65歳からの不安を今から防ぐ。腎臓に負担をかけない「“痛み止め”との付き合い方」

腎臓の病気は初期段階では症状が現れにくい特徴があり、「沈黙の臓器」と呼ばれています。疲れやすさやだるさ、むくみ、尿の変化といった非特異的な症状が現れることもありますが、これらの症状が出る頃にはすでにある程度腎機能が低下していることが多いため、定期的な検査による早期発見が重要です。腎機能の評価には血液検査と尿検査が基本となり、クレアチニンや推算糸球体濾過量、タンパク尿や血尿の有無を調べます。健康診断で尿タンパクを指摘された場合は、軽視せず医療機関で精密検査を受けることが大切といえます。

監修薬剤師:
佐孝 尚(薬剤師)
北海道医療大学薬学部 卒業 現在はセンター薬局グループに薬剤師として勤務しながら株式会社イヤクルを創業。不動在庫医薬品取引プラットフォームアプリ【イヤクル】を運営。
保有免許・資格
薬剤師免許
腎臓障害の初期症状と早期発見の重要性
腎臓の病気は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、初期段階では症状が現れにくい特徴があります。しかし、早期に発見して対処することで、進行を遅らせたり、回復させたりできる可能性が高まります。
腎臓障害の兆候となる症状
腎機能が低下し始めると、まず疲れやすさやだるさといった非特異的な症状が現れることがあります。むくみ、特に朝起きた時の顔や足のむくみも重要なサインです。尿の変化にも注意が必要で、泡立ちが多い、色が濃い、量が減った、夜間の頻尿が増えたといった変化が見られることがあります。
さらに進行すると、食欲不振、吐き気、貧血による息切れや動悸、高血圧、皮膚のかゆみなどが現れることもあるでしょう。ただし、これらの症状が出る頃にはすでにある程度腎機能が低下していることが多いため、定期的な検査による早期発見が重要といえます。
腎機能を調べる検査方法
腎機能の評価には、血液検査と尿検査が基本となります。血液検査では、クレアチニンや尿素窒素という老廃物の値を測定します。これらの値が高いほど、腎臓のろ過機能が低下していることを示します。また、クレアチニン値から算出される推算糸球体濾過量(eGFR)は、腎機能の程度を数値で表す指標として広く用いられています。
尿検査では、タンパク尿や血尿の有無を調べます。正常であれば尿中にタンパクはほとんど出ませんが、腎臓が傷ついていると尿にタンパクが漏れ出てきます。健康診断や人間ドックで尿タンパクを指摘された場合は、軽視せず医療機関で精密検査を受けることが大切です。
痛み止めによる腎障害のリスク因子
痛み止めによる腎障害のリスクは、すべての方に均等にあるわけではありません。特定の条件を持つ方は、より注意深く使用する必要があります。
腎障害を起こしやすい人の特徴
高齢者は腎機能が加齢とともに低下しているため、痛み止めの影響を受けやすい傾向があります。65歳以上の方は特に注意が必要でしょう。また、もともと腎臓病や糖尿病、高血圧などの基礎疾患を持つ方も、腎臓への負担が大きくなりやすいといえます。
脱水状態にある時も、腎臓への血流が減少しているため、痛み止めの影響が強く出る可能性があります。夏場や運動後、下痢や嘔吐がある時などは特に注意が必要です。さらに、利尿薬や降圧薬、糖尿病治療薬など他の薬を服用している方は、薬の相互作用によって腎障害のリスクが高まることがあります。
複数の痛み止めの併用リスク
異なる種類の痛み止めを同時に使用したり、痛み止めと風邪薬を併用したりすることで、知らず知らずのうちにNSAIDsの摂取量が増えてしまうことがあります。市販の風邪薬や頭痛薬の多くにもNSAIDsが含まれているため、成分の重複に注意する必要があります。
また、処方薬と市販薬を併用する場合も同様の注意が必要です。医師から処方された痛み止めを服用している時に、市販の痛み止めを追加で飲むことは避けるべきでしょう。複数の医療機関にかかっている場合は、それぞれの医師に他で処方された薬を伝えることが大切です。
まとめ
痛み止めは日常生活で頼りになる薬ですが、飲み過ぎによる腎臓への影響をはじめとした副作用のリスクを理解し、適切に使用することが不可欠です。特に長期間の使用や高頻度の服用は、腎機能障害や薬物乱用頭痛など深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。自分の身体の状態を把握し、用法用量を守り、必要に応じて医療機関を受診することが大切でしょう。痛みが続く場合は、痛み止めに頼るだけでなく根本原因を探り、総合的なアプローチで対処することをお勧めします。