お口の健康から心身の健康へ。健やかな人生を支える予防治療【海老名市 K’sデンタルクリニック】

K`sデンタルクリニック
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「予防治療」の守備範囲は広く、歯科のジャンルのほとんどをカバーすると理解してもいいだろう。何をおいても予防が先立つという考え方だ。しかも、今では口腔内のみならず、医科の重要な疾患において歯周病菌がさまざまに関与していることがわかっている。つまり、全身の健康を維持するためにも歯科疾患の予防は大切なポイントとなる。そこで今回は、海老名市の【K’sデンタルクリニック】の鎌田先生に、予防治療の重要性をはじめ、口腔内の健康がいかに健康年齢に影響を及ぼすかについて解説していただいた。

Doctor’s Profile
鎌田 洋一
K’sデンタルクリニック 院長

松本歯科大学卒業後、医療法人山内歯科医院勤務を経て、大河デンタルクリニック勤務。医療法人財団真和会入社・みどりの森デンタルクリニック勤務。平成30年3月、海老名市に「K’sデンタルクリニック」を開院。日本顕微鏡歯科学会所属、日本口腔衛生学会所属。

0歳から生きている人すべてがトラブルのないお口を目指して予防を!

そもそも、予防治療とは、どんな治療を意味しているのでしょうか?

お口の中のトラブルを発生させないことを重視した治療です。ご存じのとおり、自然の永久歯は取り替えが効かない、再生できない臓器なのです。だから、トラブルが起きて歯を失うことのないようにするためには予防が第一。
たとえば、むし歯が痛くなってから治療するのではなくて、そもそもむし歯にならないようにするためのケアなどのことです。歯周病でも早めに対処すれば歯を失うことはないので予防できますが、実際には手遅れの場合が多々あります。そういった事態を予防するために、どうしたらいいのかをアドバイスし、必要なら治療、対処するのが予防治療の役割といえます。
定期的なクリーニングやフッ素の利用などを含む予防治療の考え方は欧米では歴史もあり、現代の常識となっていますが、日本ではようやく一般に浸透してきたかなという程度です。

0歳から生きている人すべてがトラブルのないお口を目指して予防を!

そうすると、予防治療はどのような人がターゲットになりますか?

予防ですから、年齢に関係なく、健康な人ほど来ていただきたいのです。お口の健康な状態を維持すべき人、つまり0歳から生きている限り、歯のある人ほとんどがターゲットということになりますね。
ただ、実際に歯科医院に来る人は、予防ではなくて、治療目的の方が多いというのが現実です。だから、歯科医院に来るタイミングによっては手遅れになりかねないわけで、それを予防のほうにシフトしていってほしいというのが私たち歯科医の願いであり、今や国や地方自治体もそうした政策を打ち出しています。

では、予防治療普及のために、具体的にどんなアプローチを…?

たとえば、私は妊婦健診の時点から、赤ちゃんや幼児への対応の方法などをお母さま方にお話ししています。というのも、だいたい3歳くらいまでにお口の中のむし歯菌の割合が決まるとされているからです。歯が生えるまで、そして生えたばかりの時期から、「菌を発生させない」「感染させない」「感染してもコントロールすること」といった点で、予防の重要性を理解してもらいたいのです。
一方、高齢者の方には歯周病に関連して医科的な要素も加味した予防治療の意義や対策をアドバイスすることで、健康寿命をより高めることを目指しています。大人でも子どもでも、お口は問題なさそうだからOKという自己判断ではなくて、ケアを怠ればいつでも問題は起こり得るんだということを認識していただいた上で、ぜひ予防治療を受診してください。

最近のお母さまたちは、お子さんにしっかり歯磨きをさせていると聞きますが…?

確かに、私が育った時代に比べれば、多くの子育て世代のお母さま方は歯科治療や予防についてある程度の知識もあるし、実際子どもたちにちゃんと歯磨きをさせている方が増えてはいます。しかし、歯を磨いていても、食事以外にだらだら食べるなど食習慣の乱れや口に入れるものによってはかなり注意が必要な物もあります。
歯を構成しているカルシウムは酸に非常に弱く、100%野菜ジュースでさえも溶ける可能性があるんですよ! 砂糖が入っていなくても、です。また、10歳頃から口の中に定着し始める菌が土台となり、将来、歯周病になる可能性もどんどん増えてしまいます。

0歳から生きている人すべてがトラブルのないお口を目指して予防を!

なるほど。子どもには将来を見据えた対策がかなり必要ですね。

そのとおりです。だから、子どもたちの将来のお口の健康のためにも、子育て中のお母さま方に気をつけてほしいのは、まずは朝昼晩の食後の基本の歯磨きを怠らないこと。それ以外に、毎回単に歯を磨いているではなくて、「きちんと磨けているか」や、磨いた後に「ダメージを受けた歯が唾液によって修復される時間(約2時間)が取れているか」というポイントも重要です。さらに、フッ素の活用方法など、日常生活の中での注意点や「こうするといいよ」といった歯科医ならではのアドバイスを、ぜひ聞きに来て参考にしていただきたいと思います。

大人こそ歯を失う前の予防が大事。定期的なクリーニングを推奨

大人に対しては、予防治療についてどのように説明していますか?

大人の方にも、「歯を失わないためにはまず予防第一で」とお声がけしています。大人こそ、歯が痛くなるまで自発的に歯科医院に来たがらないのですが、「問題が起きてからでは手遅れです」と説明すると、皆さん驚かれます。
予防としては、まず日頃のご自宅での歯磨きによるセルフケアは必須です。正しい歯の磨き方については、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスの使い方なども歯科衛生士が指導します。それとともに歯科医院での定期的なクリーニングを行うこと。さもないと、大事な歯を思いのほか早く失うことになりかねません。

大人こそ歯を失う前の予防が大事。定期的なクリーニングを推奨

その定期的なクリーニングの、具体的なインターバルはどれくらいですか?

歯周病の治療が済んでいれば、お口の中で形成されるバイオフィルムという細菌の巣窟が歯石となって固まる前にクリーニングするのがベストで、その周期はだいたい3カ月弱です。それを根拠にした「3カ月に1回のクリーニング」を行うようにおすすめしています。現在、歯周病の病態維持治療として保険診療による定期的なクリーニングが認められています。次のクリーニングまでは、ご自分でしっかり歯磨きをすること。そして、このサイクルを繰り返し続けることが予防となって、お口の健康は保たれるはずです。

先生が行っている予防治療の流れについて教えてください。

まず、お口の状態を把握するために検査をします。お口の中全体から、歯そのものや歯茎の状態、噛み合わせなどを、目視したり、レントゲンを撮ったり、必要な場合は顕微鏡を使って詳しくチェックします。
次に、歯などに汚れがあればそれを清掃。さらに、むし歯など悪い部分があれば治療しますが、ただ削って詰め物をするだけの治療ではなく、なぜむし歯になったのかという本当の原因を患者さんと共に考え、今後に生かすことで予防治療とします。
検査の結果、もし通常よりもむし歯菌が多いと判明した場合には、除菌薬または口の中の菌のバランスをよくする薬などを使用します。その後、3カ月に1回のクリーニングを行います。その際、お口の状態の変化をチェックし、きれいな状態に整えます。歯石があればスケーリングで除去し、歯の汚れはアミノ酸パウダーを吹き付けることによって取り除き、その上にフッ素を塗布して、ひと通りの過程が終了です。
さらに、毎回、ご自分のハブラシを持参してもらい、磨き方チェックも行います。

歯磨き指導のほかに家庭でできることとして、アドバイスされていることはありますか?

正しい歯の磨き方は3カ月に1回のクリーニングごとにチェックしています。歯ブラシを変えたら、それに合った磨き方の指導も必要です。あとは食習慣、栄養バランスなどを含む「食」の問題ですね。40代以降に増える歯周病については、その人の免疫力も関わってくるので、生活面における栄養・睡眠・ストレスマネジメントといった免疫力アップへの対策も必要であることを説明します。
問題は歯の治療のことだけではなく、実は身体全体、生活全体に関わるのが予防治療だと理解してもらい、行動してもらうこと。そのために、患者さんと一緒に取り組みます。

大人のお口のトラブルはどこにあるのでしょうか?

高齢になるにつれて歯周病が増えてきますが、最近では40代後半から60代の人にむし歯が急増しています。その世代の人に歯がちゃんと残っているからむし歯にもなるわけですが、健康な歯が残っているのではなく、多くの人は歯周病に犯されていますが、歯周病が進行したことによって発生するむし歯があるのです。
というのも、歯茎が痩せて下がることで歯の根が露出しますが、そこはお茶でも溶けてしまうほど弱くて、非常にむし歯になりやすい部分です。そこがむし歯になってしまうのです。ただ、皆さん、歯茎が下がるのを加齢のせいだと思ってあきらめているかもしれませんが、実は、それは歯周病が原因なんですよ。このタイプのむし歯は歯がもろくなっていることもあり、治療が厄介で、結構長引いてしまうこともあります。

大人こそ歯を失う前の予防が大事。定期的なクリーニングを推奨

その対策にはどんなものがありますか?

歯周病によって引き起こされたむし歯も、ケアの方法は同じです。まずは歯磨き。歯茎が下がって歯根が露出した部分も丁寧に磨くことです。そして、濃度の濃いフッ素をその部分に塗る対策なども提案します。それと同時に、むし歯でも歯周病でも異変を見つけたら、そうなった原因を突き止め、予防に役立てるところまでが治療だと説明しています。そこまで行く前の状態の患者さんには、治療が必要になる前に「必ず予防しましょう」とおすすめしています。

健康寿命をより健やかに迎えるための予防治療の役割とは

予防治療で、特に重要な点は何だとお考えですか?

歯やお口の問題が、それだけにとどまらず、全身の病気、あるいは健康寿命の状態にまで影響する点ですね。たとえば、歯周病菌が血管を通じて全身に届いて、さまざまな臓器で悪さをすることはかなり知られてきています。だから、まずはお口の清潔を心がけることが内科・外科など全身疾患の予防にもなりますし、ひいては医療費も抑えられるわけです。

健康寿命をより健やかに迎えるための予防治療の役割とは

健康寿命の点では、海老名市では、新しい試みがスタートしたそうですが?

はい。今年から全国に先駆けて、海老名市で「オーラルフレイル健診」が始まりました。55歳以上の市民を対象に、噛む・飲み込む・話すといった歯やお口の機能が低下した状態(オーラルフレイル)のリスクを予防するための検査を行う健診です。
オーラルフレイルを放置しておくと、その先には、低栄養状態や社会活動の意欲減少、さらには寝たきりといった要介護生活が待っているかもしれません。まずは、口腔ケアから始めてそれを防ごうというものです。

どんな検査をするのですか?

大人の口腔機能低下症を発見するテストで、まず舌の圧力、次に噛む能力、そして3番目に滑舌の能力のそれぞれを小さな機器を使うなどして測定し、その結果に応じて衰えた舌の筋力を保つ運動などを指導します。そうした訓練を継続することで、お口にまつわる老化を最低限にとどめ、食や運動で健康状態を保つ努力を行うことで、寝たきりなどの虚弱(フレイル)状態をなるべく先延ばしにしていこうということです。
オーラルフレイルが見つかっても、それを改善し、将来長く健康に過ごすことを目的としているので、がん健診などと同様に、早期発見・早期治療のためにも検査を受けることをおすすめします。
実際、私のところで検査を受けた方は、検査結果改善のため、それ以来通院されています。また、舌の筋肉トレーニングなどはご自宅でもできる手軽なものがありますので、参考資料などをお渡ししています。

お口の健康が全身への影響の鍵を握っているんですね。

そういうことになりますね。これまで説明してきたように、お口の中から全身の健康へとつながっている点は全年齢層にとって同じなのですが、とりわけご高齢者の方は、「飲み込めない」「よく食べこぼしたりむせたりする」「よくしゃべれない」といったお口の機能の衰えに気づきにくく、老化の一途をたどってしまいがちです。それも原因となって、フレイルの状態に陥るケースが多いようです。だから、日頃のクリーニングなどで歯科医院に定期的に通っていれば、口腔機能の点でも歯科医が気づけるので、将来のためにも、そこから予防が可能です。

健康寿命をより健やかに迎えるための予防治療の役割とは

最後に読者へのメッセージがあればお願いします。

予防治療とは、まず患者さんご本人が気づいて(自立)、長い道のりを自らの意思で走っていく(自律)のを、歯科医が伴走していく過程のことと考えます。それも、楽しくないと続きませんよね。ともすれば、後回しにされがちな歯科医院への通院を、日常生活の一部としてとらえ、いち早く行動することをおすすめします。
そうすれば、今のお口の健康状態をよく保てるだけでなく、将来の健康寿命が延びるし、それまでの余計な出費も防げます。そのために、自分のお口は健康だと思っている方にこそ、ぜひ一度ご相談に来てほしいと思います。予防治療は、痛みとか自覚症状がまだない段階から始めてこそ、一番効率がいいからです。

編集部まとめ

「場当たり的な治療はしない」と語る鎌田院長。症状の現状、原因、将来のリスクなど、詳細を説明し、その対策までアドバイスするといいます。先生の経験からも、そうした丁寧な診療のベースには、「早めの段階からきちんと予防しておけば、一生、自分の歯は守れるのに」といった気持ちがあるようです。
つい足が遠のいてしまいがちな歯科医院ですが、自分のお口の状態を知るための一歩を踏み出すことが大事だとわかりました。そこから鎌田先生と一緒に予防という道のりをたどれば、きっと将来はいつまでも食べることやしゃべることに問題のない、そして心身ともに健やかな日々が待っていることでしょう。

医院情報

K’sデンタルクリニック

K’sデンタルクリニック
所在地 〒243-0432
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診療内容 予防治療 むし歯治療 歯周病治療 入れ歯作製 小児歯科 口腔外科 他