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『肺がん』の原因はタバコ? 遺伝との関係や発症の仕組みを解説【医師監修】

 公開日:2026/02/08
肺がんの主な原因とメカニズム

肺がんの発症には、複数の要因が複雑に関与しています。発がんのメカニズムを理解することで、予防や早期発見の意義がより明確になります。喫煙に含まれる発がん物質が細胞に与える影響や、遺伝的要因と環境要因がどのように相互作用するのかについて解説します。これらの知識は、自身のリスクを正しく認識し、適切な対策を講じるために役立ちます。

松本 学

監修医師
松本 学(きだ呼吸器・リハビリクリニック)

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兵庫医科大学医学部卒業 。専門は呼吸器外科・内科・呼吸器リハビリテーション科。現在は「きだ呼吸器・リハビリクリニック」院長。日本外科学会専門医。日本医師会認定産業医。

肺がんの主な原因とメカニズム

肺がんの発症には、複数の要因が複雑に関与しています。発がんのメカニズムを理解することで、予防や早期発見の意義がより明確になります。

喫煙と発がん物質の影響

タバコの煙には、70種類以上の発がん性物質が含まれているといわれています。これらの物質が肺に入ると、気管支や肺胞の細胞に直接作用し、DNAに損傷を与えます。通常、細胞にはDNAの修復機能が備わっていますが、長期間にわたる繰り返しの損傷により、修復が追いつかなくなり、異常な細胞が蓄積していきます。
特にタールに含まれるベンゾピレンや、ニトロソアミンといった物質は、強力な発がん性を持つことが確認されています。これらの物質は、細胞の増殖を制御する遺伝子に変異を引き起こし、正常な細胞ががん細胞へと変化するプロセスを促進します。
喫煙によるリスクは、開始年齢が若いほど、また喫煙期間が長いほど高まります。禁煙は何歳から始めても遅すぎることはなく、早期に禁煙することで将来のリスクを大きく低減できることが報告されています。

遺伝的要因と環境要因の相互作用

肺がんの発症には、遺伝的な素因も関与しています。家族歴がある方、つまり血縁者に肺がんの患者さんがいる場合、発症リスクがやや高くなることが知られています。これは、発がん物質を代謝する酵素の遺伝子型や、DNA修復能力に個人差があるためと考えられています。
近年の研究では、特定の遺伝子変異が肺がんの発症や進行に関与していることが明らかになってきました。EGFR遺伝子変異やALK遺伝子転座といった変異は、特に非喫煙者や女性、アジア人に多く見られ、これらの変異を持つ患者さんには分子標的薬が有効とされています。
環境要因と遺伝的要因は、単独ではなく相互に作用して肺がんのリスクを形成します。喫煙という環境要因に遺伝的素因が加わることで、リスクがさらに増幅されることもあります。家族歴がある方は喫煙を避け、定期的な検診を受けることで、早期発見の機会を増やすことが大切です。

まとめ

肺がんは、早期発見と適切な治療により、予後が改善する可能性のある疾患です。症状や前兆を見逃さず、気になる変化があれば速やかに医療機関を受診することが重要です。また、喫煙をはじめとするリスク因子を避け、定期的な健康診断を受けることで、早期発見の機会を増やすことができます。治療法は日々進歩しており、患者さん一人ひとりの状態に合わせた個別化医療が実現しつつあります。専門の医療機関と連携しながら適切な治療を選択し、生活の質を保ちながら病気と向き合うことが大切です。

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