感染症のリスクです。生肉や加熱が不十分な食品には、妊娠中の体に影響を及ぼす可能性のある菌や寄生虫が含まれることがあります。食事の前に「十分に加熱されているか」確認する習慣を持つことが大切です。
そのうえで、もうひとつ気をつけたいのが大型の魚です。マグロなどは水銀を含むことがあり、過剰摂取は避けた方がよいとされています。完全に控える必要はありませんが、量や頻度を意識しながらバランスよく取り入れていただければと思います。

体重管理について、注意点はありますか?

妊婦健診で体重や血圧などを定期的に確認しています。増えた体重について「怒られた」と感じる方もいらっしゃいますが、制限をしたいわけではありません。妊婦さんと赤ちゃんの安全を願い、目標を共有しながら、妊娠期・出産期を安全に迎えるための管理です。一緒にゴールを目指している、という感覚で受け止めていただければと思います。

食事や体重管理と併せて、運動についてはどの程度行うのがよいでしょうか?

妊娠初期はお腹が張りやすかったり、動きすぎで出血につながったりすることもあるため、妊娠前に運動習慣がなかった方が急に過度な運動を始めるのは避けたほうがよいでしょう。日常生活の延長で無理なく行うことが基本です。
一方で、運動が好きな方が軽く体を動かすのは、ストレス軽減や体重管理にもつながります。マタニティヨガなど、専門の先生の指導のもとで行うのはよいと思いますが、自己流での無理は控えるのが安心です。

つわりがつらいとき、どのように向き合えばよいでしょうか?

つわりはまったく感じない方もいれば、妊娠ごとに違う方もいます。症状が出たときにその都度対応していくのが基本です。
食べられるものが限られるときは、食べられるものを優先し、栄養素が不足しそうな場合はサプリメントなどで補う工夫も有効です。不安があれば受診時にご相談ください。

妊娠中の不安を軽くする生活とセルフケア

痛みと不安を軽くするためにできること

痛みと不安を軽くするためにできること

自然分娩、誘発、吸引、帝王切開など、分娩方法は選べるのでしょうか?

一般の方の感覚と少し異なるかもしれませんが、分娩方法は基本的に「選べるものではない」ことが多いです。経過が順調であれば自然に陣痛を待ち、経腟分娩となりますが、分娩中に赤ちゃんが苦しいサインを出した場合には、速やかにお産を進めるため吸引分娩や鉗子分娩を行うことがあります。
さらに緊急性が高ければ帝王切開を選択せざるを得ないこともありますし、逆子などの理由で分娩前から帝王切開を予定するケースもあります。
そのなかで、あらかじめ選択できる可能性があるのは、無痛分娩を行うかどうかという点です。

誘発分娩はどのような場合に行うのですか?

誘発分娩は、何らかの医学的理由がある場合に行います。たとえば赤ちゃんが大きくなりすぎる前に分娩を目指す場合や、陣痛が弱い微弱陣痛の状態で子宮収縮をサポートする必要がある場合などです。
誘発分娩は安全にお産を進めるための手段のひとつであり、「予定通りに産むため」というよりも、母体と赤ちゃんを守るための選択です。

無痛分娩や、痛みを和らげる工夫について教えてください

無痛分娩を希望される方は年々増えています。陣痛があってから麻酔を行う方法に加え、計画的に進める「計画無痛」を選ばれる方も増えており、痛みが強くなる前に見通しを持てる点は精神的な安心につながります。
また、痛みの軽減は麻酔だけではありません。当院では呼吸法の指導や、LDR室での音楽・照明など、リラックスできる環境づくりも大切にしています。ご家族のサポートも含め、「一人で抱え込まない」ことが、結果的に不安や痛みの軽減につながると考えています。

痛みと不安を軽くするためにできること

分娩において、先生が大切にしていることは何でしょうか?

何よりも大切なのは、安全に妊娠期間を過ごし、出産するまでを支えることです。そのうえで、無痛分娩を含め、母体と赤ちゃん双方のストレスをできる限り軽減できる方法を提供したいと考えています。当クリニックでは無痛分娩でも24時間365日対応できる体制を整え、LDRをはじめとした設備面でも移動を減らし、負担を少なくする環境づくりに取り組んでいます。
分娩件数が減少している秋田においても、「安心して出産できる場所がある」と感じていただくことはとても大切です。痛みや不安が軽減されることで、「次の妊娠も前向きに考えられる」「2人目もがんばれるかもしれない」と思える方が増えることにつながればと考えています。そのような経験の積み重ねが、地域全体の安心感にもつながっていくのではないかと思います。

ありがとうございました。最後に、Medical DOCのサイトを訪れる読者の方にメッセージをお願いします

妊娠や出産には心配がつきものだと思いますが、最初の「心配」の段階から私たちにおまかせください。一緒に取り組むことで、妊娠前の相談から妊娠中、出産、産後まで、より安心して進められるようになります。周囲の人を頼っていい。遠慮なく相談してほしい。そうした思いを多くの方に届けたいと思います。

編集部まとめ

妊娠・出産の不安は、個人の努力だけで解決するものではありません。里帰り出産や家族の支援、自治体の補助を活用した産後ケアなど、「頼れる仕組み」を知ることが安心につながります。また、分娩方法は希望だけで選べるものではなく、その時々の状況に応じてベストな判断を選択していくものです。無痛分娩やLDRのような環境整備、24時間365日の対応体制など、「あきたレディースクリニック安田」のような安心して相談できる場があることは、秋田の女性にとって大きな支えになるのではないでしょうか。

あきたレディースクリニック安田

医院名

あきたレディースクリニック安田

診療内容

産科・婦人科・産婦人科(生殖医療・不妊治療

所在地

秋田県秋田市土崎港中央1-17-11

アクセス

JR奥羽本線「土崎」駅より徒歩10分
バス「港入口」停留所より徒歩0分

この記事の監修医師