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患者さんのニーズに応える訪問診療【大阪府河内長野市 医療法人 水野クリニック】

 更新日:2023/02/20

コロナ渦のいま、「訪問診療」のメリットを考えてみよう
コロナ渦のいま、「訪問診療」のメリットを考えてみよう

コロナ禍で人的交流が格段に減った昨今、老若男女を問わず、心身の不調を訴える人が相次いでいる。しかし、本来定期通院を必要とされる人でも、「病院に通いたくても通えない」というようなケースは多くある。もちろん、その理由として個々の事情がさまざまあることだろう。こうしたなか、自分自身が一番落ち着ける自宅という環境で、診療を受けられる「訪問診療」の希望者が増加している。大阪府河内長野市で、地域に密着した訪問診療に尽力している「水野クリニック」の水野宅郎先生に、訪問診療に関する詳しいお話を伺った。

Doctor’s Profile
水野 宅郎
医療法人 水野クリニック 院長

平成20年3月金沢医科大学医学部卒業。平成22年金沢医科大学氷見市民病院にて初期研修修了。平成25年から金沢医科大学氷見市民病院循環器内科助教。平成26年金沢医科大学大学院博士課程修了。平成30年水野クリニックを継承し、現在に至る。日本内科学会認定総合内科専門医。日本循環器学会認定循環器専門医。

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在宅でも通院と変わらない医療が受けられる時代に

医療環境に関して、コロナ以前と以後で一番変わった点は何でしょうか?

病院や施設に入院・入所している患者さんの、面会禁止や制限が増えたことではないかと思います。
「会えない」ことが患者さんと家族に及ぼす影響は大きく、特に末期がんを患っている方などは、家族間でお互いにつらい思いをされているケースが少なくありません。私たちとしては、できるだけ会わせてあげたいですし、患者さんや家族の方が希望される場合に地域と連携を取り、可能な限り自宅で過ごしていただき、入院中もしくは通院と変わらない医療の提供に努めています。

在宅でも通院と変わらない医療が受けられる時代に

患者さん本人はもちろんですが、家族の方の精神的負担も大きいと聞きます

入院していると、身内でもその方がどういう状況になっているかわかりませんし、それが原因で医療不信を招くことになりかねません。家族の方が抱えている不安を解消させてあげる、安心させてあげることが何よりも大切です。
そのためには情報を集められるだけ集めて、自宅で過ごすことが不安にならないよう、安心できる環境づくりが欠かせません。患者さんのライフスタイルや、ベッドからトイレまでの適切な距離づくりなど、それぞれの生活状況に合わせた対応が求められます。

訪問診療の場合、病院とは異なり、医療行為も限られるように思うのですが、その点についてはいかがでしょう?

当院では、訪問診療の際に、採血などの基本的な検査はもちろん、ポータブルX線を使って肺炎や骨折がないかどうかも調べることができます。また、エコー検査も可能ですし、PCR検査もその場で行えます。
近年はいろいろな医療機器が携帯できるようになり、なおかつ高性能になってきていますからね。訪問診療でも、幅広い処置や検査が可能な時代になっていることをぜひ知っていただきたいですね。

在宅でも通院と変わらない医療が受けられる時代に

通院するのと変わらないぐらいの医療が訪問診療で受けられるのはうれしいことですね

もちろん手術や、より専門的な処置や検査が必要な場合には、病院への紹介をスムーズに行えるようにしています。
コロナ禍という昨今の状況で、具合が悪くなって病院に行っても診療を断られてしまうようなケースが増えています。それで、治療をあきらめてしまう人が意外に多くいらっしゃるんですよ。はっきり言って、これは大問題です。
訪問診療とは、患者さんのニーズに応える医療、治療をしながらわがままも叶えられる医療だと私は思っています。「どこか不調を感じる」「何となく心配だ」というようなときは、あきらめることなく気軽に相談していただきたいと思います。

治療を受ける際には、訪問診療という選択肢も…

治療を受ける際には、訪問診療という選択肢も…

通院しなくても、自宅でクリニックと同等の診察が受けられることはよくわかりました。ところで、そもそも訪問診療は、どのような方が対象になるのでしょうか?

寝たきりの方や、末期がんの患者さんに対する「緩和ケア」というイメージが強いかと思いますが、コロナ禍が長引く中、必ずしもそれだけではなくなってきています。
年齢や病状に関係なく、一人で病院に定期的に通うのが難しい方が、自宅という環境で受けられる医療とお考え下さい。一人暮らしのお年寄りも増えていますから、患者さんとよくコミュニケーションを取って、心身ともにサポートできること、早め早めに対策を打てることが訪問診療の特徴です。

訪問診療や往診、在宅医療の違いはどこにあるのでしょうか?

訪問診療と往診は、在宅医療のうちの一つです。自宅で診察するという点で両者は同じですが、訪問診療は医師や看護師、地域のケアマネージャーなど専門家が治療計画を立て、患者さんや家族から同意を得た上で、定期的に自宅を訪問し診療することです。
一方、往診は「調子が悪くなったので来てください」というように、患者さんから依頼を受けて緊急に診察に行くことです。切り替えもできますし、使い分けすることがほとんどですから、患者さんはそこまで気にせず、困ったらとりあえず相談してほしいですね。

先生にわざわざ自宅まで来ていただくと、費用面がちょっと気になります

一概には言えませんが、基本的に訪問診療は医療保険が適用になりますし、限度額上限など大きな負担にならずに利用できる制度です。患者さんと家族の方には、選択肢の一つとしてぜひ訪問診療を視野に入れていただければと思います。

それでは、先生のところで訪問診療を実施していただくまでの流れを教えてください

いろいろなケースがありますが、地域の病院・ケアマネージャーを通じての相談が一番多いですね。当院では、基本的に依頼があれば絶対に断らないことを理念としており、連絡が来ればその日のうちに出来るだけ訪問します。
コロナ感染の有無、指定難病やがんの末期など、特に取り扱いに注意すべき情報もありますので、情報セキュリティは以前にも増して十分配慮するよう心がけています。
訪問診療だけでなく、理学療法士と連携しての訪問リハビリなど、住み慣れた地域で在宅生活を少しでも健康的に継続できるよう、各職種と連携したチーム医療が当院の強みだと自負しています。

治療を受ける際には、訪問診療という選択肢も…

訪問診療の利用で自分らしい生活を送ってほしい

訪問診療の利用で自分らしい生活を送ってほしい

訪問診療に関して、特に先生が留意している点は何でしょうか?

患者さんがどうしてほしいかを優先して考え、必要としているニーズに応えられる医療、選択肢のある医療を行うことです。
患者さんと家族の方が望む過ごし方を実現できるかどうか、その想いに対していかに寄り添えるかどうか…。日々状況が変わる患者さんもいらっしゃいますので、そのときどきの想いに応える対応が欠かせません。
また、入院か訪問診療かの二者択一ではありませんから、入院後・入所後にケアを担当するケースもあります。コミュニケーションに終わりはありませんので、安心してご自身の人生をあずけていただければと思います。

訪問診療で、これまで印象に残るエピソードがあれば教えてください

どの患者さんも思い出深いですが、末期がんの患者さんで、家に帰ってきたものの、後は死を待つだけという方がいらっしゃいました。その方が、あるとき「卓球がしたい」とおっしゃるんです。
歩けないし、ご飯も食べられないような状態でしたが、リハビリと体力づくりを懸命に行いました。ボランティアの人が体育館を抑えてくれて、卓球大会を開催したところ、何とその患者さんは優勝してしまったんです。
相手は中学校の卓球部で、決して弱い相手ではありませんでした。その方は3週間前までベッドに寝たきりで、体育館に入るときも車椅子だったんですよ。医療は壁を超えるために行うものだと、私たちも改めて学んだ出来事でした。

訪問診療の利用で自分らしい生活を送ってほしい

それはスゴイですね。訪問診療の醍醐味ではないかと思います

もちろん、患者さんの願いをすべて叶えることができてきたかといえば、そうではなく、日々葛藤の連続ですし、忸怩たる思いを経験したこともたくさんあります。
しかし、最初から「無理だ」とあきらめることは絶対にしたくありません。患者さんの最後の願いを叶えるために、スタッフ全員が監督となって、最高のラストシーンをデザインできるクリニックづくりをこれからも進めていこうと思っています。

最後に、これから訪問診療を受けようと考えている方、Medical DOCのサイトを訪れている読者へのメッセージをお願いします

かつては家で葬式を行い、旅立ちを見送るのが日常的な風景でした。住み慣れたところで快適に生活を送り、満足した最期を迎えていただくための医療制度が訪問診療だと思っています。
しかし、訪問診療という言葉は知っていても、まだまだその内容については認知度が低いのが現状です。介護疲れから悲しい事件が起きているケースも珍しくありません。
医療機関から半径16kmという範囲が訪問診療における法的に定められた距離ですが、コロナ禍という状況の中で、依頼があれば私たちは可能な限り訪問診療を行っています。
「こんなこと相談してもいいの?」とためらわず、気軽に相談していただければうれしいですね。

編集部まとめ

病院やクリニックに通わなくても、一定の医療を受けることができるのが訪問診療の大きなメリットです。コロナ後の社会がどんな姿になるのかは、いまだに想像できません。しかし、老若男女関係なく、一人で通院するのが難しい人にとって、利便性の高い訪問診療が心身ともに助けになることは間違いないといえるでしょう。生活状況や家族状況を踏まえた上で、これからの受診の選択肢の一つに、「訪問診療」を加えてみてはいかがでしょうか。

水野クリニック

医院名

水野クリニック

診療内容

内科 循環器内科 小児科 胃腸内科

所在地

大阪府河内長野市千代田台町6-1

アクセス

南海高野線「千代田」駅より車で3分
南海バス「市民グランド前」停留所より徒歩2分
近鉄長野線「河内長野」駅より車で7分
近鉄長野線「汐ノ宮」駅より車で9分
南海高野線「滝谷」駅より車で12分
南海高野線「三日市町」駅より車で12分

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