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NASH(非アルコール性脂肪肝炎)予防にコーヒーが良い?肝機能への影響と注意点【医師解説】

 公開日:2026/03/28

近年の研究により、コーヒーが肝臓の健康に良い影響を与える可能性が注目されています。コーヒーに含まれる成分が、NASH患者さんの肝機能にどのような作用をもたらすのか、多くの疫学研究や臨床試験が行われてきました。肝保護効果のメカニズムや、どの程度の摂取量が適切なのかなど、科学的なエビデンスに基づいた情報をお伝えします。コーヒー好きの方にとっては心強い内容となるでしょう。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

コーヒーがNASHに与える影響

コーヒーとNASHの関係については、近年多くの研究が行われています。コーヒーに含まれる成分が肝臓にどのような影響を与えるのか、科学的なエビデンスに基づいて解説します。

コーヒーの肝保護効果のメカニズム

複数の疫学研究により、コーヒーの摂取が肝疾患リスクを低減する可能性が示されています。コーヒーに含まれるカフェインやクロロゲン酸などのポリフェノール類は抗酸化作用や抗炎症作用を持ち、肝細胞を保護すると考えられています。特にクロロゲン酸は肝臓での脂質代謝を改善し、脂肪の蓄積を抑制する働きがあることが動物実験で確認されています。
カフェインには、肝臓の線維化を抑制する可能性も報告されており、NASH(MASH)から肝硬変への進展を遅らせる効果が期待されています。観察研究やめた解析では、コーヒー摂取量が多い人ほどMASLD/MASHにおける進行繊維化や肝硬変、肝がんのリスクが低い傾向も示されています。一方で、コーヒー摂取のみでMASLDの発症予防やMASHを治療できる十分なエビデンスは現時点では確立されていません。さらにコーヒーの摂取はALT・ASTなどの肝酵素値の改善とも関連することが報告されており、肝細胞障害の軽減につながる可能性があります。

コーヒーの適切な摂取量と注意点

研究によれば、肝保護効果が期待できるコーヒーの摂取量は、1日あたり2〜3杯程度とされています。この量であれば、多くの方にとって安全に摂取でき、肝機能の改善効果が期待できる可能性があります。ただし、個人の体質やカフェインへの感受性により、適切な量は異なるため、自分の体調を観察しながら調整することが大切です。
コーヒーの種類については、フィルターを通したドリップコーヒーが推奨されます。エスプレッソやボイルドコーヒー(煮出したコーヒー)には、カフェストールという成分が含まれており、これが血中コレステロールを上昇させる可能性があるためです。フィルターを使用することで、この成分を除去できます。
砂糖やミルクの添加には注意が必要です。NASH患者さんにとって、過剰な糖質や脂質の摂取は病状を悪化させる可能性があります。コーヒー本来の効果を得るためには、ブラックで飲むか、少量の低脂肪ミルクを加える程度にとどめることが望ましいでしょう。

まとめ

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)は、生活習慣と密接に関連した疾患であり、食事や運動などの日常的な取り組みが改善の鍵となります。食べ物の選び方では、糖質や飽和脂肪酸を控え、食物繊維や良質な脂質、抗酸化物質を含む食品を積極的に摂取することが重要です。コーヒーの適度な摂取は肝保護効果が期待できますが、砂糖の添加は避けましょう。脂肪肝とNASHの違いを理解し、早期発見と適切な対応を心がけることで、重篤な肝疾患への進行を防ぐことができます。気になる症状や検査結果がある場合は、消化器内科や肝臓内科を受診し、専門医の診察を受けることをおすすめします。

この記事の監修医師