NASH改善の鍵は「どの栄養素」の制限?肝臓を労わる栄養素の摂り方【医師解説】

栄養素の種類や摂取量は、NASHの進行や改善に大きな影響を与えることが研究で明らかになっています。糖質、脂質、たんぱく質といった三大栄養素に加え、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素も、肝臓の機能維持において重要な役割を果たしています。特定の栄養素を適切に摂取することで、肝臓の炎症を抑え、脂肪の蓄積を軽減できる可能性があります。ここでは、科学的な知見に基づいて、各栄養素がNASHに与える影響について解説します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
NASHと栄養素の関係
特定の栄養素がNASHの進行や改善に与える影響について、科学的な知見が蓄積されています。ここでは、特に注目されている栄養素とその働きについて詳しく見ていきましょう。
糖質制限の効果と注意点
近年、糖質制限がNASHの改善に有効である可能性が報告されています。糖質、特に単純糖質の過剰摂取は、肝臓での脂質合成を促進し、インスリン抵抗性を悪化させることが知られています。適度な糖質制限により、肝臓に蓄積した脂肪が減少し、炎症マーカーが改善したという研究結果があります。
ただし、極端な糖質制限は推奨されません。糖質は脳や筋肉のエネルギー源として必要であり、完全に制限すると倦怠感や集中力の低下、筋肉量の減少などの問題が生じる可能性があります。適切な量の糖質を、質の良い食品(全粒穀物、野菜、果物)から摂取することが望ましいでしょう。
また、糖質制限を行う際には、その分のエネルギーを何で補うかも重要です。たんぱく質や良質な脂質(オメガ3脂肪酸など)でバランスよく補うことで、筋肉量を維持しながら肝機能の改善を図れます。
ビタミンとミネラルの役割
ビタミンとミネラルは、肝臓の機能維持や抗酸化作用において重要な役割を果たします。ビタミンEは、強力な抗酸化作用を持ち、肝細胞の酸化ストレスを軽減することが示されています。実際に、一部のNASH患者さんに対してビタミンEの補充が治療の一環として用いられることがあります。ナッツ類、植物油、緑黄色野菜などから摂取できます。
ビタミンDの不足もNASHと関連があることが報告されています。ビタミンDは免疫機能の調整や抗炎症作用を持ち、その不足は肝臓の炎症や線維化を促進する可能性が指摘されています。日光浴や、魚類、きのこ類からの摂取が推奨されますが、不足が疑われる場合はサプリメントの使用も検討されます。
ミネラルでは、亜鉛やセレンが注目されています。亜鉛は肝細胞の修復や再生に関与し、セレンは抗酸化酵素の構成成分として働きます。これらのミネラルは、魚介類、肉類、種実類に多く含まれており、バランスの良い食事を心がけることで十分な量を摂取できます。ただし、過剰摂取は逆効果となることもあるため、サプリメントを使用する場合は医師の指導のもとで行うことが重要です。
まとめ
NASH(非アルコール性脂肪肝炎)は、生活習慣と密接に関連した疾患であり、食事や運動などの日常的な取り組みが改善の鍵となります。食べ物の選び方では、糖質や飽和脂肪酸を控え、食物繊維や良質な脂質、抗酸化物質を含む食品を積極的に摂取することが重要です。コーヒーの適度な摂取は肝保護効果が期待できますが、砂糖の添加は避けましょう。脂肪肝とNASHの違いを理解し、早期発見と適切な対応を心がけることで、重篤な肝疾患への進行を防ぐことができます。気になる症状や検査結果がある場合は、消化器内科や肝臓内科を受診し、専門医の診察を受けることをおすすめします。




