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加齢だけが原因ではない。白内障の発症は働き盛りの世代にも!【姫路市 しみず眼科】

 公開日:2024/02/15

加齢だけが原因ではない。白内障の発症は働き盛りの世代にも!
加齢だけが原因ではない。白内障の発症は働き盛りの世代にも!

道路標識が見えづらかったり、裁縫のとき針に糸が通しにくくなったりと、日常生活にいろいろ影響を及ぼす白内障。主な原因は加齢とよくいわれるが、それ以外にも糖尿、アトピー、近視などさまざま。比較的若い世代でも発症するという。姫路市のしみず眼科では、白内障で人それぞれに異なる困りごとを的確に把握し、ニーズに合った治療結果を提供。漠然とした不安から手術をためらう人にも治療を受けられるよう、十分な説明を行っている。2000年4月から2022年3月までに白内障手術で2万件もの実績をもつ同院の清水敏成院長に話を詳しく伺った。

Doctor’s Profile
清水 敏成(しみず としなり)
しみず眼科 院長

1995年3月に岡山大学医学部医学科を卒業後、同病院に勤務。公立雲南総合病院、広島逓信病院などの勤務を経て、姫路赤十字病院で眼科部長を務める。さまざまな眼科疾患の診療に携わりながら研鑽を積み、2018年8月に同病院を退職。同年10月に「しみず眼科」を開院。白内障手術は2万件にもおよぶ豊富な経験をもつ。これまで培ってきた知識、経験、技術を生かし、最新の眼科医療サービスを科学的根拠に基づいて提供したいと考えている。
〔資格〕日本眼科学会 眼科専門医

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働き盛りの世代でも白内障を発症する可能性がある

働き盛りの世代でも白内障を発症する可能性がある

白内障とはどのような病気なのでしょうか? 何歳くらいから発症して、自分で気づく症状にはどのようなものがありますか。

目の水晶体、いわゆるレンズが濁ることによって外界からの光が入りにくくなり、霞んで見えるという疾患です。
いちばん多い原因は加齢ですが、一概に老化現象と言い切るにはいささか抵抗を覚えます。糖尿やアトピーのほか、近視の方も白内障になりやすいと一般にいわれていますから、40歳代や50歳代で発症する方もいます。
また、ステロイドの点眼薬を長期間にわたって使用されている場合も、影響があるかと思います。その長期間が具体的に何年というのは、状況によって異なってくるのではっきりとはいえません。1年で白内障が進行する方がいますし、10年使っていても進行しない方もいらっしゃいます。

患者さんは白内障を自覚されている方が多いのでしょうか?

初期の自覚症状としては、視界が霞んでくることが多いです。たとえば夜に車を運転されていて対向車のライトがまぶしい。これを医学用語で「羞明(しゅうめい)」といいますが、非常にまぶしいとか、天気のいい昼間にお店の看板や道路標識が霞んで見えづらいなどです。見えないことはないのですが、何が書かれてあるのか判断するまでに時間がかかるわけですね。さらに進行して文字の判別もできなくなったら視力障害で、日常生活に支障が生じます。
どの段階で当院に来られるか一概にいえませんが、羞明で来られたり、白内障は視力が低下しますからその段階で来られたり、ある程度知識があって、「これは白内障かもしれない」という患者さんもいらっしゃるなどさまざまです。

白内障のほかにも、目が見えづらくなる病気はありますか?

必ずしも白内障と同じ症状ではありませんが、糖尿病の網膜症、高血圧、動脈硬化などが原因の眼底出血による腫れ、加齢黄斑変性などがあります。これらの疾患は視力障害が強く出ますし、中心が見えづらくなります。

白内障は、どんな人でも同じ症状でしょうか。もともと視力のいい人や、近視や乱視で違いはありますか?

水晶体が濁って羞明、そして視力低下という症状は同じです。ただ、患者さんが白内障のつもりで来られても、診察してみたら違う病気だったというケースは多々あります。
当院では眼底カメラや網膜解析など高性能な機器がありますので、白内障以外の病気でもすぐにわかります。目に何らかの異変を感じたら、早めに来ていただきたいですね。

働き盛りの世代でも白内障を発症する可能性がある

薬剤で進行を遅らせることはできるが将来的に手術は不可避

白内障を放置しているとどうなるのでしょうか?

放置し続けると失明しますが、日本では保険医療が手厚いので失明に至る例は極めてわずかです。
失明よりも先に、日常生活に支障が出ます。視力が下がりますから、車の運転が危険です。見えづらいことで他の歩行者や障害物の直前に来るまで気づかないのです。また、自分が歩いているときに転倒したり、転倒によって骨折したりするリスクもあります。
でも、今は自分で情報を検索できますから、そのような状態になる前に診察を受けに来られます。

薬剤で進行を遅らせることはできるが将来的に手術は不可避

手術が怖いと思っていらっしゃる方が少なくないようですが、手術をしないで治す方法はありますか?

薬で進行を遅らせる治療はありますが、完全に止めることは不可能です。将来的には手術は不可避かと思います。

白内障の手術は簡単にできるのですか?

手術機械が日進月歩で発達しており、操作が非常に安定している点からも安全性の高い手術だと言えると思います。
水晶体を除去して眼内レンズを入れるのですが、折り畳み式の眼内レンズが実用化されているので、約20年前と比べて傷の大きさが4分の1程度で済むようになりました。小さな傷で済むということは、患者さんへの負担が少なく、感染症のリスクも減るということです。
ちなみに手術中はほとんど痛みを感じません。まるで万華鏡を覗いているようにキラキラした景色が見えるとおっしゃる方もいらっしゃいます。

薬剤で進行を遅らせることはできるが将来的に手術は不可避

手術前と手術後の見え方はどれくらい変わりますか?

濁りが取れますから、視力は上がります。
裸眼もしくは眼鏡による矯正で、1.0~1.5の視力を確保できることが多いです。

手術した当日に帰宅でき翌日から仕事にも復帰できる

手術した当日に帰宅でき翌日から仕事にも復帰できる

先生はこれまで白内障手術で約2万件の実績がおありですが、いまは週に何件の手術をなさっていますか?

週に20~25件くらい(2024年2月現在)、所要時間は片眼で15分くらいです。
もちろん麻酔をしますから、手術中の痛みはほとんどありません。当院では「テノン嚢下麻酔」という、強い麻酔を用いています。点眼麻酔と比べて、長時間しっかり効く麻酔です。
麻酔が切れたときに異物感を訴える方はいらっしゃいますが、激痛を訴える方はこれまでいませんでした。

手術後に日常生活に戻れるまで、どれくらいの日数がかかりますか? また、気を付けることはありますか?

簡単なデスクワークなどであれば就労は翌日から可能ですが、手術後1週間は、保護眼鏡か自分の眼鏡を着けて過ごしていただきます。また、目薬をさす際は、家庭用の石鹸で結構ですから、必ず手を洗ってください。そして点眼の回数は、忘れず守ってください。
入浴は、手術の翌日から首の下までOKです。翌々日からは洗顔もできます。髪を洗う際には目を閉じてください。

治療の流れを教えてください

まずは診察をします。次に網膜の形状解析や視力の検査ですね。その結果、白内障だとわかれば、患者さんに「現在の視力低下の主たる原因は、白内障によるものですよ」と説明します。そして手術の簡単な説明をして、手術を希望されたら予約を取ります。
次に、日を改めて、手術に関してしっかりと説明を行い、納得していただくとともに患者さんの不安を取り除きます。
そして手術前の検査を行います。眼内レンズの度数がそれぞれ異なりますので、パワー計算をして、患者さんが遠くか近くのどこに焦点を合わせたいのかというニーズも勘案して、使用するレンズを決めます。その際に、当院では必ず眼底検査も行います。そこでもし網膜裂孔など不具合が見つかったら、まずは眼底の治療をしてから後に白内障の手術という流れになります。
手術が終わった後は、翌日と翌々日に通院していただきます。

眼内レンズには単焦点レンズと多焦点レンズがあるそうですが、それぞれのメリット・デメリットについて教えてください

単焦点レンズは、文字通り焦点がひとつです。たとえば遠くにピントを合わせたら、携帯電話を見たり、パソコンのモニターを見たりするときは眼鏡の助けが必要です。逆に、近くにピントを合わせると、携帯電話やパソコンは裸眼で見えますが、たとえばテレビなど離れたものを見るときは眼鏡の助けが必要です。
水晶体は見る対象の距離によって、厚くなったり薄くなったりしてピントを合わせるのですが、人工物である眼内レンズにはそういった機能がありません。
最近では、3焦点眼内レンズというものがあります。遠距離、中間距離、近距離をカバーできるのですが、光を分散するため、コントラストが落ちて視界が白っぽく見えるデメリットがあります。車のライトをまぶしく感じることもありますから、とくに車を運転なさる方は、レンズ選びの際は慎重にお考えください。
そういう点では、単焦点レンズはコントラストがはっきり見えます。今はさらに見えやすいように、少しだけ黄色に着色されています。ご職業や生活スタイルに合わせて、適切なレンズを選ぶことが必要なのです。

貴院での手術費用を教えてください

3割負担の保険適用で、患者さんのご負担は片眼あたり4万円くらいとみてください。眼内レンズのうち、単焦点レンズはクリニック負担ですから、患者さんへの請求はありません。多焦点レンズは実費です。しかしながら、価格設定が各施設でそれぞれ異なりますから、当院での価格がいくらですと申し上げることは難しいです。

手術した当日に帰宅でき翌日から仕事にも復帰できる

人によって異なるニーズをつかんで本当に望まれる治療を

人によって異なるニーズをつかんで本当に望まれる治療を

治療に際して、先生がいちばん大事にしていらっしゃることは何でしょうか?

患者さんのお話をしっかりお聞きして、患者さんが本当に困っていることは何かということを分析します。
単に「目が見えづらい」とおっしゃっても、事情がそれぞれ異なります。もともと近視のある患者さんで「裁縫をするとき針に糸が通らなくなった」とおっしゃる方もいれば、日ごろ眼鏡を必要としていない患者さんで、「対向車のライトがまぶしくて、運転が怖くなった」とおっしゃる方もおられます。言葉にすると同じ「見えづらい」でも、患者さんごとにニーズが違うわけです。
ですから、その患者さんがいちばん困っていることは何か、どういう結果を出してあげたらよいかを、お話を聞いて把握することに努めています。治療を受けた方からは非常に喜ばれて、たいへん丁寧なご挨拶をしていただくこともあり、逆にこちらが恐縮することが多いです。

人によって異なるニーズをつかんで本当に望まれる治療を

主訴が白内障ではない患者さんを診察する過程で、偶然に白内障を見つけることはありますか?

そのケースは多いですね。たとえば慢性疾患である緑内障の経過を追っている間に、白内障を発症することがあります。あるいは糖尿病による網膜症を診ている過程で、白内障が進行する方もいらっしゃいます。
白内障を発見したら、まずはやんわりと患者さんに伝えます。白内障であることを受け入れていただいたら、「必要なときに手術しましょうか」というお話をいたします。

最後に、これから白内障の手術を受けようと考えている方や、Medical DOCのサイトを訪れている読者に対してメッセージをお願いします

白内障が進行して、ご自分で「歳のせいだ」と言い聞かせていると、見えづらい状況に慣れてしまいます。
自覚症状があるにもかかわらず、見えづらいことに慣れてしまったがゆえに「医者に診てもらわなくてもいいや、手術も怖いし」ということで、受診を控えている方もいらっしゃいます。「視力が低下しても全然困らない」という方もいらっしゃいますが、そういう方とお話をしてみると、たとえば「最近は、夜間にクルマの運転ができなくなった」というようなこともおっしゃいます。そこがまさに、「あなたが困っていることなんですよ」ということで、困っているポイントを見極めてお伝えしています。
見え方がおかしい、見えづらいということがあれば、ぜひ受診をしていただいて、困りごとのポイントを知っていただきたい。自己診断するのではなく、現実を知ることが大事だと考えています。

編集部まとめ

野生の鹿が時折姿を見せるという自然環境の豊かな地域で、町の眼医者さんとして患者さんたちと向き合う清水先生。長年の経験と豊富な実績に培われた確かな自信、そして言葉を慎重に選びながら、わかりやすい言葉でインタビューに対応していただき、誠実なお人柄がにじみ出ていました。なによりも患者さんの困りごとを的確に把握し、患者さんが本当に求める治療結果を提供しようとされる姿勢が、大きな信用につながっていることを感じました。姫路市や近隣の地域の方で、眼にお困りごとのある方は清水先生に相談されることをおすすめします。

医療法人社団しみず眼科

医院名

医療法人社団しみず眼科

診療内容

白内障 緑内障 眼科一般 小児眼科 など

所在地

兵庫県姫路市青山西2-19-12

アクセス

JR姫新線「余部」駅より車で5分
神姫バス「青山出屋敷」停留所より徒歩5分

この記事の監修医師