赤ワインは本当に体にいい?研究でわかった心疾患との関係を管理栄養士が解説!

赤ワインの健康効果については、多くの研究報告が蓄積されており、心血管系疾患や認知機能との関連が議論されています。フレンチ・パラドックスとして知られる現象をはじめ、さまざまな観点から研究が進められてきました。ここでは、これまでに報告されている健康効果の実例を紹介します。ただし、観察研究が中心であり、因果関係が明確に証明されているわけではない点に留意が必要です。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
赤ワインがもたらす健康効果の実例
赤ワインの健康効果については、多くの研究報告が蓄積されており、特定の疾患リスクの低減や長寿との関連が議論されています。ただし、これらの研究結果は観察研究が中心であり、因果関係が明確に証明されているわけではない点に留意が必要です。
心血管系疾患への影響
赤ワインの適度な摂取が心血管系疾患のリスクを低減する可能性は、フレンチ・パラドックスとして知られる現象から注目を集めました。フランス人は脂肪分の多い食事を摂る傾向があるにもかかわらず、心疾患による死亡率が比較的低いという観察があり、その背景に赤ワインの習慣的な摂取があるのではないかと考えられたのです。ただし、この現象は食事全体の質や生活習慣、遺伝的要因など、複数の要素が関わっている可能性が高く、赤ワインだけが唯一の理由とは言い切れません。
疫学研究では、1日グラス1杯〜2杯(約100〜240ml)程度の、適量の赤ワインを飲む方は、まったく飲まない方や大量に飲む方と比較して、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患のリスクが低い傾向が報告されています。この効果は、ポリフェノールによる血管内皮機能の改善や、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の増加、血小板凝集の抑制などが複合的に作用した結果と推測されています。しかし、これらの研究は観察に基づくものであり、ランダム化比較試験で因果関係が確立されているわけではありません。
ただし、こうした効果は適量を守った場合に限られます。過度の飲酒は逆に血圧の上昇や心筋症のリスクを高める可能性があるため、飲む量と頻度には十分な注意が必要です。また、アルコールに対する耐性や代謝能力には個人差があるため、一律に「赤ワインが心臓に良い」と断定することは避けるべきでしょう。
認知機能や寿命への関連性
赤ワインに含まれるレスベラトロールは、認知機能の維持や脳の健康にも関わる可能性が示唆されています。動物実験では、レスベラトロールが神経細胞の保護や記憶機能の改善に寄与するという報告があり、アルツハイマー病や認知症の予防に役立つ可能性が期待されています。しかし、動物実験で使用されるレスベラトロールの量は、通常の赤ワイン摂取から得られる量をはるかに超えることが多く、人体で同様の効果が得られるかは未確立です。
疫学調査では、適量の赤ワインを定期的に飲む高齢者は、認知機能の低下が緩やかであるという結果も出ています。ただし、これらの研究は観察研究が中心であり、赤ワインそのものが直接的な原因であるかどうかは明確ではありません。食生活全体や社交的な飲酒習慣、ライフスタイルといった要因が複合的に影響している可能性があります。たとえば、赤ワインを飲む習慣がある方は、社交的な活動が多く、精神的な刺激を受ける機会が多いという背景要因も考えられます。
寿命に関しては、適度な飲酒習慣が長寿と関連するという報告がある一方で、飲酒量が増えると逆に死亡リスクが上昇するというU字型の関係が知られています。赤ワインを含むアルコール飲料は、適量であれば心血管系の保護や社会的つながりの促進といったプラスの効果をもたらす可能性がありますが、過剰摂取は肝臓や消化器系、がんのリスクを高める要因となります。
まとめ
赤ワインに含まれる栄養素や健康効果、飲み過ぎのリスク、適切な飲み合わせ、保存方法について詳しく解説してきました。赤ワインはポリフェノールをはじめとする有益な成分を含んでおり、適量を守って楽しむことで、心血管系の健康や抗酸化作用といったプラスの効果が期待できます。一方で、過度の飲酒は肝臓への負担や依存症、生活習慣病のリスクを高めるため、自分の体質や生活状況に合わせた適量を守ることが何よりも重要です。食事との相性や保存方法にも気を配り、赤ワインを安全に、そして豊かに楽しむための知識を日常生活に活かしていきましょう。




