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うつ病の治療とは?いつからどんな治療を行う? 【港区 赤坂溜池クリニック】

 更新日:2023/03/27
赤坂溜池クリニック 赤坂溜池クリニック
「うつ症状は気の持ちようだから、ちょっと休めば自然に治る」「うつ病の治療は薬を大量に処方されそうで怖い」などと思っていませんか? しかし、実際のうつ病は、「気の持ちよう」でどうにかなるものではありません。治療も薬だけに頼らず、ほかの治療法も並行して行われることがほとんどといえます。   このようにうつ病の治療は、私たちの認識と違っている点が多くあります。 そこで今回は、【赤坂溜池クリニック 降矢先生】にうつ病の治療について、一から詳しく教えていただきました。

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    Doctor’s Profile降矢 英成 赤坂溜池クリニック 院長

    東京医科大学卒業後、LCCストレス医学研究所・心療内科帯津三敬病院に入局。その後、心と体・精神の3つの観点から治療を行うホリスティック医学を実践する場所として、1997年に赤坂溜池クリニックを開院。日本心身医学会やNPO法人の日本ホリスティック医学協会など多くの学会にも参加。

    うつ病の治療を始める目安とは

    実際のところ、うつ病の治療を始めるべき症状とは、どのようなものなのでしょうか。一般的なうつ病の症状には、以下のような事例があるといいます。

    うつ病チェック

    次の症状のうち、【5つ以上当てはまる】もしくは【当てはまる条件のなかに、①②の一方、もしくは両方が含まれる】場合、うつ病の可能性が疑われます。
    うつ病の治療を始める目安とは
    • 気分が落ち込む
    • 興味や喜びを感じにくくなり、食事制限をしていないのに体重が大きく増減する
    • 食欲がなくなった。もしくはその反対に、食欲が増えた
    • ぐっすり眠れない。もしくはその反対に、いくら眠っても眠気を感じる
    • 会話や動作がゆっくりになる。もしくはその反対に、じっとしていられなくなる
    • 疲れやすかったり、やる気がでなかったりする
    • 自分に価値がないと感じてしまう
    • 「他人に悪いことをした」と自分を責めてしまう
    • 集中力や決断力がなくなる
    • 死について考えたり、自殺を計画しようとしたりする
     

    このチェック項目について、降矢先生は次のように語られています。

    これらの症状のなかでも特に気にすべき症状は、「疲れやすい」「今までと違ってうまくいかない」「気分がすぐれない」というものです。これらの症状に心当たりがある方は、早めの受診を心掛けていただいたほうがいいでしょう。またこのような症状も1、2日程度ならば、誰にでも起こりうる話です。しかし、2週間程続く場合には、注意が必要だといえます。
     

    つまり、継続する症状は、見落としてはいけないということに。気になる症状がある場合には、「この程度なら」と考えず、まずは自分自身の症状をしっかりと見つめ直すことが、改善への第一歩となることでしょう。

    うつ病の治療を始める目安とは

    気になる症状は見逃さない!

    さてここまでは、うつ病の「症状」についてのお話をしてきました。しかし、うつ病の症状というのは、ここまででお話したような明確なものばかりではありません。 ご自身の判断で精神的に弱っていると感じる場合には、早めに受診することが大切です。   例えば、風邪やだるさなどの病気は、軽いうちにしっかり休息をとると1日で回復してしまうこともありますね。しかし、はじめは軽い症状でも、こじらせると発熱や肺炎などの重い病気になってしまうこともあるでしょう。   心の病気も同様で、最初は「ちょっとつらい」と感じる程度であったとしても、適切な対処ができないままだと、心がどんどん弱ってしまうといいます。 そのため、「この程度で受診してもいいのかな?」と考える場合でも、気になる心の変化は見逃さず、ぜひ一度医師に相談してみてはいかがでしょうか。

    うつ病の治療は、【休養・薬物治療・精神療法】をベースに

    現在、うつ病の治療は、休養、薬物療法、精神療法の3つの方法を組み合わせて進めていくのが基本とされています。そこで、その3つの治療方法について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

    【うつ病の治療方法①】休養

    私たちの体には、休むことによって心身共に回復する「自然治癒力」という力が備わっています。その一方でうつ病は、脳のエネルギーが不足してしまうことによって発症する病気です。
    うつ病の治療は、【休養・薬物治療・精神療法】をベースに
    そのため、体が疲れたらゆっくりと休養をとることで、疲れた脳を休めることができ、エネルギーの回復効果が期待できることでしょう。   ただし、「どの程度の休養が必要か?」という点については、個人差があるため断定はできません。 仕事であれば「業務の負担は減らすが、勤務時間内は仕事をする」というレベルで十分な人もいれば、「数カ月仕事を休んで自宅療養する」というレベルの休養が必要な方もいらっしゃることでしょう。   またどのような休み方をするのであっても、「早く治さなければ」「周りに迷惑をかけて申し訳ない」、という精神的なプレッシャーを感じるのであれば、それは十分な休養とはいえません。   医師や周りの人と相談したうえで、心身共にしっかりと休める環境を整えることが大切なのではないでしょうか。

    うつ病の治療②薬物療法

    抗うつ薬の種類はおもに、作用が異なる次の4つに分類されます。  
    三環系 強力な抗うつ効果が期待できます。 一方で、過剰投与は命に関わる可能性があるので要注意。
    四環系 効果は穏やかですが、その分効き目が弱いと感じることも考えられます。また副作用として、眠気を感じることもあるでしょう。
    SSRI 穏やかな抗うつ作用に加え、強迫、衝動、過食などの不調にも効果が期待されます。しかし意欲にはあまり効果がみられない、というのも特徴の一つです。 また、吐き気や下痢などの副作用もみられます。
    SNRI 穏やかな抗うつ効果と、意欲に効果が期待できます。 ただし、血圧を上げたり脈を速くしたりする副作用があるため、心臓など、循環器の病気がある方には慎重な投与が必要です。
     

    処方される薬は、年齢や体調によって、一人ひとり異なります。 ほかの人から「〇〇という薬がよく効いた」という話を聞いても、あなたの状態にその薬が合うとは限りません。そのため、薬の種類や量については医師とよく相談して決めることをおすすめします。

    うつ病の治療③精神療法

    精神療法の目的は、自分の考え方や行動の癖を見直し、同じストレスを感じても受け止め方を変えることで、うつの悪化や再発を予防することだといいます。   それでは、精神療法には、どのような選択肢があるのか、詳しく見ていきましょう。  

    認知療法・認知行動療法 私たちがある状況に置かれたときの感情や行動は、人それぞれの捉え方(認知の仕方)によって変化します。 この感情や行動の原因になる捉え方が極端になっていないかを検証し、必要に応じてほかの適切な捉え方に修正していくのが認知療法・認知行動療法です。

     

    対人関係療法 対人関係は、うつ病の原因になるのと同時に、うつ病によって対人関係が悪化してしまうこともあります。つまり対人関係とうつ病は、お互いに影響しあう関係にあるのです。 その点、対人関係療法では、対人問題をうまく対処する方法を身につけることで、うつ病の対処もうまくなることを目標に行うといいます。   また、このような精神療法がいかに大切か、今回お話を伺った降矢先生も次のようにおっしゃっていました。

    当院では、薬よりも精神療法をしっかり行うことに重要視しています。なぜなら、そもそも人間は自然治癒力を持っていることから、まずはご自身がその力に気付くことが大事だと考えているからです。実際に「薬でなかなか良くならない……」という患者さまも多くご来院されていますよ。
     

    つまり精神療法とは、個人の自然治癒力に働きかける大切な治療方法だといえるでしょう。

    うつ病の治療は、【休養・薬物治療・精神療法】をベースに

    神経細胞を刺激し、脳の回復をはかる治療法【rTMS】

    これまで18歳以上の患者は、抗うつ薬の効果がなかなか得られなかったとされています。その18歳以上の患者を対象に、2019年6月より「rTMS療法」という治療法が保険適用になりました。   この治療法は、装置によって脳に弱い電流を流すことで、ニューロン(神経細胞)を刺激し、脳の働きの回復をはかります。今までにない治療法として効果が期待されていますが、実施できる施設やスタッフに制限があるため、限られた医療機関のみでしか、この治療法は受けることができません。

    うつ病治療はさまざまな方法を組み合わせて

    うつ病の治療は、どれか1つだけの方法に頼って進めていくものではありません。 個人それぞれに治療の相性が異なりますので、本人に合った治療を受けることが大切だとされているのです。   また、うつ病の治療は、すぐに改善がみられない場合もあるといいます。 つまり、「あまり効果がでないから、治療はもうやめてしまおう」と自己判断するのではなく、医師とよく相談して、自分に合った治療を継続していくことが、うつ症状改善への近道となるのではないでしょうか?

    自らの力に働きかける【代替療法】

    先ほど「休養」の項でもお話ししましたが、私たちの体には自然治癒力が備わっています。 代替療法は、自然治癒力の向上を目的として行うもので、自然治癒力を最大限引き出したり、より高めたりすることで、うつ病の改善を促す治療方法です。 また降矢先生も、自然治癒力に働きかけるという意味から、次のような代替療法を紹介されています。
    自らの力に働きかける【代替療法】
    森林療法 森林の中でゆったりと過ごし、心身共に健康の増進をはかります。
    メディカルハーブ (セントジョーンズワート) 植物が持つさまざまな成分を体に取り入れることで、うつだけでなく、心身共に健康な状態に近づける効果が期待できます。特に長年精神を安定させるために使用されてきた野生植物「セントジョーンズワート」は、抑うつ症状に効果をもたらすとヨーロッパでも多く処方されているのです。
    アロマテラピー 植物から抽出した精油(香り成分)によって、心と体のリフレッシュ効果が期待できます。 特に中年女性には、ローズの精油が効果的です。

    ※以上、赤坂溜池クリニックの降矢先生談

    新しい代替療法【EFT(感情解放テクニック)】

    ここまで紹介した方法とは別に、代替療法としてEFT(感情解放テクニック)という方法があります。

    EFT(感情解放テクニック)とは 嫌なことをイメージしながら、鍼のツボを指先でトントンと軽く叩く治療法   この治療法は、身体の外側から不快感の解消を促す効果が期待できます。なぜなら、私たち人間の体と心はつながっているから。 そのメカニズムの根源は、私たちが特定のものごとを考えるときにアクセスする、頭のなかの「思考場(しこうば)」という場所にあります。例えば、嫌なことを考えているときも、この思考場にアクセスしているわけです。   そのためEFT(感情解放テクニック)では、体をトントンと触ることで外から思考場に信号を送って、不快感を和らげる効果が期待できます。 こうしたEFT(感情解放テクニック)の考え方は、医学的根拠のある治療法として国内外問わず評価され、うつ病の治療に導入されているのです。

    自らの力に働きかける【代替療法】

    代替療法は医師の指示のもとで

    西洋医学的な治療とは異なり、自らの力に働きかける代替療法ではありますが、自己判断で行うことはおすすめできません。なぜなら、組み合わせによっては、返って悪化を促す可能性もあるからです。   例えば、メディカルバーブで紹介した「セントジョーンズワート」は、ほかの薬の作用に影響を与えて、一部の薬の効果を強めたり弱めたりといった副作用も考えられます。これにより、治る病気が治りにくくなる可能性もあるのです。 そのため、医師の診察を受けて、適切な代替療法を試みることが必要になるでしょう。

    編集部まとめ

    うつ病の治療は、なるべく早い段階で始めることが大切です。 早期に治療を開始することで、つらい期間を短くすることも期待できます。 「これくらいのつらさで病院に行くなんて恥ずかしい」と考えるのではなく、少しでもつらい期間が続くようであれば、迷わず医療機関に相談してくださいね。   またこれについても、降矢先生は以下のようにおっしゃっています。

    当院にいらっしゃる患者さまのなかでも、「こんなので来てよかったんですか」と聞かれる方もいらっしゃいますが、そういう方に限って受診が遅いほうだ、というケースも少なくはありません。   受診はできるだけ早い方が、治療も長期化しないので、好ましいといえるでしょう。
     

    「うつ病の治療=薬をたくさん処方される」というイメージがありますが、実際にはそうではありません。 薬だけに頼るのではなく、ゆったりと休養をとったり、考え方の癖を変えていったりすることでも、うつ病の改善が期待できます。 さらに、アロマテラピーやEFT(感情解放テクニック)など、自然治癒力を高める治療法でつらさが和らぐケースもあるでしょう。 このように、一人ひとりに合った治療をみつけ、実践していくことが大切なのではないでしょうか。

    医院情報

    赤坂溜池クリニック
    赤坂溜池クリニック
    所在地 〒107-0052 東京都港区赤坂1-5-15 溜池アネックスビル5階
    アクセス 東京メトロ銀座線ほか南北線「溜池山王」駅と、千代田線「国会議事堂前」駅直結
    診療内容 精神科・心療内科・内科
    うつ病の治療費・各種測定費
    自律神経測定 2,200円(税込)
    動脈硬化度測定 2,200円(税込)
    酸化ストレス度測定 3,300円(税込)
    血液栄養分析 5,500円(税込)

    この記事の監修医師