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親知らずを「入院」で抜歯!? 入院が必要になる時やメリット・デメリット、費用や入院期間を歯科医が解説

 公開日:2023/11/13
親知らずを「入院」で抜歯!? 入院が必要になる時やメリット・デメリット、費用や入院期間を歯科医が解説

親知らずの抜歯といえば通常の治療と同様に「日帰り」でおこなうのが一般的ですが、場合によっては1~2泊の「入院」で抜歯するケースもあるようです。今回は親知らずを入院で抜歯するのはどのようなケースか、また入院による抜歯のメリット・デメリットなどを「横浜駅西口歯科第2医院【親知らず外来】」の鈴木先生に解説していただきました。

鈴木 亮広

監修歯科医師
鈴木 亮広(横浜駅西口歯科第2医院【親知らず外来】)

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日本歯科大学生命歯学部卒業。東京女子医科大学病院麻酔科・救命救急センター、筑波大学附属病院歯科・口腔外科、国立病院機構静岡医療センター歯科口腔外科の勤務。その後、「横浜駅西口歯科第2医院【親知らず外来】」の院長に就任。親知らず専門外来チームによる診療で抜歯実績は年間1万本を超える。日本口腔外科学会認定医、日本外傷歯学会認定医、日本有病者歯科医療学会専門医。

入院して親知らずを抜歯するのはどんなケース?

入院して親知らずを抜歯するのはどんなケース?

編集部編集部

親知らずを通院ではなく、入院して抜歯するケースがあると聞きました。具体的に、どのような場合に入院が必要になるのでしょうか?

鈴木 亮広先生鈴木先生

親知らずの抜歯に局所麻酔以上の麻酔、具体的には「全身麻酔」を用いる場合は入院が必要です。具体的なケースに、神経にべったりと引っついている親知らず、極端に深いところに位置している親知らずの抜歯があります。また、親知らずの周囲に「嚢胞(のうほう)」という袋状の病変があるケースでも、入院による抜歯を検討していきます。

編集部編集部

なぜ、このようなケースは入院して全身麻酔をする必要があるのでしょうか?

鈴木 亮広先生鈴木先生

抜歯に際して患者さんの身体的負担が大きくなるからです。親知らずやその周囲の病変が神経や血管に近い場合、抜歯の際に痛みが強く出たり、出血が多くなったりすることが予想されます。このような場合に通常の局所麻酔ではなく、全身麻酔を用いると患者さんの負担も少なく済むことに加え、抜歯処置を安全にすすめることができます。

編集部編集部

安心・安全のための入院なのですね。ほかにも、親知らずの抜歯で入院になるケースはありますか?

鈴木 亮広先生鈴木先生

歯科治療に対する恐怖心が強い人や、嘔吐反射が強くて器具が口にはいるとえずきやすい人の抜歯でも、入院による抜歯を検討することがあります。

入院して親知らずを抜くメリット・デメリット

入院して親知らずを抜くメリット・デメリット

編集部編集部

入院して親知らずを抜くと、どんなメリットがありますか?

鈴木 亮広先生鈴木先生

抜歯後にトラブルが生じた場合に、すぐに対応してもらえる安心感が入院の最大のメリットでしょう。例えば、親知らずを抜歯した後に「血が止まらない」「薬を飲んでも痛みが引かない」といった場合でも、入院中は症状に応じた的確な処置が受けられます。とくに、痛みについては点滴の痛み止めが使えるので、痛みが強くでた場合でも速やかな対応が可能です。

編集部編集部

では、入院して親知らずを抜く場合のデメリットは何ですか?

鈴木 亮広先生鈴木先生

入院まで何回か通院が必要なことや、入院によって2~3日ほど学校や仕事を休む必要があるなど、通常の抜歯よりも手間や時間がかかってしまうことがデメリットに挙げられます。また、入院の費用が別途必要になるため、通院による抜歯よりも治療費が高くなります。

編集部編集部

確かに「入院」となると手間暇がかかるので、抜歯のハードルも高くなります。「やはり入院はしたくない」という場合、ほかの手段や方法はないのでしょうか?

鈴木 亮広先生鈴木先生

「なぜ入院が必要か」「なぜそう判断されたか」という理由によって様々な考え方があると思います。入院が推奨されるケースでも、患者さんの協力次第では通院による抜歯が可能な場合もあります。ただ、それに伴うリスクや患者さんへの負担が大きくなることは、よく理解しておく必要があるでしょう。それでも「どうしても入院は避けたい」という場合は、当院のように静脈内鎮静法を用いて日帰りで抜歯できる歯科医院もあるので、そういう歯科医院を探してみるのも1つの方法です。

入院で親知らずを抜歯したい場合、手続きはどうすればいい? 入院期間や費用の目安を歯科医が解説

入院で親知らずを抜歯したい場合、手続きはどうすればいい? 入院期間や費用の目安を歯科医が解説

編集部編集部

入院して親知らずを抜歯したい場合、どのような手続きをおこなえばいいのでしょうか?

鈴木 亮広先生鈴木先生

入院設備のある医療機関は、紹介状がある方が手続きもスムーズにおこなえます。したがって、まずはかかりつけの歯科医院に相談して、紹介状を書いてもらうことをおすすめします。

編集部編集部

親知らずの抜歯で入院する場合、入院期間はどのくらいになりますか?

鈴木 亮広先生鈴木先生

一般的に1泊2日、または2泊3日の入院期間となります。全身麻酔で抜歯する場合は、2泊3日であることが多いようです。

編集部編集部

退院後も通院は必要なのでしょうか?

鈴木 亮広先生鈴木先生

処置の内容や術後の経過によっては、入院先の病院にしばらく通院が必要になる場合もあります。ただ、術後の痛みや腫れ、抜糸の処置などはかかりつけの歯科医院でも基本的には対応が可能です。退院後の通院については、退院する際に主治医に相談してみましょう。

編集部編集部

入院して親知らずを抜歯する場合、費用はどのぐらいかかりますか?

鈴木 亮広先生鈴木先生

入院の費用は、基本的に保険適用です。ただ、使用する麻酔の種類や抜歯の方法、個室など入院部屋の種類によって費用は大きく異なるため、まずは入院先の病院に詳しい費用を確認することが重要です。具体的な一例としては、保険適用で3割負担、親知らずが4本とも骨に埋まっているケースで全身麻酔を用いる場合、費用の目安は10~15万円前後になります。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

鈴木 亮広先生鈴木先生

親知らずの抜歯が怖い・不安という人には、局所麻酔のほかにも方法があることもぜひ知っていただければと思います。「安心を得られる」という点では入院による全身麻酔や静脈内鎮静法を用いた抜歯にはメリットも多いため、担当医と相談しながら検討してみるのもいいでしょう。

編集部まとめ

親知らずの抜歯は通院による日帰りが一般的ですが、親知らずの位置や病変の有無、身体的な事情によっては、入院による抜歯の方が安全である場合もあるようです。入院・全身麻酔で親知らずの抜歯をすすめられた場合は、その理由やメリット・デメリットなどを担当医によく確認したうえで検討を進めていきましょう。

医院情報

横浜駅西口歯科第2医院【親知らず外来】

横浜駅西口歯科第2医院【親知らず外来】
所在地 〒220-0004 神奈川県横浜市西区北幸2-10-50 北幸山田ビル 4F
アクセス JR「横浜駅」 徒歩5分
診療科目 歯科

この記事の監修歯科医師