歯周病は早期の発見と治療が肝心。自発的なケアに励むことが何よりの対策【東京都町田市 医療法人社団山田歯科成瀬クリニック】

医療法人社団山田歯科成瀬クリニック
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日本の成人の約8割がかかっていて、成人が歯を失う主な原因である歯周病は、今や国民病ともいわれている。しかも口の中だけでなく、全身疾患との密接な関係も明らかになっていることから問題はより複雑だ。歯周病に対しては、早めに治療し、日常的に口腔内ケアをすることが何よりも「口+全身」の健康につながるという。歯周病についての詳細を日本歯周病学会専門医であり指導医でもある、「医療法人社団山田歯科成瀬クリニック」の山田先生に説明していただいた。

Doctor’s Profile
山田 潔
医療法人社団山田歯科成瀬クリニック 院長

日本大学歯学部卒業後、同学部歯周病学講座入局。同学部大学院歯学研究科臨床系を修了し、同学部歯周病学講座非常勤講師へ。その後、静岡市八木歯科に勤務。平成10年、日本歯周病学会専門医を取得し、日本大学歯学部歯周病学講座兼任講師を務める。平成11年、町田市成瀬にて開業。平成21年、日本歯周病学会指導医取得。日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、日本顕微鏡歯科学会所属。

成人の8割がかかっている! 進行に気づかず、診てもらうのが遅れがちになる歯周病のリスク

歯周病についてお話しいただきますが、歯周病の問題点はどこにありますか?

私が考える歯周病の問題点は3つあって、まず、歯周病は日本の成人の約8割がかかっている、もはや国民病です。そして、大人が歯を失う第一の原因なのに、その自覚のない人が多いこと。次に、歯周病の中に「侵襲(しんしゅう)性歯周病という、10代から発症するけれども発見しにくいタイプがあること。3つ目が、歯周病が単に口の中の病気であるだけでなく、糖尿病など全身疾患と大きな関係があること。この3点から、もっと多くの人に、歯周病の恐ろしさ、予防の大切さ、治療やケアの必要性を理解してほしいと思っています。

成人の8割がかかっている! 進行に気づかず、診てもらうのが遅れがちになる歯周病のリスク

成人の8割も! それなら、もっと多くの人が歯医者さんに通っているはずですよね?

よほど意識の高い人は別として、歯医者は後回しにされることが多いというのが現状なんですよね。そもそも歯周病というのは、まず「歯肉炎」というハミガキ時に出血する程度の症状を発症する歯周病前段階がありますが、必ずしもここから歯周病になるわけではありません。でも、大抵の人は症状が進行して次の「歯周炎」になります。
その段階で放置してしまうと、病状はゆっくりと進行し、気がつくと歯茎が腫れたり、歯がぐらぐらしたり、口臭がきつくなったりといった深刻な症状になっています。多くの患者さんは、そうした歯周病特有の症状に気がついてからようやく来院されますが、でも健診などで早めに来院される方もいないわけではありません。

進行に気がつかないというのは困りますね。歯周病の原因は何でしょうか?

歯肉炎の段階では痛みがないから気がつきにくいだけで、歯周炎になっても放置すれば確実に病状は進行します。そもそも歯周病の原因は、むし歯を発生させる菌とは別の、歯周病菌という菌です。
口の中には細菌がたくさんいますが、必ずしもすべてが悪さをするものではありません。ただ、習慣的にきちんとハミガキをして、食べ物のカスを餌に歯周病菌が繁殖した「歯垢(しこう=プラーク)」を取り除き、歯垢がさらに塊となった「歯石」をつくらないようにするなど、基本的にお口の中を清潔にしておかないと症状は悪化するばかりです。特に、食器などの共有による親から子どもへといった親子感染に注意しないと、家族中に広がっていってしまいます。

成人の8割がかかっている! 進行に気づかず、診てもらうのが遅れがちになる歯周病のリスク

先生のところで行う通常の歯周病治療の流れを教えてください。

企業や自治体の健診で、あるいはご自分で希望されて来院された方々に、検査(1時間程度)+コンサルティングを行います。検査は、むし歯や歯周病の有無から、歯周ポケットの深さや歯の揺れのチェック、レントゲン撮影のほかに、特殊カメラでの撮影など多角的にお口の中を調べます。
さらに、歯周病は噛みしめや歯切しりなどとも関連しているので、そういったいわば悪癖についてもヒアリングします。その結果、今後、どんな治療や予防ケアが必要かを判断し、治療の詳細などについてはコンサルティングでお話しします。特に、歯周病については、どうしてこの病気になってしまったのかという点についてあまり自覚のない患者さんが多いんですよ。そこをしっかり説明し、私の手書きメモを加えた資料をお渡しし、治療に向き合っていただくよう説得します。納得していただけたら、次にそれぞれの症状に応じた治療へと進みます。

ハブラシ指導と自宅での日常的なケアが、歯周病対策のカナメ

ハブラシ指導も丁寧に行うそうですね。

そうですね。歯のブラッシングをきちんと行うことが何にも勝る治療法かつ予防法で、これができないと歯周病だけでなく、一般的な歯科診療でも審美治療でも、歯科がらみのことすべてがうまくいきません。将来的にも歯科での治療費を節約する鍵となります。だから、当院では徹底したハブラシ指導を行っています。
各人に適したハブラシの処方に加え、その励みになるように検診にいらした方には毎回、おすすめのハブラシを差し上げています。ハブラシ指導の効果として、患者さんがちゃんと磨けるようになったかどうかの結果は、染め出しなどでチェックします。それもデータ化して患者さんにお渡しして、セルフケアの目標値をお伝えし、達成できるよう頑張っていただきます。

ハブラシ指導と自宅での日常的なケアが、歯周病対策のカナメ

ハブラシ処方は参考になりますね。案外、どんなハブラシがいいのかわからなかったりします。

特に女性は口の大きさの関係で、奥歯が磨きにくいはず。口を閉じないと奥歯の裏までハブラシが届きにくいんです。そういった細かいコツなどを指導し、適切なハブラシを選んで処方します。そうすれば、いち早く、きちんとしたケアに到達できますから。

ハブラシ指導の後に、いよいよ治療ですね。

急を要する場合は先に応急の治療をしますが、通常はコンサルティング→ハブラシ指導→治療という順に行います。治療内容は歯周病の症状の程度により異なります。軽度の場合は、歯周ポケットも含めたお口の中の歯石を取り除く程度。あとはハブラシ指導の成果として、歯周ポケットも浅くなっているはずですし、症状が進行しなければOKです。
中度の場合は、深い歯周ポケットの清掃を含めた外科的治療を行います。この段階では、歯を温存できるように努めます。重度の場合は、もう歯を救えない状況が多く、抜歯するしかありません。その後、入れ歯やブリッジなどの治療へと移ります。いずれの治療でも、自宅でのケアは同時に行っていきます。

治療にはどれくらいの期間がかかりますか?

最初の検査後、治療は月に1~2回の頻度で行い、3カ月後をメドに再評価を実施します。そこで治っているかどうかの確認を行い、治っていれば通常の通院のメンテナンスを続けることになりますが、治っていなければさらに外科的治療を続けることになります。そうこうするうちに、患者さんによってはトータルで1~2年かかってしまうようなケースもあります。
最初の状態が悪かったり、メンテナンスがちゃんとできなかったりすると、余計に時間も、費用もかかります。あと、喫煙習慣のある方も治りにくいので要注意です。

10代がかかる歯周病のことを教えてください。

歯周病は、体質的にかかりやすい人もいますが、たいていは40代以降の成人で、口の清潔を保てない人がなりやすいとされています。
一方、あまり一般には知られていませんが、「侵襲性歯周炎」という歯周病の一種があり、早ければ小児のころから、主に10代の女性に多く、500~1,000人にひとりの割合で発症します。私は中学校の校医も務めているので、学校健診で見つけたケースもあります。

ハブラシ指導と自宅での日常的なケアが、歯周病対策のカナメ

これも治療すれば治るものなのでしょうか?

もちろん、早期発見、早期治療が理想的です。この病気は一般の歯周病菌とは違う菌が引き起こすため、通常見ただけでは歯石などは認められず、うっかりしていると歯科医でも見つけられない可能性もあります。しかも進行が早い。気がつくのが遅く、重度になってしまうと20代で抜歯ということにもなりかねません。
もっとも、保菌していても発症していなければ、普通のケアだけでOKという場合もあります。その辺の診断が専門医でないと難しいのが現状で、私のところに他院から患者さんが回されてきて、検査・診断・治療した経験もよくありますよ。

歯周病と全身疾患との関連性に注目! お口の健康は全身の健康へ

歯周病はお口の病気にとどまらない問題だとか?

そうなんです。口腔内なら歯科医が治療し、経過観察すれば改善が期待できる範囲の話ですが、それを超えて全身に及ぶことになってしまうので厄介です。つまり、歯周病菌が口内から血液に入って全身をめぐると、その結果、高血圧や肥満など一般的な生活習慣病をはじめ、今ではさまざまな臓器で悪影響を与えることがわかっています。
たとえば、脳の血液を調べたら歯周病菌が発見されたり、心臓の弁に歯周病菌がひっかかっていたりと。今や心臓バイパス手術などの前に口腔ケアをするのは当たり前で、整形外科などの手術の予後が悪い場合も、口腔ケアをしたら回復したといった例が数多く報告されています。

歯周病と全身疾患との関連性に注目! お口の健康は全身の健康へ

そんなに歯周病菌が関係しているんですか?

関係しているというか、原因になっているんですね。心臓疾患、呼吸器疾患、脳血管疾患など、さまざまな全身疾患が歯周病の合併症として起こる可能性があり、なかでも一番関係があるとされているのは糖尿病です。しかも、糖尿病と歯周病は双方向性だという点が怖いところなんですよ。
というのも、糖尿病には大きく7つの合併症がありますが、その6番目が歯周病。つまり、糖尿病になると歯周病になるリスクが高くなり、最悪、歯を失います。逆に重度の歯周病になると糖尿病になるリスクも増していく、といった具合です。
糖尿病はその予備軍も含めると膨大な数の患者が存在しているなかで、そのうちどれだけの人が歯周病の治療をしているか、歯周病専門医としては非常に危機感を覚えます。

その状況への対策などは何かありますか?

やはり全身疾患があるないに関わらず、まずはお口のケアですね。そして、問題は歯周病というお口の疾患だけではないことを知ってほしいと思います。歯周病を治すことにより、全身疾患や手術などがいい方向に向かうとわかっているので。
それと、当院で治療をされている方には、健診データやお薬手帳を持ってきていただくことがあります。血液検査の結果や投薬情報を見れば、体内のどこかで炎症を起こしているかなど、ほかの疾患を発見したり、歯周病との関連を確認することも可能だからです。こうして医科の病気の可能性を探して指摘するのも、今や歯科医の重要な役割となっていて、その点でも私は歯周病専門医として先端を行くよう心がけています。

そのほかに歯周病がらみで注意すべき点はありますか?

高齢者のお口のケアですね。今は高齢者でも多くの歯が残っているので、それがかえってリスクになってしまうことを懸念していますが、お口のケアは何にも勝る老化防止策にもなります。せっかくそれまで努力して残した歯を、高齢になって足が弱って歯科医院に通えなくなったり、認知症になってケアを怠るようになったり、誤嚥性肺炎のリスクが高くなったりするなど、今後そういった状況がますます深刻になると予想して、当院では在宅診療も始めました。今まで診てきた患者さんは最期まで私自身で診ていきたいと考えております。

誤嚥性肺炎がお口のケアで防げるんですか?

はい。誤嚥性肺炎は口の中の細菌を含む唾液を間違って「飲み込み」、気道から肺に流れてしまうことで起こります。これに対しては、舌の筋肉を鍛えて、その位置を舌のあるべきところ、つまり上顎の裏に置いておけるようにトレーニングすると状況は改善されます。

舌の位置が歯周病に関係するとは、初めて聞きました。

あまり聞いたことはないかもしれませんが、確かに関係します。実は、舌の位置が悪かったり、歯に負荷がかかることをしたりすると、結果、歯周病を含むお口の疾患を悪化させる原因になります。
歯周病には、噛み締め、歯ぎしり、食いしばりといった、いわゆるお口の「習慣」も関わっていますし、あるいは肩こり、偏頭痛なども原因は歯や舌にある可能性もあるといわれています。原因不明の頭痛が続く人は、一度、歯科医院で診てもらうといいでしょう。どんな習慣があるかは「口の中や歯に書いてある」というくらいに歯科医ならすぐにわかります。そして、ナイトガードマウスピースなどで舌の位置を修正すると、噛み締めなどがなくなり、頭痛が治るとともに唾液の量が増え、歯周病の改善、予防にもつながっていきます。

院長が治療に際して心がけているポリシーはありますか?

現在、患者さんのお口にある歯が生涯ちゃんと使えるように、その歯を失わないように、歯周病の予防、治療に尽力することです。日常生活の意識の低さから多くのむし歯や歯周病で歯を失う患者さんも多いため、願わくば、患者さんにはもっと口の中のことに関心を持って、自分でチェックし、適切なハブラシやフロス、歯間ブラシを使ってきちんとケアする習慣をつけてもらいたいと常に考えています。
さらに、歯周病について幅広い見知と経験を備えた歯周病専門医院として、今後より多くの患者さんを受け入れられるようにすることも当院のポリシーのひとつです。そのために、歯周病専門医の育成にも努めています。

歯周病と全身疾患との関連性に注目! お口の健康は全身の健康へ

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。

歯周病ケアこそが、全身ケアにつながり、現状そして将来の「健康」とさまざまな病気の治療費の節約を約束してくれる唯一最大の対策です。それにより、皆さんが健康寿命を延ばして、豊かな生活を過ごせるように願っています。
働き盛りの男性や子育て中のお母さんたちなど、通院の時間をつくるのが難しいかもしれませんが、ここでお話ししたように、生涯にわたる全身の健康につながると思えば、決して現状の歯の健康をおろそかにできないはずです。歯周病専門医である私が患者さんの歯と全身の「健康」に尽くしますので、どうぞあきらめずに、当院へお越しください。

編集部まとめ

柔和で人間味あふれる山田先生は、歯周病が重度になってから来院される患者さんがとても勿体無いと言います。早く治療していれば温存できたはずなのに、重度になるまで放っておいた結果、歯を失ったり全身疾患にも悪影響が及んでいたりしているからです。そんな患者さんを減らすために、少しでもいい状態にしたいという先生の熱意のもと、充実した機器を揃え、優秀なスタッフが集まり、先生自身は場合によっては休日まで診療しているそうです。山田先生のような頼れる専門医に診てもらうなら、患者のほうも意識を高く持って治療を受け、日々のケアに励むべきなのだなと感じました。

医院情報

医療法人社団 山田歯科成瀬クリニック

医療法人社団 山田歯科成瀬クリニック
所在地 〒194-0045
東京都町田市南成瀬1-4-5
アクセス JR横浜線 成瀬駅 徒歩3分
診療内容 歯科一般 小児歯科 歯周病治療 予防治療 インプラント 矯正歯科 他