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進化する日帰り白内障手術、そのメリットとは【ゆう眼科】

 更新日:2024/01/30

ゆう眼科
ゆう眼科

高齢化社会が進むなか、「目がかすむ」など白内障の症状を訴える人が増えている。人間が得る情報量の8割は眼から入るといわれ、「見えづらさ」は生活の質(QOL)に直結する。進行が止まらない白内障を治すには手術が必要だが、そのタイミングなどについてわからないことも多い。女性らしい細やかな気配りで地域の健康増進に貢献している「ゆう眼科」の和田優子先生に、日帰り白内障手術について詳しいお話を伺った。


Doctor’s Profile
和田 優子
ゆう眼科 院長

平成元年滋賀医科大学卒業。京都大学眼科学教室入局。兵庫・京都・福岡・大阪の基幹病院で研鑽を積み、平成26年5月、枚方市にゆう眼科を開院。
日本眼科学会認定眼科専門医。日本眼科手術学会会員。日本涙道・涙液学会会員。日本緑内障学会会員。ドライアイ研究会会員。

自分で自覚しづらい白内障という病気、その対策と治療について

高齢になると白内障になる人が多いようですが?

白内障は本来透明である目の中の水晶体が濁ってくる病気で、早い人は30代・40代から始まり、60歳から70歳で自覚する人が増え、80代になると100%の人が発症するといわれています。
自分で自覚しづらい白内障という病気、その対策と治療について

具体的な白内障の症状を教えてください。

色の濃淡がわかりにくくなったり、対向車のライトをまぶしく感じたりするなどの自覚症状が現れます。また、メガネをかけても視力が上がらないようにもなります。しかし、こうした自覚症状は進行している場合で、初期段階だと自分では異常を感じないこともよくあります。
自分で自覚しづらい理由は何でしょう?

個人差はありますが、目の水晶体の混濁が緩やかに変化していく場合、脳が見え方に適応し慣れていきますので、自覚しづらいんですね。「目がかすむ」「ぼやける」「まぶしい」といった症状があっても、それが加齢に伴う白内障のせいだと気づかない人が多いのはそのためです。
治療としてはどんな方法があるのでしょうか?

初期段階の場合、進行を遅らせる目薬の処方や、紫外線が白内障の進行を早めるので、サングラスや日傘などで防御する、バランスのいい食事をとるなどの生活指導と経過観察を行います。ただ、白内障は進行が止まることは基本的にありませんので、いずれかのタイミングで手術をして治療することになります。

自分で自覚しづらい白内障という病気、その対策と治療について
手術を考えるタイミングのポイントは?

明らかに視力低下がある場合や霞みが強くなってきた、まぶしくて夜の運転が怖いなど、日常生活に不自由を感じ始めたら手術を検討した方がいいですね。見え方の変化を確認しながら、患者さんの「治したいかどうか」という気持ちを大切に、よく相談して決めていくことが重要だと考えています。
自覚症状が現れにくいと治療を始めるきっかけが難しそうです。

そうですね。なかなか自覚症状が現れないうちは眼科受診を考えないかもしれませんが、専門家が診れば白内障は見つけやすい病気です。早期発見すれば、その分治療を適切に始めることができますので、ある程度の年齢になれば機会を見つけて気軽に一度眼科専門医を受診していただければと思います。

先進医療である多焦点眼内レンズを用いた日帰り白内障手術とは

先進医療である多焦点眼内レンズを用いた日帰り白内障手術とは
白内障手術は現在日帰りで行われることが多いようですね?

水晶体の濁りを取り除き、眼内レンズを挿入する白内障手術は、成功率・安全性ともに非常に高いのが特徴です。通常であればわずか10~15分ほどで終わる手術ですので、最近は日帰り手術が主流になっています。
そんな短時間で! 手術はどのようにして行われるのでしょう

手術の方法は点眼薬による麻酔を行った上で、黒目の縁のあたりを2mm余り切開し、超音波乳化吸引術という方法で濁った水晶体を取り除き、直径6mmほどの人工の眼内レンズを挿入します。眼内レンズの進化により、現在はアクリルなどの柔らかいレンズを丸めて眼の中に入れ、中で広げるので、切開口を最小限に抑えることができ、患者さんの身体への負担が少なくなりました。

手術が終わって、どれぐらいで日常生活が可能でしょうか?

当日は手術終了後に眼帯をして帰宅していただき、家では目を閉じてなるべく安静にしてください。翌日の朝には眼帯は外せますし、検査して異常がなければ、見ることへの制限は基本的にありません。首から下の入浴も可能ですし、炊事や買い物などの軽い日常生活を行うことができます。
目の中に挿入する眼内レンズの種類について教えてください。

遠方または近方や中間距離など、いずれかの距離にピントを合わせる従来の単焦点眼内レンズに加えて、様々な高機能眼内レンズが出てきました。遠・中・近にピントが合う多焦点眼内レンズや、焦点が広くて遠方から中間まで見える焦点深度拡張眼内レンズなどこれらは自費治療となり1眼でおよそ40万円前後です。先進医療特約のついた保険に加入しいればカバーできますので、一度お調べ下さい。また乱視が強い場合は乱視度数の加入眼内レンズを検討しますが、こちらは保険診療の適応です。また、乱視が強い場合は乱視用眼内レンズを検討しますが、こちらは保険診療の適応です。
どんな場合に、多焦点眼内レンズを検討すべきでしょうか?

単焦点レンズの場合は、遠方重視のレンズを入れると近くが見えづらく、近用のメガネが必要になりますし、逆に近くを重視すると遠方用のメガネが欠かせません。多焦点眼内レンズはすべての距離がくっきり見えるというわけではありませんが、仕事柄汗をかくことが多いなどメガネなしで過ごしたい方、メガネから解放されたい方に向いているレンズといえます。

日帰りで、白内障手術を受けるメリットは何ですか?

手術の後で安静にしていただくのは一晩だけですが、日帰りですと自宅で落ち着いて休むことができます。さらに入院にかかわる準備や費用の心配がありません。日常生活や仕事への復帰も早くなると言えます。また、ご高齢の患者様にとっては生活環境が変わらないので認知症の悪化予防になります。さらにコロナ感染症などの院内感染の危険性も軽減できると考えられます。ただしすべての患者様で日帰り手術が可能なわけではありませんので、術前の内科検査などで適応を確認致します。
先進医療である多焦点眼内レンズを用いた日帰り白内障手術とは

日帰り白内障手術を受けた患者さんの反応についても教えてください。

「よく見えるようになった」「空がこんなに青かったなんて知らなかった」というお声を頂戴することが多いです。高齢の方も活発に生活を送られる時代ですし、眼内レンズは基本的に一生使っていけるものです。だからこそ、手術後の生活で患者さんが何をしたいのかをよく聞いて、納得のいくレンズ選択をしていただくことを心がけています。

日帰り白内障手術を受けるクリニックを見極めるポイントは“手術実績”と“丁寧な説明”

日帰り白内障手術先を見極めるポイントは“手術実績”と“丁寧な説明”
白内障手術後に一番気を付けなければいけないことは?

感染予防が大切ですので、目薬をきちんとさすこと、診察にきちんときていただくことですね。安全性が高いとはいえ、目という非常にデリケートな部分の手術ですから。当院では手術を受けられた患者さんには、非常時用に私の携帯番号をお知らせして、「何かあったらすぐ連絡してください」とお伝えしています。
先生が取り入れている環境面の工夫について、具体的に教えてください。

万全の体制で手術に臨めるように、手術機器の衛生はもちろん、手術室は空調にHEPAフィルターを採用したクリーンルームにし、感染予防に努めています。
また、不安を抱えた患者さんが少しでもリラックスできるように、院内は明るい色合いや、ゆったりした空間作りを考えて設計しました。さらに、どんな方でも移動しやすいように全面バリアフリーにしています。

日帰り白内障手術を取り入れている眼科は増えていますが、どこに着目すればいいのでしょうか?

白内障手術は、手術時間も10分程度で済んでしまうものですが、それだけに医師の技術や経験が直接反映されます。豊富な手術実績があること、感染予防に万全の体制を敷いていること、様々な眼内レンズのメリット・デメリットや、術後の生活の注意点をきちんと説明してくれることがポイントとして挙げられます。
技術はもちろんですが、患者さんとの信頼関係を築くことが大事なんですね?

そうですね。目の治療、特に「手術が必要」と医師に言われた場合、患者さんにとっては不安も大きいと思います。だからこそ、患者さんの生活状況などを把握して、手術のタイミングなどきめ細やかに相談しています。患者さんが何を望んでいるか、十分なカウンセリングを行います。「この人ならまかせてもいい」と思ってもらえる信頼関係抜きにはいい治療はできませんから。
なるほど。患者さんと接する時に先生が心がけていることは何ですか?

私だけでなくスタッフ一同、明るく笑顔で患者さんの話をよく聞くことです。一人ひとり病状は違いますから、患者さんに病状を正しくご理解いただき、一番患者さんにとって適した治療を私たちと一緒に選んでいただけるよう、できるだけわかりやすい言葉で丁寧に説明することを心がけています。

術前説明会も先生自身が行われるとのことですが?

そこは私がこだわっている部分です。医院によってはスタッフが手術の説明を行うところもありますが、当院では私自身が白内障手術を受ける患者さんとご家族に、どういう手術なのかDVDをご覧いただいた後で、手術中の注意点や術後の生活のことなど含め、1時間ほどかけて丁寧に手術説明を行っています。
日帰り白内障手術先を見極めるポイントは“手術実績”と“丁寧な説明”

先生の医院では、涙道の手術にも取り組まれていますよね?

近隣に涙道の専門家がいなかったため、涙の通り道が詰まって、涙目になっても治すことをあきらめていた患者さんが多くいらっしゃいました。そこで、内視鏡を使って詰まったところを開放し、チューブを挿入することで涙道を再建する日帰り手術を始めました。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

目の病気もほかの病気と同じように、早期発見・早期治療が大切です。患者さんのこれからの生活がよくなるように、学会での研修など最新の情報を常に学び、日々の診療に反映させることで大切な患者さんの目をお守りしていきます。見え方がよくなった時の患者さんの喜ぶ姿を見ると、本当に私たちもうれしくなります。少しでも「おかしいな」と思うことがあれば、お気軽にご来院ください。

編集部まとめ

白内障手術は安全で合併症が少ない手術ですが、どの眼内レンズを選択するかによって見え方の質が変わり、その後の生活にも大きな影響を与えます。手術技術はもちろんですが、綿密なコミュニケーションに基づき、自分の理想に一番適した眼内レンズを提供してくれる眼科専門医なら、安全性だけでなく手術後の快適な生活が保障できそうです。また、白内障手術で見え方を改善することはメンタル面にもいい影響を与え、「人生100年時代」といわれる今日、生活の質を守るだけでなく「人生の質を向上させる」付加価値を兼ね備えています。日帰り手術(注1)であることも、費用を抑える上でうれしいですね。こうした点も含めて検討してみてはいかがでしょうか。「空が明るくなった」など、これまで見られなかった風景があなたを待っていることでしょう。

(注1)手術前・手術後の診察及び検査が必要になります。

医院情報

ゆう眼科

ゆう眼科
所在地 〒573-0126
大阪府枚方市津田西町2-33-3
オカモトビル1階
アクセス JR学研都市線「津田」駅より徒歩5分
「津田西町」バス停すぐ
診療内容 白内障、緑内障、眼底疾患、涙道疾患、小児眼科ほか眼科全般

この記事の監修医師