失った歯はどう補う? 生涯を見据え、長期的に安定する治療法を選びたい【岡山県倉敷市 ハッピー歯科クリニック】


むし歯や歯周病などで失った歯を補うには、「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」と3つの選択肢がある。患者さんの多くは費用のことで「入れ歯」や「ブリッジ」を検討しがちだが、自分に最適な治療法がわからず、迷う人も多いだろう。岡山県倉敷市「ハッピー歯科クリニック」の藤波正裕院長は、「総合的な診断とともに、長期的に安定する治療法を選ぶことが重要」と語る。藤波院長に欠損歯治療の注意点や、残された健康な歯を守るポイントなどを詳しく伺った。
藤波 正裕(ふじなみ まさひろ)
医療法人社団四葉会 ハッピー歯科クリニック 院長
1997年に鶴見大学歯学部を卒業後、岡山大学歯学部歯科保存学第二講座に入局。2000年、医療法人光風会に八幡歯科医院分院長として入社。2004年、ハッピー歯科クリニック開院。「健康・美・幸せづくり」という理念を追求している。歯科医療器械の販売・修理をおこなうディラーは、「株式会社藤波リンケージ」(1920年創業)のグループ企業。
歯科医学的な観点で、欠損歯治療の治療に有効なインプラント
歯の欠損を補う治療法は、どう選べばよいでしょうか?

ただ、ブリッジの場合は支えにする両サイドの歯を削ることになりますね
QOLではなく歯科医学的に考えた場合、ブリッジは確かにあまりよい選択ではありません。失った歯の前後(両隣)の歯を削って土台にし、橋を架けるように人工歯を固定するため、おっしゃるように健康な歯を削らなければならない。
さらに、従来3本の歯で受けていた力を2本の歯で受け止めるため、土台の負担が増え、将来的にむし歯や歯周病のリスクなど歯の寿命が短くなるデメリットがあります。

噛む力や治療費用から、ブリッジを第一選択肢として検討する人が多い気がします
ブリッジの寿命は10〜15年程度といわれています。人生80年以上と考えた場合、治療を繰り返さないといけなくなることがわかっているため、当クリニックでは概ね50代以下の患者さんが「どうしても」とブリッジを希望される場合、「ほかの歯科クリニックで治療してください」とお伝えすることも多いです。それはその場限りの無責任な治療は心が痛むからです。60代後半以降の患者さんでブリッジの治療部位にもよりますが、お口の中の状態が良い場合ではブリッジも選択肢になるでしょう。
さらに、ブリッジは高い咬合診断力が求められる治療法である点にも注意が必要です。特に糸切り歯が絡む場合は非常に予後が悪い。かなり慎重に処置しないと、前後(両隣)どちらかの歯がむし歯になりやすくなってしまいます。それは、歯は上下でカチカチ噛むだけでなく、ギリギリすり潰すことが多いためブリッジには非常に高い咬合診断力が歯科医に求められる面があるということです。
精密診断と安心の治療計画によるインプラントで健康な歯を守る

インプラントを選択したほうがよいのは、どんな年齢層でしょうか?
第一に、天然歯に勝るものはありません。できる限り保存することが重要で、削れば削るほど歯の寿命は短くなっていきます。先述のとおり、ブリッジの寿命は約10〜15年といわれています。再治療を繰り返すほど口の中の状態は悪化していくので、20歳以上の若い人にはインプラントがよいでしょう。
ただし、若くても糖尿病などの基礎疾患、ひどい歯周病や歯のポジションが悪い場合は、インプラントはしない方が良い場合もあります。さらに生活習慣・価値観・経済的な事情も含めてそれぞれの患者さんに応じた総合的な診断が重要です。単にインプラントにすればよいということは決してありません。
ただし、総合的診断の結果本当に患者さんのQOLが向上し、お口の中の状態が長期的に安定するという条件が整っているのならば、インプラントは有効な選択肢の一つです。
インプラントを検討する場合、治療はどのような流れになりますか?
当クリニックでは、まずインプラント診断(有料)をさせていただきます。歯科用の3次元CTや口腔内写真を撮影して、歯槽骨や歯の状態を把握します。歯槽骨の状態を3段階に分ける独自の診断基準に応じて「抜歯即時インプラント治療」「骨再生治療(GBR法)」など治療法を検討しながら治療計画を策定し、患者さんには画像を見ていただきながらわかりやすく提案します。
治療費については、診断結果に基づき、概算ではなく、治療計画のステップごとに料金をいただき、どの時点でいくら必要かという情報を提供し、しっかりと説明させていただきます。患者さんがその資料を持ち帰って検討し、納得して同意されたなら、そこからインプラント治療がスタートします。
貴クリニックではどのような環境でインプラント治療を受けられますか?

まずは、むし歯や歯周病になった原因の解決を優先

貴クリニックではカウンセリングに力を入れていらっしゃると伺いました
予約枠(お約束時間)を設けてじっくりとご相談を受けています。時間どおりに診療を進めることにより、患者さんの受付での待ち時間も短くしています。
初診では歯石除去ぐらいで9割方は治療しません。基礎資料(お口の状態の資料)の収集が重要だからです。痛くて眠れないといった症状がある場合は応急処置をして痛みを除去しますが、少しの痛みや沁みるくらいであれば、しっかりとした基礎資料(レントゲン・口腔内写真・歯周病の状態・歯並び・咬合、など)を収集し、まずはお口の中の状況を詳しく説明します。歯を削った時点で同じ状態には二度と戻らなくなり、総合的な診断が困難になるケースもあるからです。
なぜそこがむし歯や歯周病になったのか、その原因を患者さんが理解して解決策を実践しない限り、いくら治療しても繰り返し悪くなってしまうからです。単に1本の歯がむし歯だから治療すればよいと言うような単純なことではないのです。
むし歯だからと、すぐに削る歯科医院もよく見受けられます
歯は削れば削るほど、お口の中の状態は悪くなっていきます。つまり、治療を重ねるほど、天然歯がダメになっていくということです。
咬合や歯並び、ケアの仕方といったお口の中の状態はもとより、食生活や価値観、金銭的な事情、年齢、全身疾患など、患者さんそれぞれの状況も違います。総合的な診断に基づく治療でなければ、真の歯科医療とは呼べませんね。
しかし、歯科医主導で患者さんは痛みがなくなったと安心しているケースが多いのも現実です。その結果、原因はおろか、受けた治療の長所や短所もわからず、数年ごとに繰り返し治療を受ける羽目になります。
治療を重ねることが、口内環境を悪くしてしまうこともあるのですね
令和4年に保険適用になった臼歯部のCAD/CAMインレー(被せ)について教えてください
「保険治療で白い詰め物にできる」と魅力を感じる人も多いでしょう。
ですが、当クリニックでは臼歯部の保険治療なら強度の高い金属をおすすめしています。CAD/CAMインレーや被せは、口腔内の長期的な安定を求める歯科医療と逆行しているからです。

逆行とは、どういうことでしょうか?
歯の表面は、エナメル質という人間の体の中で最も硬い組織です。そこにレジン(プラスチック樹脂)を詰めたら果たしてどうなるでしょうか。
前歯であれば咬合力が大臼歯と比べて比較的弱いため(むし歯の大きさにもよりますが)レジンでもよいでしょう。しかし、奥歯に使うと、噛むたびに非常に硬いエナメル質が当たって、ひび割れしたり、すり減って取れたりして、数年で再治療しなければいけない事態に陥る可能性があります。
また、ダイレクトボンディング法(歯に直接レジンを詰める治療)なら1日で治療が済むことなどにメリットを感じるかもしれませんが、臼歯部の噛み合う部位では長期的に治療を繰り返すことになる大きなデメリットが潜んでいます。ですので、当クリニックでは基本的におすすめしていません。
もちろん金属はむし歯菌や歯周病菌が付きやすいため、しっかりとしたケアが必要ですし、金属アレルギーや見た目の問題など欠点もあります。ですからセラミック(自由診療)も含め、それぞれの利点や欠点をお伝えして選択肢を提供し患者さんに選択してもらいます。
ありがとうございました。最後に読者へのメッセージをお願いします
歯は一生ものです。一度削れば決して元に戻ることはありません。私たち歯科医はそのことを深く理解する必要性があり、安易に治療してはいけないのです。総合的な診断を基に、インプラントを含め、できるだけ長くお口の中が安定する治療を一番の選択肢とし、ご自身の歯を大切にしてください。
編集部まとめ
取材を通じ歯科医療は一時的な費用だけでなく、長い人生を見据える視点が大切だと感じました。「自分の家族だったらどんな治療をするかを念頭に、日々診療にあたっています」と藤波先生は語ります。失った歯を補うことも重要ですが、同時にほかの歯を守ること、安定した口腔状態を長く保つ治療を歯科医のサポートを受けながら賢く選択すること。それが、人生の質を向上させるカギを握っていることがよくわかりました。

医院名
ハッピー歯科クリニック
診療内容
インプラント治療 予防治療 むし歯治療 など
所在地
岡山県倉敷市寿町4-4
倉敷駅北⼝前L&Fスクエア 2F
アクセス
JR伯備線「倉敷」駅北口より徒歩2分




