負担を抑えた上下部内視鏡検査。少しでも症状や不安があるなら早期受診を【廿日市市宮内 山根クリニック】


日本人の死亡原因として今なお上位を占める胃がん、大腸がんは、初期段階では自覚症状がほとんどなく、見つかったときには進行しているケースも多い。そのため何よりも早期発見、早期治療が重要となる。広島県廿日市市の「山根クリニック」では、痛みや苦痛など負担の少ない上下部内視鏡検査に力を入れている。同クリニックの山根宏昭院長と吉満亜紀副院長に、上下部それぞれの内視鏡による検査内容や、受診の際の注意点について話を伺った。
山根 宏昭(やまね ひろあき)
山根クリニック 院長
金沢医科大学を卒業後、広島大学大学院に進学、卒業。広島大学にて初期研修修了したのち、東広島医療センター、尾道総合病院で外科医として勤務し、がんや外傷手術、全身管理に携わる。2021年に父が理事長を務める「山根クリニック」の院長に就任。生活習慣病の診察のほか、肛門外科や乳腺外科などの診療や日帰り手術も行う。日本外科学会認定外科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医。日本外科学会、日本臨床腫瘍学会、日本未病学会所属。患者や患者家族の話をよく聞き、隠れた訴えに気づけるよう心がけている。
吉満 亜紀(よしみつ あき)
山根クリニック 副院長
幼い頃から医師の父、歯科医の母の姿を見て育ち、医師を志す。久留米大学を卒業後、広島大学にて初期研修修了。広島中電病院、三次中央病院、マツダ病院、広島大学病院で消化器内科医として勤務したのち、東京の健診センターに勤務。帰広し、「山根クリニック」副院長に就任。日本消化器病学会 消化器病専門医、日本内科学会認定医、緩和ケア研修会修了。日本消化器内視鏡学会所属。内視鏡で病変を見つけることができ、患者さんが元気になった姿を見るのが一番のやりがい。
経口からの挿入か、経鼻からの挿入か。選べる上部内視鏡検査
上部内視鏡検査について、どんな方が受けに来られますか?
健康診断で異常を指摘された方、血液検査でピロリ菌陽性になった方が中心です。若い方ですと、胃の痛みを訴えられる方が多いです。ほかには、生ものを食べたことによるアニサキス症の疑いの方もいらっしゃいますね。

中高年以上だと、胃がんの心配で来られる方も多いのではないでしょうか。胃がんだとどのような自覚症状がありますか?
胃がんについて言うと、実は初期症状はあまりありません。病気が進行していくと、胃もたれ、便が黒くなる、貧血、体重減少などが起きてきます。ですから、やはり中高年以降の方は、健康診断のバリウム検査で引っかかったので、さらに詳しい検査をということで、内視鏡検査を希望して来院される方が多いです。
上部内視鏡検査を受ける頻度はどれくらいが望ましいのでしょう?
40歳以上で症状がある場合は一度検査されることをおすすめしています。若い方でも、ご家族にがんの既往歴がある方は同様です。また、ピロリ菌陽性になって除菌された方も、胃炎の状態が進んでいることがありますので、定期的な経過観察を続けて欲しいと思います。
喫煙される方、よく飲酒をされる方についても、上部内視鏡では食道もしっかり観察できるので、年に1回受けていただけると安心ですよ。
食道の状態もわかるのですね。胃がんのほかにはどんな病気がわかりますか?
食道、胃、十二指腸などを内視鏡を使って観察しますので、食道がん、逆流性食道炎、ポリープ、十二指腸潰瘍などを見つけることができます。
さらに、胃粘膜などの細胞を採取して、がん細胞の有無を詳しく評価します。ピロリ感染の有無は血液検査や呼気検査でより正確に診断します。
経口からの挿入と経鼻からの挿入の両方に対応されているそうですね。それぞれどのような特徴があるのですか?
経鼻からの挿入はスコープが約5~6mmと細く、嘔吐反射が少ないことがメリットです。鼻にスプレーやゼリーなどで麻酔をかけて痺れさせ、スコープを挿入します。検査中に会話もできますし、画像を確認しながらその場で質問をしていただくこともできます。希望があれば鎮静剤は使用します。鎮静剤を使用していない場合は検査後すぐ帰宅できますし、当日の車の運転も可能です。ただ、鼻腔が狭い方は挿入できない場合があります。また、鎮静剤を使用した場合は休憩が必要です。
経口からの挿入は経鼻スコープと同様のスコープを使用します。(なので同じ6㎜のスコープになります。)喉の麻酔を施した状態で検査を行うか、希望によっては注射による鎮静剤を使用します。鎮静剤を使用すると意識低下、リラックスした状態で楽に検査を終わらせることができます。その場合は検査後、院内での休憩時間が必要で、当日は車の運転や高所作業などをすることはできません。
経口挿入と経鼻挿入はどのように使い分けているのですか?
鼻が敏感で痛みを感じやすい人は、経口挿入がよさそうです。どちらを選ぶかは、まずは患者さんの希望を聞いて、相談の上決定しています。
経口挿入を選んだ場合でも、呼吸法で挿入が楽になることもあります。具体的には、鼻から息を吸って、ため息のように息を吐き、力が抜けた瞬間にスコープを挿入していく方法です。どうしても嘔吐反射が強い方には、反射を和らげる注射を使うこともできます。
患者さん一人ひとりの要望や状態に合わせて、楽に検査を受けていただける方法を判断していきます。
上部内視鏡検査の所要時間はどのくらいですか?
麻酔など検査の前処置をするのに15分ほど、検査自体は5分程度、その後検査結果を聞いていただきます。特に処置が必要なければ、全部で30分程度で終わります。鎮静剤を使う場合は検査後の休憩時間が必要ですので、1時間半をみておいていただければよいでしょう。
検査を受ける前の注意事項を教えてください
前日の夕食は夜21時までに済ませてください。そのあとは水やお茶などの水分は取っていただいて構いません。当日は朝から絶飲食です。
また、常用薬については、血圧を下げる薬など当日も服用していただきたいものと、服用しないでいただきたいものがありますので、指示をお聞きください。

もし異変が見つかった場合は、どんな措置をしていきますか?
検査中に異変が見つかれば、内視鏡で組織を採取し、病理検査に提出します。その結果を見て、治療が必要な場合は総合病院等にご紹介します。
胃がんは早期発見が鍵となります。胃の痛み、違和感、食欲不振などの症状が少しでも見られるなら、できる限り早めに検査を受けていただきたいですね。
下部内視鏡検査は女性医師希望にも対応可能

下部内視鏡検査はどんな症状のある方が受けたらよいですか?
腹痛のある方、お腹の張りを感じる方、便秘や下痢、便が細くなったなどの変化がある方、体重減少している方です。
また、当院には痔で来院される方も多いのですが、痔と思っていた出血が実は大腸病変に由来するものであったり、痔に悩んで来院された初診の方にも、症状や検査所見によっては下部内視鏡検査をおすすめしています。出血や腹痛などの症状があり、40歳以上の方は、検査を一度受けていただけると安心です。
下部内視鏡検査ではどんな病気がわかりますか?
肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの全大腸と小腸の出口部分を調べます。大腸がん、ポリープ、憩室症、虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病などを見つけることができます。
当院では男性医師と女性医師の両方が検査を担当しておりますので、女性の方で、女性医師による検査を希望される方は遠慮なくお申し出ください。
検査は事前準備も含めてどのような流れで行いますか?
検査前日は消化のよい、大腸に残りにくい食事を取っていただきます。夕食は20時までに済ませ、水分をしっかり摂るようにしてください。
当日は処方した下剤を水に溶かして飲んでいただき、お腹の中をきれいにしてもらってからご来院いただきます。なるべく病院で過ごす時間を短くできるように、基本的にはご自宅で下剤を飲んでいただいています。
来院後は便の状態を確認し、鎮静剤をご希望の方には鎮静剤を処方し、検査を行います。検査自体は15分程度ですが、ポリープが見つかり、切除を行う場合は30分ほどかかることもあります。鎮静剤を使用する場合は検査後の休憩時間が必要ですので、全部で2~3時間ほどをみていただければと思います。常用薬については、上部内視鏡と同様、服用していただきたいものと控えていただきたいものがありますので、ご確認ください。
◆ポリープを見つけた場合は検査中に切除するのですか?
5mm~2cmのサイズのものはその場で切除手術を行います。5mm以下のものでも、発赤しているものはがん化リスクがあるのでその日のうちに取ってしまうこともありますが、基本的には経過観察となります。
ポリープには良性のものと悪性のものがありますが、良性と診断されても、サイズが大きくなっていく内に悪性化することもありますので、定期的な検査が必要です。
下部内視鏡検査はどのくらいの頻度で受けることを推奨しますか?
何も症状がなければ2~3年に1回、ポリープができやすい方は1年に1回をおすすめします。また、前回の検査でポリープの切除手術を行った方は、1年後に再度検査を受けていただきたいですね。

希望を聞き取り、少しでも苦痛・負担の少ない検査を実施

上部と下部、それぞれの検査費用を教えてください
上部内視鏡検査は、3割負担の方で4,140円、1割負担の方ですと1,380円。下部内視鏡検査は3割負担の方で5,790円、1割負担の方は1,930円です。ポリープが見つかった場合、切除1箇所につき、3割負担の方は2万2,820円、1割負担の方は7,680円となります。
※上記の費用は目安となり、保険点数の改定や検査内容により変動する場合がございます。あらかじめご了承ください。
先生が内視鏡検査の際に心がけていることは何でしょうか?
とにかく患者さんに痛みがないこと。それが第一です。患者さんの様子をしっかり見て、「痛くないですか?」「大丈夫ですか?」と声をかけながら検査を進めていくようにしています。
どの方法が患者さんにとって楽なのかは、本当に人それぞれです。検査中も話をしていたほうが「気が紛れてよい」という方もいますし、とにかくしっかり鎮静剤を効かせてほしいという方もいらっしゃいます。
しっかり事前に聞き取りを行い、できる限りご希望に添った形で、苦痛・負担の少ない検査ができるように心がけています。

貴クリニックでは美容分野への対応もされているとのことですが、どのような内容のものでしょうか?
シミ、くすみ、赤み、小じわなどのご相談を受けています。光治療、飲み薬の処方、医療機関専売の化粧品のご紹介を行っています。
ありがとうございました。最後に、Medical DOCの読者にメッセージをお願いします
胃がん、大腸がんに限らず、すべての病気は早期発見、早期治療することで、体に大きな負担をかけずに社会復帰することができます。特に症状がなくても、少しでも不安や心配があれば、いつでもご相談にいらしてください。
編集部まとめ
検査を億劫に感じてしまう人は多いようですが、1~2年に一度、少し頑張って検査を受ければ大きな安心が得られます。特に内視鏡は検査精度が高く、異変の早期発見に有力です。少しでも苦痛を除き、楽に検査を受けられるようにと心を砕いている山根院長と吉満副院長のお話を聞いて、検査への不安が軽くなり、前向きに取り組めそうだと感じました。

医院名
山根クリニック
診療内容
消化器内科 内科 外科 など
所在地
広島県廿日市市宮内3丁目10番15号
アクセス
広島電鉄宮島線「地御前」駅より徒歩18分
バス「宮内郵便局」バス停留所より徒歩2分




