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「鼻がつまるだけ」と放置はNG。アレルギー性鼻炎の悩みは専門医へ【大阪市西区 わたなべ耳鼻咽喉科】

 公開日:2025/08/29
「鼻がつまるだけ」と放置はNG。アレルギー性鼻炎の悩みは専門医へ 「鼻がつまるだけ」と放置はNG。アレルギー性鼻炎の悩みは専門医へ

「くしゃみが止まらない」「鼻がつまって眠れない」「常に鼻声で集中できない」 そんな悩みを持つ方は、アレルギー性鼻炎の可能性があるかもしれない。 いまや国民の8割が何らかのアレルギーを抱えているともいわれる中で、アレルギー性鼻炎に悩む人は年々増加し、都市部では特にその傾向が強くなっている。 今回は大阪市西区にある「わたなべ耳鼻咽喉科」の渡邉建院長に、アレルギー性鼻炎の原因、治療法、そして患者さんに伝えたいメッセージまでじっくりとお話を伺った。

Doctor’s Profile 渡邉 建(わたなべ けん) わたなべ耳鼻咽喉科 院長
近畿大学医学部卒業後、大阪大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室に入局。大阪大学医学部附属病院、公立学校共済組合近畿中央病院、市立豊中病院などで臨床経験を積み、平成17年より医療法人純幸会 豊中渡辺病院 耳鼻咽喉科部長、平成28年からは関西メディカル病院耳鼻咽喉科部長を歴任。 平成29年、大阪市西区に「わたなべ耳鼻咽喉科」を開院。

子どもから大人まで急増中。アレルギー性鼻炎が“特別ではない”時代

近年、アレルギー性鼻炎の患者さんが増えていると聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか?

間違いなく増えています。実感として、毎日の診療の中でアレルギー症状を訴える患者さんの割合がどんどん増えています。SNSやネットを活用して、「もしかして自分も…」と受診される方も多いですし、何より症状がつらくて我慢できなくなっているという方が増えている印象です。

子どもから大人まで急増中。アレルギー性鼻炎が“特別ではない”時代

どのような年齢層に多いのですか?

小さなお子さん、特に保育園・小学校低学年くらいのお子さんが増えていますね。若い世代、20代~30代の方も多いです。背景には、ご両親にアレルギー体質のあるケースが多いことが関係しており、アレルギー体質の遺伝的継承が増えているのではと考えています。

アレルギー性鼻炎の原因には何があるのでしょうか?

大きく分けて、「花粉」と「ハウスダスト」が主な原因です。花粉の場合、季節ごとに種類が違っていて、春先はスギやヒノキ、夏から秋はイネ科やキク科などが多いですね。ハウスダストというのは、いわゆるホコリやダニの死骸など、室内環境にあるものです。 また、黄砂やPM2.5といった大気汚染物質も、アレルギーと似た症状を引き起こすことがあります。アレルゲンそのものではなくても、体調や環境によって症状が出ることはよくあることです。

子どもから大人まで急増中。アレルギー性鼻炎が“特別ではない”時代

特に都市部で症状が強く出やすいという話もありますね。

そうなんです。当院は大阪市の中心部にありますが、都会特有の大気汚染、アスファルトや建物からの浮遊物、室内空調などの要因もあって、ハウスダストや花粉が空中に残りやすい環境にあります。 実際、大阪市西区は小児喘息の患者さんも多い地域で、アレルゲンが多く飛んでいる印象です。

「たかが鼻づまり」が引き起こす合併症。治療は何をどう選ぶ?

「たかが鼻づまり」が引き起こす合併症。治療は何をどう選ぶ?

アレルギー性鼻炎を放っておくと、どんな問題が起こるのでしょうか?

鼻がつまると、まず口呼吸になります。すると喉が乾燥し、風邪や扁桃炎などの感染症にかかりやすくなります。さらに、副鼻腔炎(ちくのう症)を発症することもあります。これは鼻の周りにある空洞に炎症が起きる状態で、痛みや頭重感、ひどいと頭痛につながります。 また、気管支喘息やアトピー性皮膚炎など、アレルギーは全身に影響を及ぼす疾患です。特に見落とされがちなのが「睡眠障害」です。鼻がつまると、息苦しくて夜中に目が覚めてしまい、十分な睡眠が取れず日中のパフォーマンスにも影響します。

診断にはどんな検査を行いますか?

まずは問診で「いつ、どんなタイミングで症状が出るか」を詳しくお聞きします。掃除をしたときや、特定の季節だけ調子が悪いなど、日常生活の中のヒントが重要なんです。 その後、血液検査でアレルゲンを特定します。花粉といっても種類がいろいろありますから、スギなのかヒノキなのか、またそれ以外の花粉なのかを見極める必要があります。花粉だけでも6~7種類のパターンがあるので、血液検査でしっかり調べることが診断の第一歩です。

治療方法にはどのような選択肢がありますか?

大きく分けて3つの方法があります。 まず、薬物療法です。これは抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬など、症状を抑えるための基本的な治療です。副作用も少なく、症状を抑えながら日常生活を快適に過ごすことができます。 次に、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)です。アレルゲンを少量ずつ体内に取り入れて、徐々に慣らしていく治療です。現在日本で承認されているのはスギ花粉とダニのみなので、アレルゲンがこれに該当している必要があります。 あとは手術療法ですね。レーザーで鼻の粘膜を焼灼してアレルゲンを吸着しづらくする方法や、くしゃみ・鼻水を引き起こす神経を切除する手術、粘膜を縮小させるための骨の手術もあります。これらは薬が効かない方や、服薬を続けられない方に提案します。

手術には入院が必要ですか?

当院では基本的に日帰り手術(※)を行っています。ただ、持病がある方や、局所麻酔に不安がある方には入院施設のある提携病院をご紹介し、私自身が出向いて手術を担当する場合もあります。 (※)手術の前後に検査や経過観察の通院が必要な場合があります。

食生活や運動など、患者さんが気をつけることはありますか?

もちろんあります。まず食事は添加物の多い食品やファストフードに偏らないこと。バランスのとれた食生活が大切です。睡眠もしっかり取りましょう。運動は免疫機能を整えるのに有効ですが、都会では大気汚染が心配なので、スイミングなどの屋内スポーツがおすすめです。 また、治療においては処方された薬をきちんと使うことが重要です。特に市販の点鼻薬は使いすぎると薬剤性鼻炎を引き起こす恐れがあります。自己判断せず、症状が気になるときは必ず受診していただきたいですね。

治療期間はどれくらいかかるのでしょうか?

アレルギー性鼻炎は「完治」する病気ではなく、アレルゲンにさらされれば再発します。つまり、症状をコントロールしながら付き合っていく必要がある疾患です。 「どのくらいで治るの?」と思う方も多いですが、「治す」よりも「うまくコントロールする」ことを目指してほしいですね。

「たかが鼻づまり」が引き起こす合併症。治療は何をどう選ぶ?

「完治」ではなく「コントロール」。日常生活と治療の両立を

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アレルギー性鼻炎は治りますか?

残念ながら、完全に「治る」という病気ではありません。アレルギーは免疫の反応なので、アレルゲンに暴露されればまた症状が出ます。大切なのは「うまく付き合っていくこと」、つまりコントロールすることです。

日常生活で気をつけることはありますか?

まず、アレルゲンの暴露をなるべく避けること。掃除のときにはマスクを着用したり、空気清浄機を使うのもよいと思います。 食事では、ファストフードや加工食品ばかりに偏らず、野菜・たんぱく質・発酵食品などバランスのとれた食生活を心がけてください。睡眠や適度な運動も免疫バランスを整えるために大事です。インドアスポーツ、特にスイミングはおすすめです。

治療中に患者さんに気をつけてほしいことはありますか?

処方された薬は必ず正しく使用してください。また、市販の点鼻薬には注意が必要です。使いすぎると「薬剤性鼻炎」といって、逆に鼻炎がひどくなるケースがあります。市販薬に頼る前に、ぜひ一度専門医に相談してほしいですね。

貴院でのアレルギー鼻炎の治療費用はいかほどでしょうか?

ちょっと費用がかかるのは手術の場合ですから、それについて申し上げます。 鼻腔レーザー照射術(下甲介粘膜焼灼術)は8,730円(税込み)。 粘膜下下甲介切除術は片側で22,470円(税込み)。 翼突管神経切除術(後鼻神経切除術)は片側で91,380円(税込み)です。 (上記は手術料のみであり、再診料、手術時の使用薬剤料や術中管理料は含まれておりません。) 治療期間/通院回数 鼻腔レーザー照射術(下甲介粘膜焼灼術):1~2週間/1~2回程度 粘膜下下甲介切除術:1週間程度/週1回程度 翼突管神経切除術(後鼻神経切除術):1週間程度/週1回程度

「完治」ではなく「コントロール」。日常生活と治療の両立を

先生が診療で最も大切にしていることは何ですか?

通り一遍の治療は行わないように心がけています。困っていること、求めている改善レベルは患者さん一人ひとり違います。「とにかく薬は飲みたくない」「鼻づまりさえ何とかなればいい」など、それぞれの希望に合わせて治療法を選ぶことが重要だと考えています。

最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。

アレルギー性鼻炎は我慢してもよくはなりません。生活の質を大きく下げてしまう病気です。でも、きちんと原因を調べて対処すれば、症状はコントロールできます。当院では一人ひとりに合わせた診療を心がけていますので、気軽にご相談ください。

編集部まとめ

今回の取材を通じて、「アレルギー性鼻炎」は決して軽く考えてはいけない病気だと実感しました。鼻づまりひとつとっても、集中力の低下や睡眠障害など、日常生活に与える影響は計り知れません。「自分はアレルギー体質だから仕方ない」と諦めている方こそ、専門医の診断を受けてみてください。渡邉先生のように、患者一人ひとりの悩みに真摯に向き合ってくれる医療現場があることに、心強さを感じた取材でした。

わたなべ耳鼻咽喉科

医院名

わたなべ耳鼻咽喉科

診療内容

アレルギー性鼻炎 花粉症 慢性副鼻腔炎 など

所在地

大阪府大阪市西区新町1-33-1
OneShinmachiビル1F

アクセス

大阪メトロ長堀鶴見緑地線「西大橋」駅2号出口より徒歩4分 大阪メトロ四つ橋線「四ツ橋」駅2号出口より徒歩6分 大阪メトロ中央線「本町」駅23号出口より徒歩7分

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