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技術が進化し、メリットも大きいインプラントの現状とは?【福井県福井市 田中歯科クリニック】

 公開日:2025/11/28
技術が進化し、メリットも大きいインプラントの現状とは? 技術が進化し、メリットも大きいインプラントの現状とは?

失った歯の代わりとして、自然な歯と同様の噛み心地を取り戻せることが強みのインプラント代替歯の治療手段としてのメリットは圧倒的といわれる。その反面、高額な費用や長期にわたる治療期間など、マイナスイメージもないわけではない。インプラント治療が始まってからすでに長い年月が経過しているが、近年はどれほど進化しているのだろうか? 福井市の「田中歯科クリニック」は、インプラント治療において豊富な経験を持ち、数多くの難症例にも対応している。手術の実態や治療後のメンテナンスなど、インプラント治療の現状について同院の田中肇院長に話を伺った。

Doctor’s Profile 田中 肇(たなか はじめ) 田中歯科クリニック 院長
日本大学松戸歯学部卒業。平成8年に田中歯科クリニックを開業以来、できるだけ患者のニーズに応えたいと一般歯科からインプラント、矯正まで幅広い診療を実施。“全人的な治療”をモットーに、ライフスタイルや体質など小児から成人まで世代を問わず、一人ひとりに合わせたきめ細かい対応と、希望に沿った幅広い治療の選択肢を提供。地域医療に貢献し続けている。

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新しい歯の土台となるインプラントの現在の実力とは?

歯を失ったときの代替歯の治療法について教えてください

自身の歯を失った場合、現在は「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」の3つの治療法から選択できます。それぞれメリット・デメリットがありますが、選ぶポイントとしては機能性と寿命、ほかの歯への影響、金額を重視される方が多く、その理由は治療法の違いと、その後の生活面が大きく関係していると思います。

新しい歯の土台となるインプラントの現在の実力とは?

治療法が違うと、どんなことが変わってきますか?

まず入れ歯は、金属の留め金を両隣の歯にかけ人工歯を装着しますが、完全には固定されないため咀嚼力が落ちます。 ブリッジの場合、両隣の歯を土台として橋をかけるように人工歯を固定します。この治療法では健康な両隣の歯を削ることになりますが、入れ歯に比べると安定性が高いので、自身の歯に近い感覚を取り戻せます。 そしてインプラントは、歯が失われた部分の骨に人工歯根(インプラント)を埋め込み、その上に人工歯を取り付けます。そのため高い固定性と、ほかの歯に影響がなく自然の歯と同様の噛み心地が得られるというメリットがあります。

ただ、インプラント治療にはまだ踏み切れないと考える人が多いようです

それはインプラント治療に対して、骨をノミで叩いて削るといった出始めの頃のイメージを持たれている方が多いからではないでしょうか。 現在は技術が格段に進歩し、さまざまな口腔環境に合わせた治療法が確立されています。それに伴い、患者さんの負担や心配も低減されているというのが私の実感です。

技術の進歩とはどのようなことですか?

たとえば、インプラントを埋入するための骨の量が足りない場合、専用ドリルを逆回転させて穴を押し広げるという方法があります。従来なら削った骨は排出されますが、骨の壁を圧縮するので厚みを確保でき、骨密度の低い人でも埋入できるというメリットがあります。 ほかにも、超音波で骨を割いていく方法や、これまで困難とされていた上顎への埋入でも新しい技術が取り入れられています。 歯科医にとっても、技術の進化によって施術がスムーズに行えるうえ、手術時間も短縮されるので患者さんへの負担も少なくなっていると考えます。

新しい歯の土台となるインプラントの現在の実力とは?

ほかにも、技術の進化によるインプラント治療のメリットはありますか?

埋入するインプラントと骨が結合する精度が上がり、治療が終わるまでのスピードも早くなっています。その背景には、インプラント表面の加工技術や素材の質の向上などがあります。これによって治療期間の短縮や成功率はもちろん、患者さんの満足度といったさまざまな側面にメリットをもたらしています。

痛みも腫れも少ない、満足度の高い治療法

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インプラント治療を行ううえで、患者さん側の注意点はありますか?

一番は、歯が抜けた原因をきちんと知っておくことです。歯周病やむし歯が原因であれば、それは普段のメンテナンスやご自身の歯磨きが行き届いていないということになりますね。 そのような磨き癖がある場所にインプラントを入れるのは、やはりリスクになります。ですから、当クリニックではまずはメンテナンスのための指導を行い、口腔環境を整えることに意識を向ける期間を設けるようにしています。

普段のお口の状態が治療に影響するのですね

そうですね。また、噛み合わせにしても同じことがいえます。たとえば、患者さんの中には左側だけで噛む癖が強く、右側だけ健康な歯が残っているといったケースがありました。まずはその部分の改善を行わなければ、せっかく埋入したインプラントを損傷させてしまいます。 正しい歯磨きの方法も含めて、歯を失った原因を明らかにし、インプラントの寿命を延ばすために何をすればいいかを知ってから治療に入るべきだと思います。

インプラントをいれることのできないケースもありますか?

骨については、それぞれの患者さんの体質があるので、状態をよく見極める必要があります。年齢でいうと、70代、80代でインプラントを入れる方もいらっしゃいますが、将来認知症になったり、身体機能の変化でそれまでと同様に歯を磨けなくなったりした場合、インプラントの周囲が炎症を起こしてしまう可能性があります。それについては、私たち歯科医師の間でもひとつの課題となっています。

持病が影響することはありますか?

糖尿病の方はインプラントの生着率が低くなるというデータがあります。また、骨粗しょう症のお薬を飲まれている方、骨吸収抑制薬を使用している方は、やはり骨とインプラントの結合を妨げるのでおすすめできません。

治療するクリニックの選択で迷ったときどうすればいいですか?

クリニック選びでは、丁寧なカウンセリングや説明がわかりやすいか、きちんと選択肢の提示があるかなどを比較してみましょう。また、院内が清潔であることはインプラント治療でとても重要なことです。新しい機材が揃っていることは安心材料のひとつともいえますが、リスクに関するヒアリングを十分に行うべきだと思います。

貴クリニックの特徴について教えてください

当クリニックでは歯科用CT撮影装置を導入しており、従来のレントゲンでは判別が難しかった骨の厚みや密度まで計算することが可能になっています。一般的には、CT撮影は装置のある病院で行う場合が多いのですが、当クリニックではそれを一貫して行えるので、迅速な診断で患者さんの負担を減らすことをはじめ、高度な診断のもと適切な治療へとステップを進めることができます。

インプラントの手術による痛みはありますか?

手術中の痛みは、麻酔が効いているので問題ありません。また、術後の痛みもほとんどありません。なぜならインプラントを埋入する骨には痛覚がないからです。 インプラントを入れるために空けた穴には、それと同じ形状・サイズのフィクスチャー(インプラント体)が入るので、傷口に隙間が残ることで起こる、いわゆる二次治癒のような痛みも少ないのが特徴です。

腫れることに対する心配はありませんか?

基本的に腫れることもほとんどありません。ただ、骨をつくるための処置や移植など、骨を覆う歯肉に負担がかかった場合は、多少の腫れや痛みを感じることはあります。しかし、それは術後や傷が治るときの違和感に似た程度だと思っていただいて大丈夫です。

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美味しく食べられる人生を見据え、自身の口腔環境に関心を

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貴クリニックで採用しているインプラントの種類についてお聞かせください

当クリニックでは、「BioHorizones(バイオホライズンズ)」と「MEGAGEN(メガジェン)」というメーカーのインプラントを取り扱っています。バイオホライズンズ社のインプラントは、歯肉と良好な結合が見られるもので、これにより細菌感染のリスクが低減され、審美的にも優れています。メガジェン社は、先述の逆ドリルをつくっているメーカーで、ショートインプラントの埋入に適しています。

インプラントの治療費の目安はどれくらいですか?

当クリニックの基本料金は、インプラント体が286,000円、上に被せる人工歯が44,000円で、合計330,000円(税込)となっています。人工歯の部分をジルコニアなどの素材に変更するならば、プラス44,000円程度が必要になります。

手術時間はどのくらいですか?

実際の手術時間は、1本につき15~20分程度で終わります。事前準備から麻酔などを含めても、入室から退室まで約1時間ほどです。当クリニックでは週に1日だけ手術日を設け、多くて2名の患者さんの手術を行います。 なお、手術は通常2回に分けて行います。インプラントを埋入し、インプラントが骨と結合するのを待つ期間として下顎なら約2カ月、上顎なら約3カ月が必要になるからです。その後、インプラントと人工歯をアバットメントというものでつなぎ合わせる処置を行います。

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治療後に患者さんが注意しなければいけないことはありますか?

結合期間は過度な負担を避ける、上顎で鼻に近い骨に穴を空けた場合は強く鼻をかまないなどがあります。 あとは、インプラントはチタンの柱なので、当クリニックではなるべくフッ素入りの歯磨き粉の使用をさけるよう推奨しています。また、メンテナンスは通常の定期検診と同様、長くても半年に一回の来院をお願いしています。

最後に、インプラント治療を受けようと思っている方にメッセージをお願いします

ご自身の歯をなるべく残そうと考えたとき、入れ歯やブリッジに比べるとリスクを抑えられるのがインプラントだと私は考えています。ちなみに、インプラントは、撤去してほかの治療法への変更が可能であるということもお伝えしておきたいですね。なぜなら骨は再生するからで、その点で歯を削ってしまうブリッジは後戻りできない治療法といえます。 ともあれ大切なことは、治療のゴールをインプラントと考えるのではなく、その先でご自身の口腔内に興味を持ち、できるだけ歯を残すためのメンテナンスが行えるかということです。私は歯科医として、そのための啓発も同時進行しながら、長くQOLを維持できる人生に寄り添いたいと思っています。

編集部まとめ

現在はインターネットを通して情報を得る患者さんが多く、「それが余計な不安を抱かせている場合もあります」という院長の言葉が印象的でした。事前に調べる心がけも大事ですが、まずは信頼できる歯科医に相談し、自身に合った治療法を選択することで、納得のいく結果が得られるのではないでしょうか。田中歯科クリニックでは、全人的な治療をモットーに幅広い症例に対応されています。一人ひとりのバックグラウンドを大切にする診断で、全身の健康と長い人生に関わる口腔環境を見直し、QOLの向上を目指しましょう。

田中歯科クリニック

医院名

田中歯科クリニック

診療内容

インプラント治療 歯周病治療 ホワイトニング など

所在地

福井県福井市経田2丁目407

アクセス

えちぜん鉄道三国芦原線「八ツ島」駅より徒歩14分

この記事の監修歯科医師