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高齢者の「ヒートショック」リスクが高い理由と入浴時の予防ポイント【医師解説】

 公開日:2026/02/18
高齢者がヒートショックになりやすい理由

高齢者は加齢に伴う身体機能の変化により、ヒートショックのリスクが格段に高まります。血管の柔軟性低下や動脈硬化の進行、体温調節機能の衰えなど、複数の要因が重なり合って危険性を増大させます。これらの特性を理解することで、より適切な配慮ができるようになるでしょう。

滝村 英幸

監修医師
滝村 英幸(医師)

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2006年3月 聖マリアンナ医科大学医学部医学科卒業
2006年4月 聖マリアンナ医科大学病院 初期臨床研修医
2008年4月  済生会横浜市東部病院 循環器内科
2016年12月  総合東京病院(東京都中野区) 循環器内科
2017年 総合東京病院(東京都中野区) 心臓血管センター
2022年4月 総合東京病院(東京都中野区) 心臓血管センター 循環器内科 心臓血管インターベンション科 科長

【専門・資格・所属】
内科・循環器内科一般
冠動脈カテーテルインターベンション治療
末梢血管カテーテル治療
フットケア
心血管超音波検査

日本内科学会認定内科医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定心血管カテーテル治療専門医
日本心エコー図学会SHD心エコー図認定医

高齢者がヒートショックになりやすい理由

高齢者はヒートショックのリスクグループです。加齢に伴う身体機能の変化が複合的に作用し、若年者に比べて格段にリスクが高まります。高齢者が特にヒートショックになりやすい理由を理解することが大切です。

血管の柔軟性低下と動脈硬化

高齢者の血管は、長年にわたる生活習慣の影響や加齢そのものによって、柔軟性を失い硬くなっています。この血管の硬化は動脈硬化と呼ばれ、ヒートショックのリスクを大きく高める要因です。

若い健康な血管は、ゴムホースのように伸縮性があり、血圧の変動に応じて拡張したり収縮したりすることで、血流を適切に調節します。しかし、動脈硬化が進行すると、血管壁が厚く硬くなり、この柔軟性が失われます。結果として、急激な血圧変動に対応できず、血管が破れたり、血流が途絶えたりするリスクが高まります。特に脳の細い血管が破れると脳出血を起こし、重篤な後遺症が残ったり、生命に関わったりする危険性があります。

高齢者の多くは、程度の差こそあれ動脈硬化を抱えています。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などの危険因子を持つ方では、動脈硬化がさらに進行している可能性が高く、ヒートショックへの注意が一層重要になります。

体温調節機能と感覚の鈍化

高齢者では、体温を調節する機能そのものが低下していることも、ヒートショックのリスクを高める大きな要因です。

年齢を重ねると、皮膚の温度センサーの機能が衰え、寒さや暑さを感じにくくなります。若い方であれば「寒い」と感じて暖房をつけたり、衣服を着込んだりする場面でも、高齢者は寒さを十分に感じ取れず、身体が冷えた状態に気づかないことがあります。逆に、熱いお湯に浸かっても「ちょうどよい」と感じてしまい、身体が過度に温まってしまうこともあります。

また、高齢者の汗腺の機能も低下しています。暑いときに汗をかいて体温を下げる能力が弱まるため、体温の調節がうまくいかなくなります。入浴時に身体が温まりすぎても、適切に放熱できないために、血管が過度に拡張し血圧が急降下するリスクが高まります。

これらの変化は自覚しにくく、本人は「以前と変わらない」と感じていることも少なくありません。家族や周囲の方が客観的に状況を見守り、適切な環境設定やサポートを行うことが重要です。

まとめ

ヒートショックは、正しい知識と日常的な対策によって予防できる健康リスクです。めまいや立ちくらみ、動悸などの初期症状を見逃さず、急激な温度変化による血圧変動の仕組みを理解することが重要となります。特に高齢者や基礎疾患のある方はリスクが高いため、室温管理や入浴方法の工夫、トイレや廊下、早朝・夜間など注意が必要な場面を把握しておくことが欠かせません。あわせて、家族による見守りや緊急時の対応を共有しておくことで、万が一の事態にも備えやすくなります。

住環境の改善や生活習慣の見直しを含め、できる対策から無理なく実践していきましょう。少しでも不安や症状がある場合は、早めに医療機関へ相談することが、冬を安全に過ごすための大切な一歩となります。

この記事の監修医師