治療終了後からがスタート、「歯科医院でのメンテナンス」の重要性【横浜市西区 野中歯科医院】
そこで今回は、歯のメンテナンスに詳しい野中歯科医院 院長「野中 哲雄」先生にお話を伺いました。
野中 哲雄
野中歯科医院 院長
予防治療と歯周病治療を得意とする歯科医師。「歯や口周りと密接につながっている身体全体の健康維持が重要」と考えており、ブラッシングの指導のみならず、食事や生活習慣の指導も行っている。「治療することなく口内環境を整え維持する」がモットー。
目次 -INDEX-
歯科医院でメンテナンスを行う重要性
実は、虫歯や歯周病は治療が終了してからも3~6カ月ごとの定期検診でメンテナンスを受けたほうがよいとされています。(2020年1月時点 特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会|「歯のメンテナンス」調べ)
しかし、どうして年に何度も定期検診を受ける必要があるのでしょうか。定期検診の必要性を理解するために、まずは虫歯と歯周病の成り立ちをみていきましょう。
プラークがあると「虫歯」や「歯周病」に発展する可能性がある
一般的に虫歯や歯周病は、次のような流れで発生すると考えられています。
「虫歯」が発生する流れ
1.歯みがきで落としきれなかった汚れが、「プラーク」となる
2.多くの細菌が潜むプラークが歯の表面にたまる
3.プラークの中で増殖した虫歯菌が酸を作り出し、歯の表面を溶かす
4.虫歯となって、歯の破壊を始める
「歯周病」が発生する流れ
1.歯みがきで落としきれなかった汚れが、「プラーク」となる
2.歯周ポケット(歯と歯肉の間)にできたプラークの中で細菌が増殖
3.歯周病となって、炎症が起きたり腫れたりする
また、こうした炎症や腫れによって歯周ポケットが深くなり、歯槽骨(しそうこつ、歯茎の骨)が溶けて歯を支えられなくなってしまうことも考えられます。
虫歯や歯周病を防ぐには歯科医院でのメンテナンスも大切
虫歯と歯周病の成り立ちからもわかるように、歯の健康を保つにはプラークの除去が重要です。なぜなら、どんなに虫歯や歯周病の治療を行っても、普段からプラークの除去ができていなければ、再び虫歯や歯周病になる可能性があるからです。
しかし、多くの人が、毎日歯みがきをしていますよね。歯みがきさえしていれば、プラークの除去ができるのではないでしょうか?
それなのに、3~6カ月ごとに歯科医院でのメンテナンスが必要とされるのはなぜなのか、これらの疑問について、野中先生にお話を伺いました。
たとえ毎日歯みがきをしていても、一人ひとりの癖などによってどうしてもみがき残しができてしまうというのは納得ですね。このみがき残した場所にあるプラークが、虫歯や歯周病を引き起こしてしまうといいます。
では、みがき残しがないようにするには、どうしたらいいのでしょうか。野中先生は次のような見解をお話してくださいました。
汚れから一人ひとりに合わせた歯みがき指導を行うことで、日々の歯みがきによる汚れの除去、さらにその後の予防に繋げることができるのです。
また、噛み合わせにおいても、習癖の早期発見によって破折などを未然に防ぐことができるでしょう。
さらに、歯科医院では歯科医師や歯科衛生士によってプラークの除去をしてもらうこともできます。そのため、みがき残しがあったとしても、定期的に歯科医院でプラークを除去してもらえば、歯や歯周病の予防につながっていくでしょう。
このように、毎日の歯みがきはもちろんのこと、それだけでなく、歯科医院での定期的なメンテナンスも受けることで、口の健康を長く保てるようになるといえます。
子どものうちから歯科医院でメンテンスを
では、子どものうちから姿勢や呼吸を整えることが、どのように歯の健康に関わるのでしょうか。野中先生に詳しく教えていただきました。
口腔周囲の筋肉や組織が正しい方向に成長するためには、これらの部位を正しく使うことが大切です。そのため、野中歯科医院では呼吸や姿勢の指導を通して口唇や舌の運動指導をしています。
また、姿勢の良し悪しは、顎の動き方や使い方、発音や呼吸、鼻腔の成長にも関わります。そのため、脚、腰、背骨、首が頭を支えて正しい位置にくるような指導も行っているのです。
この点を考えると、なるべく早い段階から、歯のメンテナンスを心がけることが重要だということが理解できるのではないでしょうか。
歯並び改善も歯のメンテンスとして有効
・食べ物がよく噛めない
・ことばが明瞭でなくなる
・むし歯になりやすい
・歯槽膿漏になりやすい
・口臭の原因になる
・アゴの関節に負担をかける
・歯を折ったり、ケガしやすい
さらに歯並びの乱れは、歯のメンテナンスにもデメリットがあると野中先生はおっしゃいます。
では、どのようなデメリットがあり、そのデメリットを克服するにはどうすればいいのでしょうか。
子どものうちに歯列矯正をしておくことで、メンテナンスが行き届きやすい分、将来の虫歯や歯周病の予防につながります。しかも、早めに矯正治療に取り掛かれば、非抜歯で治療を終える可能性が高まります。
歯並びが悪いと、歯のメンテナンスが十分に行えないといいます。しかし、歯列矯正を行うことで、みがき残しが減り、口腔内の健康を保ちやすくなるようです。
ところで、「子どものうちに矯正治療に取り掛かれば、非抜歯で治療を終える可能性が高まる」というのは、どうしてなのでしょうか。
子どもの場合、歯並びのカーブを大きくする「床矯正(しょうきょうせい)」という治療を行うことが可能です。
歯列矯正では、「歯のカーブに、きれいに歯を並べる」ことが求められます。しかし、カーブが小さい場合には、すべての歯を並べるためのスペースが足りなくなってしまいます。そのため、カーブに歯を並べるために、抜歯をして歯を減らすことがあるのです。
しかし、子どものうちにできる床矯正では、歯並びのカーブそのものを大きくすることができます。歯並びのカーブが大きくなると、歯が並ぶスペースが確保できるため、歯を抜かずに歯並びを整えられる可能性が高まると期待できるでしょう。
一方で、「子どもの歯列矯正は時間がかかる」というイメージを持っている人もいるのではないでしょうか?
そこで、成長期の子どもの時に行う歯列矯正と、10代後半や成人してからの歯列矯正では、実際の治療期間にどのように差があるのか、野中先生の見解を伺いました。
とはいえ子どもは歯の生え変わりもあるため、歯列矯正の期間が長期にわたることもあるでしょう。しかし、歯並びは身体の成長、神経や脳細胞の成長とも関わるため、成長期に歯列矯正行うことを推奨しております。
実際の治療期間は、子どもであっても大人であってもあまり変わらないようです。
しかし、歯並びは体や神経の成長に関わること、先ほどご紹介した非抜歯で治療できることなどから考えても、子どものうちに歯列矯正を行った方が、メリットは大きいかもしれません。
では、成人してからの歯列矯正は効果が薄いということでしょうか?この点についても、野中先生の見解を伺いました。
可能なかぎり早い段階で歯列矯正を行えば、その後の人生において、高い歯のメンテナンス効果が得られるのではないでしょうか。
ただし、歯列矯正には次のようなデメリットやリスクもあります。
治療期間が2年程度と比較的長期にわたる
治療期間中に痛みを生じる場合がある
原則的に自由診療になるため治療費が高額になることが多い
矯正装置の装着により歯みがきがしにくくなり、虫歯や歯周炎になり場合がある
歯茎が下がったり(歯肉退縮)、歯の根っこが短くなったりする(歯根吸収)
これらのデメリットも十分に加味したうえで、治療を開始できるといいですね。
編集部まとめ
歯科医院でのメンテナンスで歯を維持しよう
虫歯や歯周病の治療が終わっても、メンテナンスを継続しなければ、再び口のトラブルに見舞われる可能性があります。そのため、口の健康を維持するためには、歯みがきはもちろん、歯科医院で歯みがき指導やプラーク除去などのメンテナンスも有効です。
歯科医院によっては、歯磨き指導やプラーク除去だけでなく、呼吸や姿勢の指導をすることにより、歯のみならず口全体の健康の維持をサポートしてくれます。
また今回のお話では、歯列矯正が見た目を整えるだけの治療ではなく、歯のメンテナンスにもなるということがわかりましたね。これは、歯並びが悪いと歯みがきが十分にいき届かず、その結果、虫歯や歯周病になる可能性があるためです。
そのため、なるべく早い段階で歯列矯正を受けることで、その後の人生において口の健康を保ちやすくなるのではないでしょうか。この点を考えると、歯のメンテナンスのためにも、歯列矯正の必要性を検討する価値も十分にありそうです。
医院情報
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