目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. ドクターインタビュー
  3. 二人に一人が、がんにかかる時代。 便潜血検査スルーしてませんか?【東京都練馬区 おなかの富士見台クリニック】

二人に一人が、がんにかかる時代。 便潜血検査スルーしてませんか?【東京都練馬区 おなかの富士見台クリニック】

 更新日:2023/03/27
おなかの富士見台クリニック
おなかの富士見台クリニック

大腸がんの健診といえば、まずは便潜血検査(検便)が一般的。そこで鮮血が認められれば、二次検査として大腸内視鏡検査に進む。しかし、便鮮血は肛門の痔によるものではないかと勝手に思い込み、そのまま放置してしまう人もいる。実は、これは危険な自己判断といえる。もしも腸内からの出血だったとしたら、がんの早期発見のチャンスを逃してしまうことになるからだ。また、たとえ肛門からの出血だったとしても放置しておくべきではない。ここでは消化器外科の専門医である「おなかの富士見台クリニック」の服部院長に、大腸がんの早期発見における内視鏡検査の重要性についてお話を伺った。


Doctor’s Profile
服部 正一
おなかの富士見台クリニック 院長

杏林大学医学部卒業。杏林大学医学部付属病院消化器・一般外科、医療法人社団悦伝会目白第二病院外科、河北総合病院消化器・一般外科など他多数勤務を経て、医学博士を取得。現在、おなかの富士見台クリニックを開業し、地域のかかりつけ医として貢献。日本消化器外科学会消化器外科認定登録医・指導医。日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医。

大腸がんは治る病気。大腸内視鏡検査で早期発見を

大腸がんは治る病気。大腸内視鏡検査で早期発見を
大腸内視鏡検査は、主に大腸がんを発見する役割が強いと思いますが、大腸がんの現況、死亡率などを教えてください。

現在、がんの死亡率は1位肺がん、2位胃がん、3位が大腸がんとなっています。女性だけに限ると、死亡率の1位は大腸がんなんですよ。しかし、早期に発見できれば、ほぼほぼ治る病気といえます。がんはステージで分けられますが、まだ初期段階であるステージ0、1で発見できれば、5年生存率(※)が90%です。
※がん患者のうち診断から5年後に生存が確認できた割合。5年生存するとその後がんによる死亡の可能性が低くなるため、5年生存率をがんの治る可能性と捉える場合が多い。

大腸がんのステージについて教えてください。

ステージ2、3は、まだがんが腸に留まっている状態で、5年生存率が70~80%とまだ死に至る病気ではありません。ステージ4まで進行すると、がんが大腸以外の臓器に転移している状態で、そこからの治療というと、治すことがかなり難しくなります。
早期発見がとても重要になるのですね。大腸がんの初期の状態で自覚できる症状などはありますか?

早期での症状はほぼありません。症状が出てくるときには、がんが進行してしまっている可能性が高い。自分でがんの自覚をすることが難しいからこそ、そのためのがん検診があります。
大腸がんの検診というと最初は便潜血検査ですが、便の潜血にはどんな意味がありますか?

便潜血検査は、肉眼では見えない血を調べる検査で、主に腸から肛門までのどこかで出血している状態を確認する検査です。腸から出血がある場合はがんの恐れがあるので、次は大腸内視鏡でより精密に確認していくことになります。
「腸から肛門までということは、便潜血は痔のせいということも考えられませんか。

もちろんその可能性がないわけではありません。しかし、大腸に何らかの異変があって出血している可能性だってありますよね。「きっと痔によるものだ」などと自己判断し、そのまま何もしない人もいらっしゃいますが、もしもそれががんの兆候だったとしたら大変です。せっかく大腸がんを早期発見できるチャンスだったのに、自らそれを逃してしまうことになりますね。

便潜血検査が陽性だったら、その後はやはり内視鏡で精密な検査を受けたほうが良いということですね。

そうです。潜血が認められた場合、腸の内部を改めてしっかり確認するべきなんです。そのための手段が大腸内視鏡検査というわけで、大腸がんでも胃がんでも、現時点ではカメラを使わないと、がんかそうでないかという結論は出せません。
また、肛門からの出血があったとしても、大腸にも出血を起こす病変があったりする場合もあるので、やはり大腸内視鏡検査によるきちんとした精密検査を一度行うべきです。くれぐれも自己判断で精密検査をやめてしまうことは慎んでいただけたらと思います。
大腸がんは治る病気。大腸内視鏡検査で早期発見を

検査の必要性をしっかり認識して

大腸内視鏡検査はスコープをお尻から入れるので、「恥ずかしい」「痛そう」といったことなど抵抗感のある人もいると思います。検査の痛みはあるのでしょうか?

痛みを伴う可能性はあります。カメラを使う負担のある検査なので、誰もが気軽に受けられるという検査ではありません。ただし、苦痛が少なくなるように、人によっては鎮痛剤、鎮静剤を加えて検査をします。大腸がんの最終結論を出すため必須の検査なので、必要性を自分自身でしっかり認識して受けてもらうことが大切ですね。
検査の必要性をしっかり認識して

大腸の形は複雑ですが、大腸全体を見ることができているのですか?

検査の目的が大腸の奥までカメラを送り込んで全体を見ることなので、医療側としては必要があれば患者さんの体位を変換したり、腹部を圧迫したり、また検査の苦痛を減らす工夫もいろいろ行って目的が達成できるように検査は行っています。ただ、大腸内視鏡検査はやや難易度のある検査であり、医師としてはある程度の訓練が必要です。
先生は大腸内視鏡検査の経験がどれくらいあるのですか?

医者になってからずっとこの分野なので、20年以上の経験があります。この20年で技術もそうですが、診る目も訓練してきました。安心して検査を受けに来ていただきたいと思います。

検査の必要性をしっかり認識して
大腸内視鏡検査では、がん以外はどんな病気がわかりますか?

炎症、潰瘍、がん前段階でもあることの多いポリープなど、大腸に関わる病気はほぼすべてわかりますよ。

事前診察で丁寧な聞き取り、細やかな配慮

それでは、改めて先生のクリニックでの大腸内視鏡検査の流れを教えてください。

電話で予約してすぐ検査という病院が多いですが、私の場合は検査の希望があった方は、一度診察をします。健診で引っ掛かって検査にきたのか、便通に異常を感じてご自身で検査を受けにきたのか、がん以外にも何か心配事はないかなど、しっかり話を聞いてから検査をするようにしています。
事前診察で丁寧な聞き取り、細やかな配慮

検査前に一度診察することが必要なのですね。

高齢者の方が受けに来ることも多いのですが、高齢者は普段から何かの薬を飲んでいることが多いですね。血液をサラサラにするお薬を飲んでいる場合、知らずに検査の際にポリープを取る処置をすると、血が止まらなくなるということも考えられます。そのため、今までどんな病気があるか、どんな薬を飲んでいるのか確認して、問題なく検査ができるかどうかを判断します。
問題なく検査ができることがわかったらどうされるのですか?

検査に対する案内をします。同意書にサインをいただき、日取りを決め、検査をするときには腸を空っぽにしてもらう必要があるので、下剤をお渡しします。
下剤を飲むときの注意点などはありますか?

お渡しした量をしっかり飲んでもらうということです。1~2リットルの下剤を飲んでもらう必要があります。便秘があるかないかで、下剤の飲み方も変わります。便秘の方は、前日と当日午前中にも飲んでもらいます。
人によって下剤の飲み方が変わるのですね?

はい。それも診察の時点で便秘があるかないかを確認し、下剤の案内を変えています。便秘がない方は、当日だけ飲んでもらえれば大丈夫です。

事前診察で丁寧な聞き取り、細やかな配慮
当日の検査時間はどのくらいかかりますか?

当日来てもらって、いきなり検査ということはありません。苦痛を和らげるため、まず事前に点滴を取らせてもらって、鎮静剤および必要があれば鎮痛剤を投与します。検査自体は観察だけなら全体で20分~30分ぐらいで終わります。しかし、ポリープなどが見つかった場合は検査時間が大きく変わります。

経験に基づく判断力でポリープの切除も

ポリープが見つかった場合はどのように対応されるのですか?

ポリープが見つかった場合は、ポリープの形や大きさおよびポリープの表面模様などで良性か悪性かを判断し、 その場で対応できるものは切除してしまいます。そのため、ポリープを見つけた場合の検査時間は1時間など長くなります。
経験に基づく判断力でポリープの切除も

では、がんが見つかった場合はどのような処置を行いますか?

一部の組織を取って、生検検査に回します。これまでの経験からがんであることがわかることも多いのですが、不確定なことはいえないので、その場での診断はできません。
検査が終わった後にその場で撮った写真を見せながら、がんの可能性が高いということをお伝えし、治療の追加が必要であるなど、心積もりをお伝えします。
大腸内視鏡検査は何歳になったら行うべきですか?

決まった年齢というものはありませんが、現在は40歳以上の人が大腸がん検診の対象となっています。しかし、頻度は少ないですが30代でも病気になってしまう人だっているんですよ。ポリープは30代にもよくあるものなので、30代になったら少しは気にするようにしてほしいですね。
どのくらいの頻度で検査は行うものですか? また、このような症状があったら検査をしたほうがいいという症状はありますか?

大腸内視鏡検査は丸1日かかり、負担が小さくはない検査なので、問題がないと検査された後は、僕自身は2~3年は空けていいと答えています。お尻から血が出ている場合は、とにかく肛門科または消化器科で一度診察を受けてもらってほしいですね。
痔からの出血の場合は、当院には肛門鏡という肛門内をみる器械があるので、すぐに判断できます。痔でなかった場合は大腸の検査の案内ができるので、少しでも早期に発見するために検査を受けていただいたほうが安心だと思います。

自己判断は危険。お尻からの出血は必ず診断を

先ほどのお答えにもありましたが、お尻からの出血は自分で判断することは危険なのですね?

はい。必ず医者の目で診断してもらうようにしてください。当院は肛門科も消化器内科も併設しているので、特に30代でお尻から血が出た場合は、さらに検査の必要があるかをご相談ください。
自己判断は危険。お尻からの出血は必ず診断を

検査をする際に先生がモットーにしていることはありますか?

苦痛を少なくするよう心掛けています。もし、初回はとても痛い思いをしたという人がいたら、2回目は苦痛を和らげられるよう手立てを考えます。おなかの手術の経験がある方は、腸が伸び縮みしにくくなっていることもあり、検査時に痛みが起こりやすい。診察で病歴などを聞いた上で対処するようにしています。
人によって痛みの感じ方はさまざまなのですね?

まったく違いますね。女性は男性より腸が長いため便秘になりやすいなど、性別や個人の病歴から痛みの差は大きくあります。そのため、検査前の診察がとても重要になります。しっかりヒアリングした上で、その人に合った鎮痛剤や鎮静剤を投与し、少しでも苦痛を少なくできるようにしています。

自己判断は危険。お尻からの出血は必ず診断を
最後にMedical DOCの読者に対してメッセージをお願いします。

まずは大腸がん検診を受けるべき年代になったときには、必ず受けるようにしてください。大腸内視鏡検査は大変な検査ではありますが、がんの早期発見のためには必要な検査なので、自分自身で必要性をしっかり認識し、受けていただきたいと思います。少しでも痛みを減少できるよう配慮した検査を行っていますので、いつでもご相談にきてください。

編集部まとめ

がんはとにかく早期発見が肝要。大腸がんの場合、初期段階では自覚症状がないため、自分で気が付くことはとても難しいとのこと。早期に対処すれば治る病気であるにも関わらず、発見が遅れることでその後の治療が困難になってしまうとすれば、それは口惜しいではないですか。必ず健診を受け、少しでも疑いがあるようであれば、大腸内視鏡検査をぜひ受けていただきたいと思います。
「おなかの富士見台クリニック」は、経験豊富な院長が確かな目と確かな技術で、痛みに配慮した丁寧な検査を行っています。少しでも心配なことがあれば、早めに相談するようにしましょう。

医院情報

おなかの富士見台クリニック

おなかの富士見台クリニック
所在地 〒176-0021
東京都練馬区貫井3-3-10
富士屋ビル3階
アクセス 西武池袋線 富士見台駅 南口 徒歩1分
診療内容 大腸肛門内科 消化器内科 内科 外科

この記事の監修医師