内視鏡検査はなぜ必要?後悔する前に知っておきたいこと【広島市西区 広島大腸肛門クリニック】

胃がん・大腸がんの罹患者数は日本において右肩上がり。死亡率も上位を占めている。それにも関わらず、早期発見に有効な内視鏡検査を受ける人は少ないのが現状だ。さらに、国民病といわれる痔についても、症状によっては放置している人が多く、隠された病気を見落としてしまうことも。そこで内視鏡検査を受けるメリットなどについて、消化器官全般を扱う広島大腸肛門クリニック院長の中島真太郎先生に話を伺った。
中島 真太郎(なかしま しんたろう)
広島大腸肛門クリニック 院長
広島大学医学部卒業後、現場での研修を経て広島大学大学院で医学博士を取得。外科医として豊富な経験を積むなかで、さらなる専門性を身に付けるため内視鏡診断学を学ぶ。東京などの病院で研修を重ねた後、2007年に広島大腸肛門クリニックを開院。日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医として、生きていく上で欠かせない排泄をはじめとする消化器官全般を対象に、快適な人生を送るための一助となる医療の提供に情熱を注ぐ。
早期発見が死亡率を下げる。内視鏡検査が必要な本当の理由
内視鏡検査の必要性について、先生はどのようにお考えですか?
日本人の死亡率は胃がんと大腸がんが上位を占めています。これらは早期発見によって治る見込みの高い疾患ですが、それにも関わらず死亡率を高めているのは、やはり内視鏡検査の重要性が浸透していないことが要因のひとつと考えます。

なぜ浸透していないのでしょうか?
内視鏡検査そのものというより、胃がんや大腸がんに対する意識の低さが大きく影響していると思います。どちらも一般的な健康診断では見つけにくく、血液検査でも確実な診断にはつながりません。それにも関わらず大腸がんにいたっては、便潜血検査で陽性が出たとしても、実際に内視鏡検査を受けられる方は4割ほどなのです。
意識の低さが死亡率を高めているのですね
たとえばアメリカでは、一定の年齢になると無料で内視鏡検査が受けられます。保険制度の違いから、手術を受けるより内視鏡検査を受けてがんを予防するほうが費用を下げられるという側面はありますが、これらの制度によって大腸がんの発生率、死亡率が劇的に下がっていることは事実です。
反対に内視鏡検査の受診率が低い日本では、胃がんや大腸がんによる死亡率は右肩上がりが続いています。
自覚症状の低さもがんの進行を早めているのでは?
そうですね。胃炎や潰瘍と似た症状が出る場合のある胃がんは、市販薬に頼って放置してしまうリスクが指摘されていいます。
また大腸がんは、粘膜にとどまっている早期の段階では痛みや違和感がなく、見つかったときには進行しているケースや、軽い出血があったとしても痔と勘違いし、その奥にがんが隠れていたという事例も少なくありません。
そもそも胃がん、大腸がんになる原因には何があるのでしょうか?
日本人の胃がんの原因の99%は、ピロリ菌感染のあった方です。数値が高ければ除菌療法を行ってリスクを下げられますが、除菌後も胃粘膜の萎縮の程度に応じて年に一度、最低でも2年に一度で内視鏡検査を受けることをおすすめします。
大腸がんは家族歴が重視されますが、食生活や飲酒、喫煙などの生活習慣も大きく影響します。便潜血はもちろん、便秘と下痢を繰り返す、便が細くなるなどの症状がある方は必ず専門医を受診しましょう。
内視鏡検査を受ければ、確実にがんは見つけられますか?
内視鏡検査は、便潜血やバリウムによるレントゲン透視検査などに比べると圧倒的に精度の高い検査です。内視鏡の性能も上がり、画像強調内視鏡技術を用いてわずかな肥厚などを映し出す特殊光観察なども進歩しました。ただ、大腸に関していえば、洗浄がきちんとできているかどうかで観察の質が左右されることがありますし、一部の早期がんは専門医でも発見が難しいケースもあります。

病院を選ぶ際の目安はありますか?
内視鏡医が発がんリスクのある腺腫をどれだけ発見できるかを示す「ADR(腺腫発見率)」という指標があります。100人のうち20人発見すれば20%となり、アメリカのガイドラインでは25%以上の発見を目標に掲げています。日本での平均は30%前後となっていて、これを経験や実績の目安とすることはできます。
その出血、本当に大丈夫? 自己判断の落とし穴

内視鏡検査を受けられる方で多い症状には、どのようなものがありますか?
受診のきっかけとなる症状は多岐にわたりますが、大腸がんの場合はやはり、「便秘や下痢を繰り返す」「急に便が細くなった」と言われる方が多いですね。
胃がんの場合は、膨満感を訴える方もいますが、注意しなくてはならないのは全身的な病気との関連です。糖尿病や、女性の場合は甲状腺機能の異常も考えられるので検査する必要があります。
貴クリニックは大腸肛門クリニックですが、胃などの消化管、内科も受診できるのですか?
当クリニックでは胃腸内科、肛門外科、消化器内科、内科を診療できます。口から肛門までの消化管を扱うことで全身的な症状に対応できることに加え、外科や内視鏡に精通する技術を患者さんに提供できます。
肛門外科まで専門としている内科は少ないと思います
消化管の病気については、内科的な側面と外科的な側面の両方から診断することで患者さんを正しく誘導できると考えています。特に肛門疾患は大腸からつながる重要な器官であるにも関わらず、内視鏡医の関心の薄い部分です。仮に痔が見つかったなら、肛門科にまわすのではなく、その後の診断・治療まで行えるのが本来は望ましいと思います。
痔について詳しく聞かせてください
痔は肛門周辺の病気の総称であり、代表的な症状が肛門3大疾患といわれる「いぼ痔(痔核)」「切れ痔(裂肛)」「穴痔(痔ろう)」となります。日本人の3人に1人は痔主といわれるほどポピュラーな病気で、歯周病と並ぶ国民病でもあります。
それぞれ特徴や症状を教えてください。まずは「いぼ痔」についてお願いします
いぼ痔がゼロという人はほとんどいないほど、誰にでもあるものです。肛門は筋肉だけでは閉まり切らないので、内部にパッキンのような密閉の役目を担う肛門クッションと言われる柔らかな組織があります。その部分に便秘や長い排便時間などで過度な負担がかかると肥大し、出血したり飛び出したりします。正常と異常の境界線がはっきりしないことも特徴で、腫れが一過性というケースもあります。
次に、「切れ痔」についてご説明をお願いします
肛門とは穴の部分だけではなく、直腸との境目である歯状線まで入り込んでいる部分までを指し、痛みを感じやすい肛門上皮(皮ふ)で覆われています。その部分が硬い便の通過などで、切れたり裂けてしまったりすることを切れ痔といい、特に女性に多い疾患です。
排便時の痛みのほとんどは切れ痔のことが多く、放置すると傷が難治性の潰瘍となり肛門狭窄になることもあります。
「痔ろう」とはどのような症状でしょうか?
痔ろうは少し特殊で、飲酒や普段の排便事情が関係しつつも、事故のような形で発生してしまいます。直腸から肛門組織にばい菌が入り込み、膿のトンネル(穴)がつくられてしまうのですが、膿がたまると高熱や激しい痛みを伴うことがあり、たまった膿はさらに肛門周囲にトンネルを穿ちながら進行します。原因の多くは下痢が続くことで起こり、治療には手術が必須です。
痔はポピュラーな疾患だからこそ、注意が必要ということですか?
確かにポピュラーな疾患だからこそ、痔を軽視してしまう傾向は強いかもしれないですね。でも、実は肛門病は奥が深く、繊細な診断が必要とされる器官でもあります。なかなか便秘で病院を受診される方は少ないと思いますが、排便時の出血や違和感を決して軽視してはいけません。
自己判断はするべきではないということですね
そうですね。稀な例ですが、痔ろうになる前段階の「肛門周囲膿瘍」という疾患で、38~40度の熱が出ることがあります。内科を受診して風邪といわれた方が、そのうちお尻がずっしりと痛くなり、表面から見てもわからない深い位置に膿瘍ができていたということがありました。
生活習慣を踏まえ、出血があれば痔によるものか、腸なのかを専門医にきちんと診てもらうことが大切です。

「受けてよかった」と思える、確かな安心を

貴クリニックでの内視鏡検査の流れを教えてください
まずは事前のカウンセリングを行います。特に既往歴、生活習慣、服薬の状況などのヒアリングには時間をかけます。
検査自体は観察する病変の場所、種類によって方法が異なりますが、たとえば大腸内視鏡検査の場合は腸管洗浄薬の服用による前処置が重要になります。ですから、特に年配の方は便秘の有無や検査前の説明を丁寧に行い、腸閉塞や誤嚥性肺炎といったリスクに備えます。
検査は一日で終わりますか?
大腸内視鏡検査は一日法を採用しているので、その日に終わります。
経鼻内視鏡検査は5mmほどの胃内視鏡を鼻から挿入しますが、口からの挿入より吐き気や負担が少なく、こちらも一日で終わります。(※経過観察のため通院いただく場合があります。)
口から挿入する胃内視鏡も鎮静法を用いて同様に、胃から十二指腸まで詳しく観察できます。
ポリープなどはその場で取ってもらえるのでしょうか?
大腸でも胃でも、早期がんや小さな病変についてはその場で切除することが可能です。また、痛みに不安のある方には鎮静剤や鎮痛剤を使うことがあり、その際は血圧や脈拍、酸素飽和度などのモニタリングをしっかり行うなどリスクにも備えています。
当クリニックでは先進的な設備と経験豊富なスタッフを揃え、より安心して検査を受けられる環境を整えています。

内視鏡検査は定期的に行うべきでしょうか?
がんの早期発見には定期的な検査を受けることが必須です。人生100年時代の今、折り返しである50歳を過ぎたら、一度は内視鏡検査の受診をおすすめします。痔に関していえば、出血の状態を詳しく診断する必要があるので、思わぬ疾患を見落とすことがないよう肛門科を受診することもおすすめします。
ありがとうございました。最後に、読者の方にメッセージをお願いします
私がよく言うのは、便秘も病気だということです。生活の質を上げるためにも、内視鏡検査で正しい診断を行って、痔の適切な治療や、ひいては大腸がん予防への意識を高めてもらいたいと思います。
また、内視鏡検査で得られる情報が治せる病気を発見するきっかけになることを理解し、特に症状がない場合でも、ぜひ一度受けてみることをおすすめします。
編集部まとめ
取材を通じ、がんの早期発見に欠かせない内視鏡検査の重要性と有効性がよくわかりました。軽く判断しがちな胃腸の不調や便通異常についても、放置せずに内視鏡検査を受けることで、疾患の早期発見と適切な治療を受ける機会をつくることが大事といえます。広島大腸肛門クリニックでは、幅広い疾患を適切な治療へと導く環境を整え地域医療に貢献されています。お尻の病気と気後れする方もおられるかもしれませんが、長く快適な人生を送るためにも、気になる症状のある方はぜひ一度、相談に行ってみてはいかがでしょうか。

医院名
広島大腸肛門クリニック
診療内容
消化器内科 肛門外科 内科 など
所在地
広島県広島市西区庚午南1-35-21
アクセス
広島電鉄宮島線「古江駅」駅より徒歩7分
バス「庚午住宅入口」バス停留所より徒歩1分




