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『肺がん』の放射線療法と集学的治療。術後の再発予防と薬物療法【医師監修】

 公開日:2026/02/10
肺がんの治療法における放射線療法と集学的治療

放射線療法は、肺がん治療において重要な役割を果たします。複数の治療法を組み合わせることで、より良い治療効果が期待できます。定位放射線治療や化学放射線療法といった放射線療法の種類と適応、さらに術前補助療法や術後補助療法を含む集学的治療について解説します。多職種のチームによる連携が、効果的な治療を実現するために不可欠であることもお伝えします。

松本 学

監修医師
松本 学(きだ呼吸器・リハビリクリニック)

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兵庫医科大学医学部卒業 。専門は呼吸器外科・内科・呼吸器リハビリテーション科。現在は「きだ呼吸器・リハビリクリニック」院長。日本外科学会専門医。日本医師会認定産業医。

肺がんの治療法における放射線療法と集学的治療

放射線療法は、肺がん治療において重要な役割を果たします。複数の治療法を組み合わせることで、より良い治療効果が期待できます。

放射線療法の種類と適応

放射線療法は、高エネルギーの放射線を腫瘍に照射してがん細胞を死滅させる治療法です。手術が困難な早期肺がんに対しては、定位放射線治療(SBRT)が行われることがあります。これは、複数の方向から正確に放射線を集中させる方法で、周囲の正常組織への影響を最小限に抑えながら、高線量を腫瘍に照射できます。
進行期の肺がんに対しては、化学療法と放射線療法を同時に行う化学放射線療法が選択されることがあります。特にIII期の非小細胞肺がんや、限局型の小細胞肺がんでは、この治療法が標準的とされています。放射線と抗がん剤の相乗効果により、腫瘍の縮小や局所制御の向上が期待されます。
緩和的放射線療法は、症状の軽減を目的として行われます。骨転移による痛みや、脳転移による神経症状、気道の閉塞による呼吸困難などに対して、短期間の照射で症状を和らげることができます。治療期間は、目的や照射部位によって数日から数週間と幅があります。放射線療法は、患者さんの生活の質を保つために重要な治療手段となることがあります。

集学的治療と術後補助療法

肺がんの治療では、複数の治療法を組み合わせる集学的治療が重要視されています。手術が可能な場合でも、術前に化学療法や化学放射線療法を行い、腫瘍を縮小させてから手術を行う術前補助療法(ネオアジュバント療法)が実施されることがあります。これにより、完全切除の可能性を高め、予後の改善が期待されます。
術後には、再発リスクを減らすために術後補助化学療法(アジュバント療法)が行われることがあります。特にII期やIII期の肺がんでは、手術で腫瘍を切除した後も、微小な転移が残っている可能性があるため、薬物療法を追加することで再発予防効果が得られるとされています。
近年では、術後補助療法として免疫チェックポイント阻害薬を使用する試みも行われており、一部の患者さんで良好な成績が報告されています。治療方針は、病理検査の結果や患者さんの体力、希望などを総合的に考慮して決定されます。
集学的治療を効果的に進めるためには、呼吸器外科医、呼吸器内科医、腫瘍内科医、放射線治療医、病理医、看護師、理学療法士、薬剤師など、多職種のチームによる連携が不可欠です。患者さん自身も治療チームの一員として、疑問や希望を積極的に伝えることが、納得のいく治療につながります。治療の選択肢は複数存在することが多く、それぞれの利点と欠点を理解したうえで、自身に合った治療を選ぶことが大切です。

まとめ

肺がんは、早期発見と適切な治療により、予後が改善する可能性のある疾患です。症状や前兆を見逃さず、気になる変化があれば速やかに医療機関を受診することが重要です。また、喫煙をはじめとするリスク因子を避け、定期的な健康診断を受けることで、早期発見の機会を増やすことができます。治療法は日々進歩しており、患者さん一人ひとりの状態に合わせた個別化医療が実現しつつあります。専門の医療機関と連携しながら適切な治療を選択し、生活の質を保ちながら病気と向き合うことが大切です。

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