身体と日常生活への影響をできる限り少なくする。「下肢静脈瘤」に対する高周波カテーテル治療【大阪市北区 西梅田 静脈瘤・痛みのクリニック】
下肢静脈の弁が壊れることで、ふくらはぎを中心とした脚にボコボコと血管が浮き上がる病気を「下肢静脈瘤」という。その特徴的な見た目から、一人で悩んでいる人は少なくない。命にかかわる病気ではないため、長く放置している人もいる。とはいえ、下肢静脈瘤を放置していても本当に問題はないのだろうか。また、治療をするならばどんな治療法があるのだろうか。JR大阪駅から徒歩7分という好立地にある「西梅田 静脈瘤・痛みのクリニック」院長の小田晃義先生は下肢静脈瘤専門の医師。小田先生に詳しい話を伺った。
小田 晃義
西梅田静脈瘤・痛みのクリニック 院長
2012年に関西医科大学医学部医学科卒業後、日生病院、神戸大学医学部附属病院にて初期研修医。天理よろづ相談所病院放射線科を経て、2016年からは近畿大学医学部附属病院放射線診断科にて助教・病棟医長。2019年には同院で下肢静脈瘤専門外来を開設。オクノクリニック、りんくうメディカルクリニック、京都御池メディカルクリニックに勤務後、2023年に「西梅田静脈瘤・痛みのクリニック」開院。日本医学放射線学会読影専門医・認定医、日本IVR学会専門医、日本脈管学会専門医、下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医・実施医、マンモグラフィー読影認定医。痛みを軽減・除去する治療と、治療を安心して受けてもらうためのコミュニケーションを重視する。
目次 -INDEX-
- 見た目の変化だけでなく、QOL低下を引き起こす下肢静脈瘤
- 現在、下肢静脈瘤の患者さんはよく来られますか?
- 下肢静脈瘤の患者さんは、どのような症状にお悩みなのでしょうか?
- 症状は、見た目だけではないんですね。命にかかわる病気ではないそうですが、日常生活でも困ることがありそうです
- 必ず、ボコボコと明らかに血管が浮き上がるわけではないのでしょうか?
- ボコボコだけが下肢静脈瘤ではないんですね。気づかず、あるいは気づいているけれど放置した場合のリスクはありますか?
- 決して「放置していていい病気」ではないんですね。下肢静脈瘤の原因には、どのようなものがありますか?
- 下肢静脈瘤の人は、骨盤内うっ血症候群、陰部静脈瘤といった病気にもなりやすいと聞きました
- 確かに初めて耳にしました。骨盤内うっ血症候群、陰部静脈瘤は、それぞれどのような症状が出るのでしょうか?
- 貴院では、下肢静脈瘤だけでなく、骨盤内うっ血症候群・陰部静脈瘤の治療にも対応されているのでしょうか?
- カテーテル治療を中心とした専門性の高い治療が可能
- 「治療中の痛みの軽減」と「治療前の安心」を大切にした診療
見た目の変化だけでなく、QOL低下を引き起こす下肢静脈瘤
現在、下肢静脈瘤の患者さんはよく来られますか?
HPなどで下肢静脈瘤を専門的に治療していることを知っていただき、20~80代の多くの患者さんがお見えになります。病院やクリニックからの紹介を受けることもよくあります。
下肢静脈瘤の患者さんは、どのような症状にお悩みなのでしょうか?
一番は見た目ですね。ボコボコとした脚の血管が気になってスカートや半ズボンを履けない、水着になれないといったことでお悩みの方が多いでしょうか。ほかには脚のだるさ・痛み・こむら返りが多い、といった症状によってQOLが低下している方もいらっしゃいます。
症状は、見た目だけではないんですね。命にかかわる病気ではないそうですが、日常生活でも困ることがありそうです
スポーツ、仕事、家事などを含め、日常生活で「できないこと」「辛いこと」が増えてしまいます。ただ、「自分が下肢静脈瘤だと気づいていない」というケースも実は少なくないんです。見た目の変化が少なかったり、「脚がだるいのは歳のせいだろう」と決めつけてしまったりして、長く放置してしまうことがあります。
必ず、ボコボコと明らかに血管が浮き上がるわけではないのでしょうか?
症例によって差があります。また、ボコボコとした血管ではなく、クモの巣状や網の目状になっている、隆起のない下肢静脈瘤もあります。そういった場合には、下肢静脈瘤という病気をなんとなく知っている人でも、結び付けられないことがあるようです。
ボコボコだけが下肢静脈瘤ではないんですね。気づかず、あるいは気づいているけれど放置した場合のリスクはありますか?
症状が少しずつ悪化していき、脚のむくみ、色素沈着、皮膚炎、さらに進行すると皮膚潰瘍が形成されるようになります。血栓ができやすくなるため、血栓性静脈炎、肺動脈塞栓症などを合併するリスクも高くなります。
決して「放置していていい病気」ではないんですね。下肢静脈瘤の原因には、どのようなものがありますか?
一番は遺伝です。また女性患者さんの場合は、40~50%が妊娠を契機に発症します。これにはホルモンバランスの変化、大きくなった子宮による圧迫、下肢の血液量の増加などが影響しています。ほかに立ち仕事、身体を酷使する仕事、激しい運動、肥満、加齢などもリスク因子となります。
下肢静脈瘤の人は、骨盤内うっ血症候群、陰部静脈瘤といった病気にもなりやすいと聞きました
この3つの病気は、静脈の弁不全を原因とすること、妊娠や出産がきっかけになりやすいことから、しばしば併発します。骨盤うっ血症候群、陰部静脈瘤は、下肢静脈瘤よりさらに知名度が低いので、潜在的な患者さんはたくさんいらっしゃると思います。
確かに初めて耳にしました。骨盤内うっ血症候群、陰部静脈瘤は、それぞれどのような症状が出るのでしょうか?
骨盤内うっ血症候群では、6カ月以上続く慢性的な骨盤痛(重い感じ・鋭く痛む)が主な症状で、立ち仕事中、夕方に悪化する傾向があります。陰部静脈瘤では、脚の付け根~太腿にかけてのボコボコとした血管、脚のだるさ、むくみ、こむら返りの多発など、下肢静脈瘤と非常によく似た症状が見られます。
貴院では、下肢静脈瘤だけでなく、骨盤内うっ血症候群・陰部静脈瘤の治療にも対応されているのでしょうか?
はい。治療でも共通する部分が多く、骨盤内うっ血症候群に対するカテーテル治療、陰部静脈瘤に対する硬化療法などを行っています。専門分野ですので、安心してご相談いただければと思います。
カテーテル治療を中心とした専門性の高い治療が可能
高周波カテーテル治療は、身体への負担の少ない治療なんですね。局所麻酔での治療となりますか?
はい。当院では主にTLA麻酔という局所麻酔を使用しています。脚の表面だけに作用するため、合併症が少ない麻酔法となります。麻酔により、治療中に痛みを感じることはほとんどありません。
それでも痛みが心配、あるいは治療への恐怖感がある方には、ウトウトして半分眠ったような状態になる静脈内鎮静麻酔を併用します。
痛みが心配という方も、治療が怖いという方も安心して受けられますね。治療後は、すぐに普段の生活に戻ることができるのでしょうか?
治療直後から問題なく歩け、すぐに日常生活に戻れます。シャワーは翌日から、入浴は数日後から再開可能です。デスクワーク程度でしたら、治療当日からの復帰も可能です。
ただし、静脈内鎮静麻酔を行った場合は、当日中の車の運転をお控えください。
お忙しい方であっても安心ですね。では、「グルー治療」についてお教えください
グルー治療もカテーテル治療の一種です。カテーテルを介して、静脈瘤に医療用の瞬間接着剤を注入して固めます。血栓症や神経障害などの合併症のリスクが少ないという利点があります。
ただし、安全性が高いとはいえ体内に接着剤が残ってしまうため、アレルギー体質の方、若い方にはあまりおすすめしません。
瘤が大きくボコボコしていても、しっかりと治るものなのでしょうか?
血管は3カ月~半年ほどをかけて徐々に小さく、目立たなくなっていきます。大きい瘤がある場合には、カテーテル治療の際に、皮膚を切開して瘤を摘出する「瘤切除術」を併用することも可能です。カテーテル治療単独の場合と比べると侵襲は大きくなりますので、患者さんと事前に相談し、治療方針を決定します。
治療後、下肢静脈瘤が再発してしまうということはありますか?
5年後再発率は数パーセントです。再発した場合、あるいは治療後に瘤が残ってしまった場合には、「硬化療法」を行うことが多くなります。静脈瘤に硬化剤を注入し、血管を固める治療です。切開や縫合の不要な、こちらも低侵襲の治療です。
「治療中の痛みの軽減」と「治療前の安心」を大切にした診療
「下肢静脈瘤かもしれない」という時には、どのように受診先を選べばよいのでしょうか?
一般には血管外科と言われていますが、血管外科を掲げる医療機関は多くありません。下肢静脈瘤を専門的に治療している医療機関、下肢静脈瘤専門外来などを調べて相談してみるのがよいかと思います。
下肢静脈瘤では、むくみ、皮膚炎、皮膚潰瘍といった症状も見られるため、内科や皮膚科を経由してお越しになる患者さんも少なくありません。
病院に相談するか、クリニックに相談するか、ということについてはいかがでしょうか?
クリニックでも、少しずつではありますが下肢静脈瘤に対する治療を行うところが増えています。また当院もそうですが、下肢静脈瘤を取り扱うクリニックはカテーテル治療などの専門的な治療まで網羅していることが多いので、HPなどを見て安心して治療を任せられるようでしたら、まずはクリニックに相談してみるのがよいかなと思います。
先生は日本IVR学会と日本脈管学会専門医の専門医、下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医・実施医でいらっしゃいますが、やはりそういったところもポイントになりそうですね
下肢静脈瘤を含めた血管の疾患、カテーテル治療における経験と知識がありますので、診断の面でも、治療の面でも、やはり患者さんは安心できるかと思います。
当院は完全予約制ですので、待ち時間もほとんどありません。また、土曜日も9~13時は診療しています。このあたりも、クリニックのメリットと言えるでしょう。
逆に、病院に相談した方がよいというケースはありますか?
比較するクリニックにもよりますが、当院の場合、ほとんどのケースで下肢静脈瘤の治療を当院のみで完結できます。ただ、下肢静脈瘤に深部静脈血栓症を合併しているケースなどでは、病院での治療が必要になります。いわゆるエコノミークラス症候群です。
では、下肢静脈瘤の治療において、先生が一番大切にしていることを教えていただけますか?
「治療中の痛みの軽減」と、「治療前の安心」です。クリニックの名称にもあるとおり、患者さんの“痛み”の軽減には特に力を入れています。局所麻酔と静脈内鎮静麻酔を併用すれば、「寝ている間に終わった」という感じで治療を受けていただけます。
「治療前の安心」については、どのような取り組みをされているのでしょうか?
治療内容や合併症リスクの説明はもちろんですが、カテーテルを実際に見てもらうなどして、治療への理解を深めていただきます。治療後にはこんな服装ができる、痛みを気にせず運動ができるといったメリットにも目を向けていただき、前向きに、安心して治療に臨めるように配慮しています。
最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
下肢静脈瘤というと“ボコボコした血管”というイメージが強いですが、脚のだるさ・むくみ・こむら返りの多発などによって運動不足・筋力低下を招き、QOLが低下しているケースも見られます。
気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。スタッフの優しさも、当院の自慢です。
編集部まとめ
下肢静脈瘤にはさまざまな治療法があること、クリニックでも専門的かつ低侵襲な治療が受けられることがよくわかりました。命にかかわる病気ではありませんが、放置していると症状が悪化し、QOLが低下するとのこと。気になる症状があるなら、それは「治さなくてもいい病気」ではないはずです。治療後にやりたいこと、着たい服などをイメージして、まずは一度相談してみましょう。
医院名
西梅田 静脈瘤・痛みのクリニック
診療内容
血管外科 整形外科 泌尿器科 など
所在地
大阪府大阪市北区梅田3丁目4-5
毎日インテシオ2F
アクセス
阪神本線・JR大阪環状線「福島」駅より徒歩4分
大阪メトロ四つ橋線「西梅田」駅より徒歩4分
JR各線「大阪」駅より徒歩7分