自分に合う安心・安全な治療を受けるために。インプラント治療の理解を深めよう【愛媛県松山市 おひさま歯科クリニック】


歯を失った際の歯科治療として、自分の歯のようにしっかり噛める機能性や見た目の美しさなどからインプラント治療の有意性が認識されるようになってきた。しかし、そうしたメリットを感じながらも、費用の高さや安全性に不安を感じて治療に踏み切れない人も多いのではないだろうか。インプラント治療には精密な検査ができる機器が必要であり、歯科医師の経験や技量によっても左右される。現状、インプラント治療の安全性や成功率などはどうなのだろうか? 今回は外科治療を専門的に学び、数多くのインプラント治療に携わっている「おひさま歯科クリニック」の院長・藤田陽平にお話を伺った。
藤田 陽平(ふじた ようへい)
医療法人誠陽会 おひさま歯科クリニック 院長
2001年私立愛光高校卒業。2008年広島大学歯学部歯学科を卒業後、愛媛大学大学院口腔顎顔面外科学を修了。大学病院などの勤務を経て、故郷の愛媛県松山市にて2021年「おひさま歯科クリニック」を開業。医学博士、日本口腔外科学会 認定医、日本顎咬合学会 認定医。
日本口腔インプラント学会、国際口腔インプラント学会、日本歯科麻酔学会などさまざまな学会やスタディグループに所属し、培った技術や経験を生かして地域に根差した歯科医療を提供している。
目次 -INDEX-
- 周囲の歯に負担をかけず、天然歯に近い機能を取り戻す
- インプラント治療はずいぶん身近になってきましたが、興味はありつつ躊躇している人もいると思います。貴院に来られる患者さんは、インプラントに対してどんな不安を抱えていますか?
- 治療期間はどのくらいかかるのでしょうか?
- インプラント治療は手術を伴いますので、その際の痛みについて不安があります。それについてはいかがでしょうか?
- それでは改めて、インプラント治療のメリットについて教えてください。入れ歯やブリッジと比較して、どんな違いがあるのでしょうか?
- インプラント治療をした後、日常生活においてデメリットが生じることはありますか?
- インプラント治療をする上で、身体的な条件はありますか? 年齢制限はあるのでしょうか?
- インプラントが困難な人に対して、先生はどのような治療法をおすすしますか?
- 精密な事前診断とサージカルガイドで安全な治療を
- インプラントを長持ちさせるために必要なこと
周囲の歯に負担をかけず、天然歯に近い機能を取り戻す
インプラント治療はずいぶん身近になってきましたが、興味はありつつ躊躇している人もいると思います。貴院に来られる患者さんは、インプラントに対してどんな不安を抱えていますか?
やはり費用に関するご心配が多いですね。日本の保険制度では適用外になるため、高額な費用がかかってしまうイメージがあります。
失った歯を補う治療ではいくつか選択肢がありますが、インプラント治療には費用以上の価値が十分にあると思います。もともとの歯にはそれ以上の価値がありますので、天然歯とほぼ同じように噛めて、機能を回復できるとしたら、決して高いものではないという説明をさせていただいています。

治療期間はどのくらいかかるのでしょうか?
一般的には半年くらいです。歯を抜いてすぐにインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入」という技術を使った場合は、3カ月ほどになります。治療回数は5~10回ほどです。
インプラント治療は手術を伴いますので、その際の痛みについて不安があります。それについてはいかがでしょうか?
それでは改めて、インプラント治療のメリットについて教えてください。入れ歯やブリッジと比較して、どんな違いがあるのでしょうか?
インプラント治療をした後、日常生活においてデメリットが生じることはありますか?
インプラント治療をする上で、身体的な条件はありますか? 年齢制限はあるのでしょうか?
安全にインプラント治療をするためには、骨の量や質が重要になります。骨がしっかりあることが第一条件ですね。骨を造成する治療もありますが、期間が長くかかり、患者さんの負担も大きくなってしまいます。全身的な疾患では、糖尿病や骨粗しょう症の方は難しい場合があります。
年齢の上限は特にありません。健康で骨がしっかりしている方であれば、たとえ80歳以上でも治療は可能です。

精密な事前診断とサージカルガイドで安全な治療を

貴院のインプラント治療の流れを教えてください
最初にヒアリングをして、インプラントのメリット・デメリットをご説明します。治療をご希望されれば、お口の模型を取ったり、CTを撮ったりして準備を進め、シミュレーションに基づいてサージカルガイドを作製します。
治療計画を立てて同意をいただいたら、インプラント手術の開始です。一次手術ではサージカルガイドを使ってインプラントを埋め込みます。事前に仮歯を用意しておき、一次手術のときに仮歯を入れて歯のない期間をできるだけ少なくしています。
3~4カ月くらいの治癒期間を経て、インプラント体と人工歯を連結する部品を装着をする 型取りをします。人工歯を作製してインプラントに取り付けるという流れです。その後はメンテナンスを継続していきます。
CTについて詳しく教えていただけますか?
外科的な手術が必要とされるインプラント治療を安全に行うためには、CTを活用した精密な事前診断が欠かせません。
歯科用CTは、顎の骨の量や幅、骨質まで立体的な画像で把握することができる医療機器です。レントゲンでは平面的にしか撮影できないため、骨の厚みや、血管や神経の位置などを正確に把握することは困難です。
しかし、手術前の検査でCT撮影をすることによって、患者さんの詳細なデータを取得でき、入念なシミュレーションを行うことができます。
先生は外科的な経験が豊富だとお聞きしています。これまでの実績や技術についてお伺いできますか?
インプラント手術後に、治療の痛みが残るようなことはありませんか?
手術中の痛みは麻酔で抑えることができますが、術後に痛みが出る可能性はゼロではありません。特に骨造成など大きな手術をした後は、腫れてしまうことがよくあります。その場合は点滴で痛み止めを入れたり、飲み薬を処方したり、冷やして腫れを抑えたりする処置をしています。
治療後、患者さんが注意すべきこと、やってはいけないことがあれば教えてください
手術の直後はできるだけ安静にして、傷口を触ったり、歯ブラシで刺激したりしないようにしてください。
タバコに関しては、インプラントだけでなく歯周病にも悪影響が出ますので、口内の環境を整えるために、できるだけ控えていただきたいですね。

インプラントを長持ちさせるために必要なこと

インプラントの耐久性はどの程度でしょうか? 貴院ではどこのメーカーのインプラントを使用されていますか?
ドイツで高いシェアを持つアルタデント社のカムログインプラントを使用しています。長期的な臨床研究に基づいた信頼性の高いインプラントです。耐久性は、5年生存率で98%、10年生存率で95%ぐらいという文献が出ています。
メンテナンスや噛み合わせの状態によって個人差はありますが、「10年はしっかり持たせるように頑張りましょう」と患者さんにお伝えしています。
インプラントを長持ちさせるためには、どのようなお手入れや生活をすればよいでしょうか?
歯科医院で定期的にメンテナンスをすることが大事です。特に問題がなければ3カ月に1回、糖尿病などの感染リスクが高い方は1カ月に1回を推奨しています。
日々の生活では、丁寧なブラッシングを継続していただくことですね。歯間ブラシやフロスのような補助清掃器具を使って、歯と歯の間を清潔に保つことが大切です。

患者さんにとって、インプラント治療の医院選びは重要ですし、悩むところだと思います。どんなポイントを見て探せばよいと先生はお考えですか?
ひとつの目安となるのが症例数です。やはり経験の多い歯科医師のほうが、安心して治療を受けられると思います。
また、サージカルガイドのような安全性を高める方法を取り入れているかどうかもポイントになるでしょうね。今では、リアルタイムでモニターを見ながらインプラントを埋入する、ダイナミックナビゲーションシステムを導入している歯科医院もあります。こうした設備にも着目して医院選びをしてはいかがでしょうか。
最後に、Medical DOCのサイトを訪れた読者の方にメッセージをお願いします
インプラント治療を受ける際は、しっかり情報収集することが大切です。高額な費用もかかりますので、ご自身が納得した上で受けてください。歯科医師の説明をよく聞き、疑問点があれば質問をして、妥協せずに決めていただくのがよいと思います。
編集部まとめ
インプラントは、歯を失ったときに機能と自然な見た目を回復する治療法として知られています。今回のインタビューで、そのメリットもデメリットもしっかり理解することができました。費用の面で迷う方も多いと思いますが、長期的な視点で快適な機能を得られると考えてはいかがでしょうか。インプラント治療は、日々のケアと歯科医院でのメンテナンスを続けることが前提となりますので、お口の健康意識が高まる相乗効果もあります。

医院名
医療法人誠陽会 おひさま歯科クリニック
診療内容
所在地
愛媛県松山市余戸中4丁目16-18
アクセス
伊予鉄道郡中線「余戸」駅より徒歩12分
伊予鉄バス「井手の上」バス停留所より徒歩9分




