『ノロウイルス』は人からうつる? 二次感染の経路と予防法を【医師解説】

ノロウイルスの大きな特徴の一つは、人から人への二次感染が起こりやすいことです。感染者の嘔吐物や便には1グラムあたり100万個〜10億個ものウイルスが含まれており、わずかな量が口に入るだけで感染が成立します。家庭という密接な生活空間では、ドアノブや水道の蛇口、トイレのレバーなどの共用部分を介してウイルスが広がります。感染経路の理解が、家庭内や施設内での感染拡大を防ぐ鍵となるでしょう。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
ノロウイルスの二次感染とその広がり方
ノロウイルスの大きな特徴の一つは、人から人への二次感染が起こりやすいことです。家庭内や施設内での感染拡大を防ぐには、感染経路の理解が不可欠です。
家庭内での二次感染のメカニズム
家族の一人がノロウイルスに感染すると、その他の家族も次々と感染してしまうケースは珍しくありません。これは家庭という密接な生活空間において、ウイルスとの接触機会が極めて多いためです。感染者の嘔吐物や便には1グラムあたり100万個〜10億個ものウイルスが含まれており、わずかな量が他の家族の口に入るだけで感染が成立します。
感染リスクが高いのは、嘔吐物の処理をする時です。嘔吐物が床やカーペットに飛び散ると、不適切な清掃方法ではウイルスを完全に除去できず、乾燥して空気中に舞い上がったウイルスを吸い込むことで感染します。また、感染者が触れたドアノブ、水道の蛇口、トイレのレバー、リモコンなどの共用部分を介して、手から口へとウイルスが運ばれます。
トイレの使用も感染リスクが高い場面です。便座や便器の縁、トイレットペーパーホルダーなどにウイルスが付着し、次に使用する方の手に移ります。タオルの共用も避けるべきで、感染者が手を拭いたタオルには大量のウイルスが付着している可能性があります。
施設や職場での集団感染のパターン
保育園、学校、高齢者施設、病院などの集団生活の場では、一人の感染者から一気に広がる集団感染が発生しやすくなります。特に高齢者施設では、入所者の方々の免疫力が低下していることが多く、重症化しやすいため深刻な問題となります。
施設での感染拡大は、職員を介して広がることも多くあります。一人の職員が感染すると、その職員が担当する複数の利用者と接触するため、短期間で広範囲に感染が及びます。また、集団食堂での食事や共用のトイレ、入浴設備なども感染の媒介となります。施設では感染対策の徹底が特に重要です。
職場でも同様に、オフィスの共用スペース、給湯室、トイレなどを介して感染が広がります。感染した職員が無理に出勤すると、周囲の同僚に次々と感染させてしまう可能性があります。症状が治まってからも数日から数週間はウイルスの排出が続くため、回復後の対応も重要です。
まとめ
ノロウイルス感染症は、突然の嘔吐と下痢を主症状とする感染性胃腸炎で、24時間から48時間の潜伏期間を経て発症します。二枚貝を介した食品感染と、人から人への二次感染という二つの経路で広がりやすく、特に冬季に流行します。初期症状を早期に認識し、適切な水分補給と安静を保つことが回復への第一歩です。
ノロウイルスの予防には、手洗いの徹底、食品の十分な加熱、調理器具の衛生管理が基本となります。生の二枚貝を食べる際はリスクを理解し、体調や免疫状態を考慮した判断が必要です。感染力が強いウイルスですが、正しい知識と予防対策で、ご自身と大切な方々を守ることができます。