自分に合ったスポーツマウスガードは、傷害を防ぐとともにパフォーマンスアップにも貢献してくれる! 【東京都世田谷区 パール歯科クリニック】
甲子園球児やラグビー日本代表が装着していることで、徐々にその存在が認知されつつある「スポーツマウスガード」。しかしその効果や重要性、入手方法については、まだまだ情報が不足しているようだ。そこで「スポーツマウスガード」に取り組む数少ない女性歯科医師である、パール歯科クリニックの大原庸子院長に「スポーツマウスガード」についてわかりやすく教えていただいた。
大原 庸子
パール歯科クリニック 院長
1993年、鶴見大学歯学部卒業。1997年、鶴見大学歯学部大学院卒業、博士号取得。医療法人厚誠会歯科に勤務した後、2002年、パール歯科クリニック開院。床矯正研究会会員、日本小児歯科学会会員、日本フィンランド虫歯予防研究会会員など所属学会多数。
脳震とうを防ぎ、選手のパフォーマンス向上に役立つ「スポーツマウスガード」
目次 -INDEX-
- 最近広まりつつある「スポーツマウスガード」には、どんなメリットがあるのですか?
- 脳震とうというと、頭を打って意識を失う症状ですよね?
- そのためにマウスガードが必要なんですね?
- しっかり噛むことはスポーツにおいて本当に重要なんですね。
- お話を伺うと、マウスガードを付けずに運動するなんて考えられなくなりますね。
- スポーツ店などで既製のマウスガードも購入できるようですが。
- こちらでスポーツマウスガードを作製するにはどうすればよいのですか。
- メンテナンスについても教えていただけますか。
- 装着した後に通院する必要はありますか?
- 「ダブル」のマウスガードとは何ですか?
- 大原先生がスポーツマウスガードに取り組むようになったきっかけは何ですか?
- 試合会場にも出向かれているとお聞きしましたが?
- 最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
最近広まりつつある「スポーツマウスガード」には、どんなメリットがあるのですか?
ラグビー、アメフト、サッカー、野球、モータースポーツ、ボクシングなどなど。激しい衝撃を伴うスポーツには、歯が折れたり、唇や舌など口の中をケガしたりするリスクが付きものです。実はスポーツによるケガで一番多いのは、手や足より口の中や口の周囲なんです。「スポーツマウスガード」はそういった衝撃を緩和し、口元のケガを防止します。さらに、頭部への衝撃を緩和し、脳震とうを防ぐメリットがあるんです。
脳震とうというと、頭を打って意識を失う症状ですよね?
意識を失うケースもありますが、意識があるけれど、様々な症状を起こすケースもあります。脳震盪の診断基準にのっとり、起きている症状から重症度を診ていきます。脳震盪は直接頭を打たなくても顎に強い力が入り脳にその衝撃が伝わる事で起きるケースもあります。
わかりやすくするために、頭蓋骨がお水の入ったボウル、脳がボウルに浮かんだお豆腐だとイメージしてください。ボウルにゴン、ゴン、ゴンと衝撃を受けると、お豆腐は揺れてボウルにぶつかり、だんだん形が崩れていきます。スポーツで頭に衝撃を受けるとき、脳もそんなダメージを受けているんです。
一度の脳震盪で下半身付随や命に関わる大事に至る事もあります。また、何度も繰り返す事で、重症化し、慢性的な記憶障害やめまいなど起こるケースがあります。ですから、脳震とうを重症化させずに運動を行うためには、この「揺れ」を小さくする必要があります。
そのためにマウスガードが必要なんですね?
はい、そうです。口を開いた状態で衝撃を受けると、頭がフニャフニャと揺れてしまいますが、しっかり噛んでギュッと食いしばれば、頭はそれほど揺れないんです。この状態をつくり出すのが「スポーツマウスガード」なんです。
しっかり噛むと、首の筋肉(頸椎筋)が立ち上がって頭が支えられるので、揺れを小さくすることができます。そして、脳の入った頭蓋骨と一体化した口元で衝撃を吸収することによって、脳への衝撃もやわらげられるのです。近年ボクシングによるケガの重症化が少なくなったのは、マウスガード使用が関係していると考えられます。
しっかり噛むことはスポーツにおいて本当に重要なんですね。
しかも、スポーツマウスガードには選手の力をより引き出すメリットもあります。たとえば高齢の方が入れ歯を入れずに立ち上がろうとすると、うまく立ち上がれず、入れ歯を付けるとしっかり立ち上がって歩ける、ということがよくあるんです。これと理屈はまったく同じ。マウスガードを装着してしっかりバランスよく噛めていれば、踏ん張りが効くので、本来自分が持っている能力を引き出すことが可能になります。
お話を伺うと、マウスガードを付けずに運動するなんて考えられなくなりますね。
日本ではなかなかまだ普及していないのですが、本当によいものなので、ぜひ皆さんに知っていただきたいですね。大学スポーツやプロスポーツの選手はもちろん、お子さんの頃から装着してほしいものです。
装着している選手たちは皆、「もうこれがないと怖い、手放せない」と言っていますよ。
自分の歯にぴったりフィットする歯科医院のマウスガード。色やデザインも選んで自分だけのオリジナルを
こちらでスポーツマウスガードを作製するにはどうすればよいのですか。
お口の中がきれいな方なら、1回目の通院で歯型を取り、カウンセリングを行い、1~2週間後、急ぎなら3日から1週間後に作製したマウスガードを調整します。そして1カ月後、練習や試合で使ってみてどうだったかをお聞きして、不具合があれば再度調整となるので、全部で3回の通院で済みます。
お口の中がきれいでない場合は、歯型を取る前にお掃除や治療を行うので、合計4回以上の通院となります。遠方の方の場合は、歯型を取る前に、近場の歯科医院でお口をきれいにしてくださいとお願いしています。
また、遠征で全国を飛び回っている選手の方には、うちで作製したマウスガードを、私の研究仲間の歯科医院で調整していただいたこともあります。そのような歯科医院同士の連携も可能ですので、遠征が多くて通院が大変だという方も、ぜひご相談に来てほしいですね。
メンテナンスについても教えていただけますか。
基本的に流水ですすぎ、除菌スプレーをかけて、専用ケースに入れ、帰宅してから洗浄剤につけておくだけです。コンタクトレンズと同じ程度の作業なので、皆さんすぐに慣れるようです。もし汚れがひどい場合は、毛先が丸まっているタイプの歯ブラシで優しく落としてください。
気をつけてほしいのは、ついポケットに入れて、ユニフォームと一緒に洗濯してしまうこと。つくり直しになるとお互いにショックなので(笑)、必ず専用ケースに入れてください。また、熱に非常に弱く変型するので、温かいところは避けてください。
装着した後に通院する必要はありますか?
1年に一度つくり替えに来る必要があります。ただし、選手によっては3カ月で取り替える人もいます。プロボクシングの選手の場合は、1試合1試合取り替えられますね。割れてもゴムなので口の中をケガするようなことはないのですが、ダブルのマウスガードはシングルよりは少し壊れやすくなります。
「ダブル」のマウスガードとは何ですか?
「70%じゃダメ。100%満足できるマウスガードをつくりたい」と、試合会場にも足を運ぶ歯科医師
大原先生がスポーツマウスガードに取り組むようになったきっかけは何ですか?
当院は日大通りにありますので、学生スポーツをやっている患者さんのお口の悩みを伺う中で、「このままでいいのかな、何かできることはないだろうか」と思ったのがきっかけです。歯科大時代の同級生からも「スポーツ歯科に取り組んでいる女性歯科医師はまだ少ないからぜひやってみたら」と応援してもらい、勉強を始めたら面白くなってハマってしまいました。
試合会場にも出向かれているとお聞きしましたが?
カメラで撮影しながら、「選手はプレー中動きに何を求めているのか?スピード?バランス?パワー?マウスガードはそれに対応しているのか?」「どうしたら選手本来もっているパフォーマンスを引き出せるのか?」「自分がつくった作品はちゃんとその人の体の一部になっているのか」と、それを観察するんです。そして選手に感想を聞いて、「まあまあかな」と言われたらダメだと思っています。70程度の満足では選手の本来のパフォーマンスを出せたことにはならない。
「先生、サイコー!」「全然違う、変わった変わった!」と言ってもらえないと100じゃない。もっと改良しようと思うんです。
それに、試合を見に行って、自分のつくったマウスガードを装着した選手が活躍するのを見るのは何ともいえないうれしさなんですよ。ラクロスの選手が目の前でダイナミックなシュートを決めてくれたときはもう、たまらなかったです。
最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
マウスガードの重要性を知っても、歯科医院に行くのが面倒だったり費用が気になったりして踏み切れない方もいると思います。自分の大切な人や自分自身がケガをして初めて、必要性に気づく方もいます。
でも、ケガはいつ起こるかわかりません。少しでも危険性が頭をよぎるのであれば、10年後の未来を考えてください。最悪の場合、下半身不随になるかもしれない。10年後、そんな状況になりたいですか、ということなんです。
長い人生を考え、引退後も健康な社会生活を送るために、どんな些細なケガも予防する。それでこそ本当のスポーツ選手といえるのではないでしょうか。健康にスポーツを楽しむため、引退後も健康に過ごすために、ぜひご相談にいらしてください。お待ちしております。
編集部まとめ
明るく親しみやすい大原先生のお話から、スポーツマウスガードには傷害予防のメリットとともに、それぞれのスポーツにおけるパフォーマンスアップの可能性も秘めていることが理解できました。試合会場に出向き、自分のことのように選手の活躍を喜ばれる大原先生。思い切りスポーツに打ち込みたい方は、ぜひ一度パール歯科クリニックに相談に訪れてみてはいかがでしょうか。
医院名
パール歯科クリニック
診療内容
スポーツマウスガード 歯科一般 歯周病治療 小児歯科 インプラント治療 など
所在地
東京都世田谷区赤堤5-32-2
アクセス
京王線・東急世田谷線「下高井戸」駅より徒歩5分