矯正治療を行っている歯科医師に聞く!舌側矯正の費用や痛みの対処法【港区 麻布十番矯正歯科室】
しかし、治療を受けるにあたっては、矯正中の痛みや治療費などについて気になるはず。
今回は、患者に舌側矯正の良い点だけでなく、治療のリスクやデメリットもしっかりと説明することを大切にしている麻布十番矯正歯科室の菊池香織先生にお話をうかがいました。
日本歯科大学歯学部卒業。臨床研修後、日本歯科大学歯学部附属病院矯正歯科へ入局。複数の歯科クリニックで歯科矯正治療に携わったあとに、2015年より「麻布十番矯正歯科室」を開業。現在に至る。日本矯正歯科学会、日本成人矯正歯科学会などに所属。
舌側矯正は痛みを伴う!?治療法を理解して原因を知ろう
目次 -INDEX-
舌側矯正は歯の裏側に装置をつけて歯並びを整える治療
舌側矯正は歯の裏側(舌側)にブラケットという矯正器具を付けて、その間に通したワイヤーの力を利用して歯並びを整える治療法です。矯正装置は歯の頭(歯冠)に付けていますが、実際に動かしているのは骨の中に埋まっている歯根なのです。ワイヤーの力が歯根に伝わり、歯根の周りにある歯根膜という組織を介してその力が歯の周りの歯槽骨に伝わります。すると、破骨細胞という細胞のはたらきにより、動かしたい方向の歯槽骨が一旦破壊され、それによって歯が移動できるようになります。移動した後は骨芽細胞という細胞のはたらきで新しい骨が再生され、この歯槽骨の破壊と再生を繰り返して歯が移動してゆきます。硬い骨の中を硬い歯根が移動するためには、こうした骨の破壊と再生が必要不可欠であることを覚えておきましょう。また、前述のように歯根膜を介して矯正力は骨に伝えられるため、歯根膜が存在しないインプラントは矯正治療で動かすことができないのも特徴です。
舌側矯正によって起こる痛みとそれぞれの対処法
舌側矯正で起こるおもな痛みには以下のようなものがあります。
- 装置によって歯が動く際に生じる痛み
- 装置が舌にあたることで起きる痛み
- 口内炎による痛み
歯が動く際に生じる痛みには個人差が大きく、実際に治療を始めてみないと、どの程度痛みが出るかは分かりません。まったく痛くない人もいれば、食事に支障が出るくらいの痛みを感じる方もいます。
また、舌側矯正ではおそらく舌に装置が当たる痛みが一番苦労されるポイントではないかと思います。舌は非常に繊細な感覚を持っていますので、同じように器具があたっても表側の矯正装置より痛みを感じやすいためです。
それでは、もし痛みが出てしまったらどのように対処したらよいのでしょうか。それぞれの痛みごとに対処法を確認してみます。
1.歯が動くことによる痛み
歯が動きは前述のように歯根膜を介して行われますが、このときに歯根膜では炎症も起きています。歯が動くことによる痛みは、この炎症反応の一部だと言われています。特に、はじめて装置をつけたときや、ワイヤーを新しいものに取り替えるときに痛みが生じやすいといえます。
この痛みは、「歯がぎゅっと締め付けられる」と表現されることが多く、頭痛に似た痛みを感じる方もいます。歯に力をかけてから6時間程度で痛みは現れ、翌日が痛みのピーク、その後2~3日で引いてゆきますが、個人差もあり1週間ほど続くこともあります。しかし、眠れない、仕事ができない、学校に行けないと感じる程度ではありません。
痛みが強い期間は咬むことによって痛みが助長されますので、スープや柔らかいものが食べやすく、ある程度ではありますが鎮痛剤も効果が期待できます。
2.装置が舌にあたったり触ったりすることで起きる痛み
舌側矯正の場合は、歯の裏側(舌側)に装置やワイヤーを取り付けるため、ご飯を食べたり、話したりするだけでも舌に装置があたってしまいます。
このように装置が舌に触れていると、「刺さるようなチクチクとした痛み」を感じることがあるようです。一般的には2週間ほどで舌の動かし方に慣れてくるため、あまり神経質にならず、意識的に装置には触れないようにしましょう。
どうしても痛みが気になる場合は、矯正用ワックスを使用するのもいいでしょう。矯正用ワックスによって装置やワイヤーをカバーすることで、舌が引っかかりにくくなり、痛みや不快感を軽減することが期待できます。
3.口内炎による痛み
装置が舌にあたることで傷ついてしまうと、口内炎ができてしまうことがあります。これは「カタル性口内炎」といって、物理的な刺激によって生じる口内炎です。一般的に白くざらざらとした見た目をしていて、刺激を伴う痛みであることが特徴です。
口内炎を予防するには口腔内の清潔を保つことも大切です。また、口内炎が出来てしまった場合には、軟膏やパッチ、ビタミン剤なども効果が期待できますので、主治医に相談しましょう。
舌側矯正の痛みに関するQ&A
舌側矯正の痛みに関する疑問について、菊池先生にお答えいただきました。
編集部
なぜ舌側矯正をすると痛みが出るのかを教えてください。
菊池先生
矯正力が歯に加わると歯根の周りにある歯根膜に炎症が生じて、「歯が動く際の痛み」が生じます。また、装置が口の中の粘膜にあたることによって、「口内炎や傷」が出来ることがあるため、治療中はこの2種類の痛みが生じる可能性があります。
編集部
慣れるまでは、痛みを我慢するしかないのでしょうか。
菊池先生
矯正によって痛くなる場所やどのような痛みが出るがわかるので、痛みが軽減されない場合には我慢しすぎず医師に症状を見せ相談してください。口内炎による痛みの場合は、薬を処方することもできます。
編集部
痛みが強いときには痛み止めを自己判断で内服しても大丈夫でしょうか。
菊池先生
痛み止めを飲んでもいいですが、効果がないケースもあります。どちらかというと、慣れによる部分が大きいです。
自由診療の舌側矯正は歯科医院で費用が異なる
一部の病気による歯列矯正を除いて、歯列矯正は表側・舌側にかかわらず保険適用外の自由診療となります。自由診療の場合は医療機関によって金額設定が異なるため、事前に費用の目安を確認することが重要です。舌側矯正にかかる費用について詳しくみていきましょう。
矯正には診察代・検査代・処置代などが必要
舌側矯正にかかる治療費は、細かく見ると診察代・検査代・矯正装置代・処置代・保定料などに分けることができます。それぞれの詳細については以下の表をご確認ください。
診察代 | 歯科医師の診察を受けたときにかかる費用 |
検査代 | 治療に必要な検査を行ったときにかかる費用 |
矯正装置代 | 矯正装置そのものの費用 |
処置代 | 矯正装置を装着するのにかかる費用 |
保定料(リテーナー代) | リテーナーにかかる費用
※歯並びが整ったら、歯並びが崩れないようにリテーナーという装置で歯並びを固定します。これを保定といいます。 |
舌側矯正のほうが表側矯正よりも高額になる
一般的に「舌側矯正は表側矯正よりも費用が高い」といわれています。そこで、菊池先生に麻布十番矯正歯科室の矯正費用と、舌側矯正のほうが高額になってしまう理由についてうかがったところ、次のようなご回答をいただきました。
表側矯正の矯正器具は既製品で治療を行うことができるため、費用を抑えての治療が可能となります。一方、舌側矯正は、患者さんの歯の形に合わせて矯正装置をカスタムメイドで作成する必要があるため、高額になる傾向にあります。
菊池先生によれば、舌側矯正のほうが表側矯正に比べて高額になる理由は、舌側矯正では患者一人ひとりに合わせた装置を作る必要があるからとのことでした。また、日本舌側矯正歯科学会のWEBサイトを見ると、以下のような理由も挙げられています。
【以下、一般社団法人日本舌側矯正歯科学会「Q&A」より引用】
舌側矯正費用は外側の矯正の費用と違うのですか?
舌側矯正には特別な装置と技術が必要なため、外側の装置よりも高くなります。
このようにさまざまな理由から、舌側矯正のほうが表側矯正よりも高額になっているようです。なお、麻布十番矯正歯科室の舌側矯正は123万7,500円~143万円(税込)ですが、舌側矯正は自由診療であるため医療機関によって治療費は異なるのでよく注意しましょう。
治療費が当初の金額よりも高額になる場合に注意する
舌側矯正の治療費に関する注意点として、クリニックにより料金体系が異なることが挙げられます。この料金体系について菊池先生は次のように教えてくださいました。
一方、診察料が毎回かかるクリニックもあります。
費用面のトラブルを回避するには、クリニックを決める前にアフターフォローの内容なども含めて費用の内訳を確認しておくといいでしょう。
このように料金体系には、治療費に全ての費用が含まれている「総額制(トータルフィー制)」と診察・処置ごとに費用が発生する「処置料制」の大きくわけて2種類があります。治療を開始してから「こんなに費用がかかると思わなかった」と後悔することのないよう、あらかじめ料金体系や費用の目安について把握しておくようにしましょう。
麻布十番矯正歯科室はその他の悩みにもていねいに対応
舌側矯正には、痛み以外のデメリットもあります。また、患者の口の状態によっては舌側矯正が難しい場合もあるといいます。そのようなデメリットや問題に対して、麻布十番矯正歯科室ではどのように対応しているのでしょうか?
痛みや費用以外の舌側矯正のデメリットには何がある?
矯正治療を始めると、矯正治療を開始する前に比べて話しにくかったり、歯磨きがしにくかったりすることがあります。よくあるトラブルとその対応方法について確認しましょう。
1.滑舌が悪くなる
舌側矯正は舌のあたる位置に矯正装置があるため、話しにくさを感じることがあります。特に、舌の先を歯の裏側につけて発音するサ・タ・ラ・ザ・ダ行が話しにくくなります。
ただし、この話しにくさは個人差があり、歯並びの状態や舌の位置によって異なります。また、通常、数週間から数カ月で慣れてくるため、あまり気にしすぎることはありません。
2.歯磨きがしにくい
舌側矯正では歯の裏側に装置を付けるため、歯磨きの際に歯の状態を見にくく、磨き残しが出やすいという問題があります。一般的に「歯の裏側は虫歯にはなりにくい」といわれていますが、それでも磨き残しがあると虫歯になってしまう可能性があるので注意しましょう。
磨き残しをなくすためには、歯科医師や歯科衛生士から正しい歯磨きの方法を学ぶことが大切です。また、調整の際に磨き残しがないか確認してもらうようにしましょう。
歯の状態によっては、舌側矯正は難しい?
歯並びが悪かったり、歯が小さかったりすると、「舌側矯正は難しい」ように感じてしまう人もいるでしょう。このようなケースについて菊池先生は次のようにおっしゃっています。
ご自身で舌側矯正は難しい、できないと決め付けてしまうのではなく、まずは舌側矯正に力を入れている歯科医院に相談するのが良さそうです。そして、相談した際には納得のいく舌側矯正を受けられるよう、不安や悩みなどについてもきちんと説明するようにしましょう。
麻布十番矯正歯科室が診療で大切にしていることとは?
患者は、歯科医院へ受診する際、不安や悩みを抱えていることでしょう。そのような患者に対して、菊池先生は次のような思いを抱いて診療をしていらっしゃいます。
矯正治療の治療期間は、一般的に歯を抜かない場合で数ヶ月~1年半程度、歯を抜く場合で2~3年程度と言われていて、比較的長期間治療を続けていく必要があります。そのため、困ったときに気軽に相談できる歯科医院を選ぶことも、納得のいく舌側矯正を受けるために必要なことと言えるでしょう。
麻布十番矯正歯科室 矯正費用
舌側矯正(見えない矯正) 1,237,500円~1,430,000円(税込)
舌側矯正の不安解消には歯科医師選びがカギ
舌側矯正には、治療による痛みや、費用が高いというデメリットをはじめ、滑舌が悪くなる、歯磨きがしにくいといった悩みがつきものです。
しかし、これらのデメリットや悩みは、一つずつ対応することで解消できるようです。舌側矯正について気になることは、ぜひ歯科医師に相談してみてください。
医院情報
所在地 | 〒106-0045 東京都港区麻布十番2-1-1 KINOKUNIYA SUGAR RESIDENCE 2F |
アクセス | 東京メトロ南北線・都営地下鉄大江戸線「麻布十番」駅4番出口より徒歩1分 |
診療内容 | 大人の矯正歯科 舌側矯正 マウスピース矯正 プロフェッショナルクリーニング(PMTC)&ホワイトニング |