FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. ドクターインタビュー
  3. 歯を失ったとき、インプラントの選択は本当に大丈夫? 歯科医師が監修!         【岩手県花巻市 医療法人幸花会 畠山歯科医院】

歯を失ったとき、インプラントの選択は本当に大丈夫? 歯科医師が監修!         【岩手県花巻市 医療法人幸花会 畠山歯科医院】

 更新日:2024/06/14

歯を失ったとき、インプラントの選択は本当に大丈夫? 医師が監修!
歯を失ったとき、インプラントの選択は本当に大丈夫? 医師が監修!

費用や治療にかかる時間などから、敬遠されがちなインプラント治療だったが、近年は歯を失った際の選択肢のひとつとしてインプラントを選択する患者さんが増えてきているようだ。しかし、それでもインプラント治療に対して不安や疑問が払拭し切れていない人はまだまだ多い。日本国内で、現在主流のチタン製インプラントによる治療が始まったのは1980年代のことである。それから年月が経ち、現在のインプラント治療はどのように進歩しているのだろうか。手術における身体への負担や安全性、治療技術など、医療法人幸花会畠山歯科医院の畠山航副院長にわかりやすく解説していただいた。

Doctor’s Profile
畠山 航(歯科医師)
医療法人幸花会 畠山歯科医院 副院長

岩手県立花巻北高等学校、岩手医科大学歯学部を卒業後、同大学院補綴・インプラント学専攻修了。その後、米国ハーバード大学歯学部歯周病科(Oseteology Foundation Research Scholar)岩手医科大学歯学部補綴・インプラント学講座講師、医局長を経て、現在は医療法人幸花会畠山歯科医院勤務。日本補綴歯科学会専門医、日本口腔インプラント学会専門医。

目次 -INDEX-

インプラント治療は選択肢の一つに過ぎない

インプラント治療を選択するという事について先生のお考えを教えて下さい

まず初めに、声を大にして皆さんにお伝えしたいのは、インプラント治療は歯を失ってしまった際の選択肢の一つに過ぎないということです。歯を失った際の治療法は大きく分けると入れ歯、ブリッジ、インプラント、歯の移植の4つの方法があり、保険適応のもの、適応外のものがあります。
インターネットや広告で、患者さんをインプラントに誘引するようなものを多数見かけます。インプラントは確かに優れた治療法の一つですが、場合によってはその他の治療法の方が適している患者さんもいます。私自身も日本口腔インプラント学会専門医ですが、患者さんの状況によってはインプラントをおすすめしないこともあります。まずは信頼できる歯科医師の先生と、治療法の選択について十分ご相談される事をおすすめします。

治療のスピードも審美性も、大きく進歩したインプラント治療

歯を失った方でインプラント治療を受けている人の割合は、現在どのくらいでしょうか?

厚生労働省が行っている歯科疾患実態調査によると、歯を失ってインプラント治療を受けた患者さんの割合は最も多い世代でも約6パーセントに留まっています。やはりほとんどの方は、入れ歯やブリッジなどを選択されていますね。もちろん、今後はインプラントを選択する人が増えていくと思います。
インプラントは治療費が高額だから」とおっしゃる方もいますが、私は患者さんが何を選択するかは、価値観の問題ではないかと思っています。ある程度年齢を重ねても若々しく健康でいたいと思う方、歯を失うことによって起きる事、歯と全身の健康との関連性を意識している方は、高い確率でインプラントを選択されているように感じます。

現在のインプラント治療で、昔と比べて改善されている点があれば教えてください

治療のスピードに関しては、早くなったと思います。15年ほど前から比べると、3分の2ほどの治療期間で済むようになりました。術式も進歩し、昔だったら「インプラントは無理」と言われていたような人も、インプラント手術が受けられるようになりました。いま、私たち歯科医師の方から「手術できません」とお断りするケースはほとんどないですね。
また、見た目に関しても患者さんの希望に応えられる、患者さんが満足できる治療結果を出せるようになってきたように思います。これもインプラント治療に関連する材料や術式の進歩によるところが大きいと思います。

インプラント治療を躊躇する患者さんのなかには、「顎の骨にインプラントを埋め込む手術が怖い」と考えている方も多いようですが?

インプラントの手術時間は、本数にもよりますが、麻酔などの時間を除けば、実質的には30分~45分程度で終わることがほとんどです。手術後の痛み止めも、せいぜい飲んでも手術の当日か翌日までで、それ以降になっても飲んでいる方はほとんどいらっしゃいません。ですから、場合によっては親知らずを抜くより簡単な手術と考えてもいいのではないでしょうか。

治療のスピードも審美性も、大きく進歩したインプラント治療

高齢の方の場合、インプラントが難しいのではと、心配されている方もいらっしゃるようです

単純に年齢を理由にインプラント治療を諦める必要はないと思います。ただし、高齢になってくれば全身疾患をお持ちの患者さんも増えるので、その観点からすると若い方と比較すればハイリスクと言えるかもしれません。現代では、活動的なアクティブシニアの方も多く、お歳を召されても若々しくいたい、好きな物を食べたいと考えておられます。こういった患者さんはインプラントを選ばれる方が多い様に感じます。
また、年齢だけでなく、合わない入れ歯をずっと入れ続けていた人や、歯周病をそのままにしていた人などは、顎の骨の状況からインプラントが難しくなっている場合もあります。
その人によって口腔内の状況はさまざまですが、手術できる条件が揃えば、現在普及している治療法の中でインプラント以上の成功率を出せる治療というのは、かなり少ないと言っていいでしょう。

インプラント治療を選ぶか否かは、慎重に判断を

インプラント治療を選ぶか否かは、慎重に判断を

インプラント治療をする際に骨の量に問題がある場合、骨を造成することができるそうですが、どんな手術なのでしょうか?

上顎なのか下顎なのか、奥歯なのか前歯なのか、不足している骨の量は多いのか少ないのか、こういった状況の違いによって行う骨造成手術の内容が異なります。手術の術式や使用する材料は多岐にわたりますので、過去に骨がないと言われた患者さんも一度ご相談頂ければと思います。

失った歯の本数が多い場合、埋め込むインプラントの数も増えていくと思います。数多く埋め込んでも大丈夫なのでしょうか?

仮に歯が1本もなく、固定性のインプラントをご希望された場合、上下顎ともに最小必要本数は4本です。但し、これはあくまでも必要最小限の本数ですので、患者さんの噛み合わせや、顎の骨の状態等によって適切な治療法をご提案しています。そのため、必然的にインプラント治療は患者さん一人ひとりオーダーメイドで診査診断を行い、治療計画を立案する必要があります。

インプラントが向いていないと思われる患者さんは、どんな方ですか?

極端に噛む力が強いことが予測される方や、重度の歯周病の方、糖尿病の方などは、インプラントにはあまり向いていません。ただし、リスクも含めてご説明をして、最終的にインプラントを入れるか否かを決断するのは患者さんご自身です。
もちろん、インプラント治療を積極的におすすめできない場合は私からもはっきりお伝えしますが、その際は慎重に判断されることをおすすめします。

貴院でのインプラント治療の流れを教えてください

インプラント治療をご希望される方には、まずレントゲンや型取り、歯周病の検査を行い、現在の状態把握を行います。その後、現在のお口の中の状態の他、将来起きる可能性の高い事、インプラント治療に関係なく治療が必要な部位等について説明を行います。当院では、インプラント治療については、最初は皆さんに同じ基本的な説明から始めるようにしています。これは大学病院勤務時代から変えておりません。
簡単な説明の後に、インプラント治療をご希望あるいは詳細な検査をご希望の患者さんにはCTの撮影を行います。CTの撮影データをインプラント治療プランニング専用ソフトウェアに入れて、実際のインプラントの本数や直径、長さ等を決めていきます。この患者さんごとのオーダーメイドの治療計画を、料金の見積書とともに患者さんに提示しております。その後の治療手順については患者さんごとにかなり異なりますので、詳細な説明は割愛したいと思いますが、難しい状態でなければ、6ヶ月以内に治療終了できる患者さんが多いと思います。

インプラント治療を選ぶか否かは、慎重に判断を

心身共に充実した状態でインプラント治療を受けるのがベスト

心身共に充実した状態でインプラント治療を受けるのがベスト

貴院でのインプラント治療の特徴を教えてください

当院はインプラント治療を含めた自費診療に関しては、治療をスタートした時点では費用をいただきません。自費診療の場合は契約料を徴収したり、型取りの時に入金する医院も多いと思います。これはあくまで僕の個人的な見解ですが、自費診療の治療費用は成功報酬として医院が頂くべきと考えています。そのため、インプラント手術が成功したと判断する第一段階が抜糸の時ですので、それまでは一切費用をいただかない方針にしています。
糸を抜いて傷口を確認し、大丈夫と判断した場合に手術料金だけをいただき、上部構造(歯の部分)に関しても実際にお口の中に入るまでは料金をいただきません。
これは患者さんとの信頼関係が成り立っていないとできないことと考えています。信頼関係を築くのに最も重要なのは丁寧なわかりやすい説明と考えていますので、これには時間を割くようにしています。先日も100キロ近く離れた市町村からインプラントの相談、説明を聞くためだけに患者さんが来て下さいました。

費用はどのくらいかかりますか?

当院のインプラント治療の料金は1本45万円(税込)で、ほぼ市場相場と同じか、やや安価に設定しています。ただし、骨造成が必要な場合などは別途費用がかかります。
インプラント治療の金額に関しては、私は日本口腔インプラント学会の専門医であり、日本補綴歯科学会の専門医ですが、通常市場相場でインプラント治療をする場合、有資格者はほとんどいません。当院の場合は、有資格者が市場相場と同じ価格でインプラント治療を行いますので、安心してお受けいただけるかと思います。

先生はインプラント体や歯の素材に、かなりこだわりをお持ちとのことですが?

世界にはインプラントメーカーが数千単位で存在し、その国でしか流通していないローカルなメーカーもあれば、世界に幅広く流通しているメーカーもあります。
当院のような地方の歯科医院でも、海外でインプラント治療を受けた方が通ってくる時代なので、患者さんが世界のどこに行っても困らないようなメーカーの製品を使うことはとても重要だと思っています。当院で採用している「ストローマン社」のインプラントは世界でも有数のシェアを誇るメーカーです。
正直なところ、インプラント体はメーカーによって価格の開きがかなりあるのですが、自分の身体に入れるものですので、いい加減なものは入れない方がよいと思います。しっかりとしたメーカーで、しっかりした検査体制と衛生環境でつくられたものをおすすめします。
上部構造(歯の部分)の材質については、当院では現在ほとんどの症例をオールセラミックで行っています。オールセラミックにもいろいろ種類がありますが、患者さんの状況に応じて使い分けています。

先生がインプラント治療で一番重視しておられることは何でしょうか?

これはインプラント治療に限った事ではありませんが、「患者さんがいつインプラント治療を行うか?」という点については、特に重視しています。インプラントが必要になるくらいお口の中の状況が悪くなっている方は、どこかのタイミングでは全体的に治す、しっかりした治療が必要と考えています。全体的なしっかりとした治療は、ある程度、時間や費用を要する事が多いと思いますので、治療のタイミングについてはいつも意識しています。また、現在では日本人の平均寿命はかなり延びているので、インプラント治療も将来を見据えて計画的に行う必要があると思います。
たとえば、資金面で問題がない人でも、親の介護をしていて、なかなかインプラント治療の時間を確保できないという方もおられます。そういう方には、いずれインプラント治療を行う予定で仮の治療や、将来の準備をしておいて、時間の余裕ができるまで先送りにする場合もあります。また、逆に時間はあるけれども、今は資金が用意できず、「来年息子が大学を卒業したら、治療費が出せる」という方もいます。そういう方にも、いずれインプラント治療を行う予定で仮の治療や、将来の準備をしておいて、経済的に余裕ができるまで待つ事もあります。
こういった患者さん一人ひとりの状況について相談して、個別の治療計画を立てて、ご提案していきます。やはりインプラント治療はそれなりに大変な治療なので、心身共に充実した状態で治療を受けられるのがベストだろうと思っています。理想としては、70代前半までにきっちりと治しておくのがよいのではないでしょうか。

心身共に充実した状態でインプラント治療を受けるのがベスト

インプラントの治療開始から終了まで、どのくらいの期間が必要ですか?

すぐにインプラント治療を開始できる状態であれば、ほぼ半年以内に治療を終えることができます。

最後に、インプラント治療を受けようと考えている方、Medical DOCのサイトを訪れている読者に対してメッセージをお願いします

インプラント治療は高い、怖い」と思っている人に対して、私の経験から言えることは、しっかりとした歯科医師のところできちんとしたインプラント治療を受ければ、それほど心配する必要はないということです。
ただし、インプラント治療はやはり気楽に受けるべき治療ではありません。安易な気持ちで治療を受けると想定外の結果を招いてしまうこともあります。
「あのクリニックはインプラントが安いから」などと気軽に治療を受けるのではなく、一度歯科医院の先生としっかり話をしてみて、信頼に足る人物かどうかも見極めながら、慎重に決断することをおすすめします。

編集部まとめ

歯を失った時の治療法として、インプラントを選択することに躊躇されている方も少なくないかもしれませんが、そのメリットはかなり大きいことがおわかりいただけたかと思います。インプラントに対する恐怖心も、実はイメージで「怖い」と思いこんでいるだけで、実際に受けてみるとあっという間の出来事なのかもしれません。
畠山航先生のお話から、歯科医院を選ぶ際には歯科医師の経歴、資格、技術力や考え方、料金体系などをしっかりとチェックした上で、長く安心してお付き合いのできる歯科医院を選ぶことの大切さがよくわかりました。

医療法人幸花会 畠山歯科医院

医院名

医療法人幸花会 畠山歯科医院

診療内容

インプラント治療 セラミック治療 歯科一般 など

所在地

岩手県花巻市西大通り1丁目6-30

アクセス

JR東北本線・JR釜石線「花巻」駅西口より徒歩1分

この記事の監修歯科医師