日本人はカフェインに弱い?自分の「カフェイン体質」を知って予防するポイント【医師解説】

同じ量のカフェインを摂取しても、人によって身体への影響は大きく異なります。この違いには、遺伝的な代謝能力の差や年齢、性別、健康状態など、さまざまな要因が関わっています。特にカフェインを分解する酵素の働きには個人差が大きく、代謝速度によって症状の現れ方が変わってきます。自分の体質を理解することは、安全なカフェイン摂取を実践するうえで欠かせません。ここでは、個人差が生まれる要因について詳しく見ていきます。

監修医師:
小坂 真琴(医師)
2022年4月~2024年3月、今村総合病院(鹿児島県鹿児島市)で初期研修を修了
2024年4月よりオレンジホームケアクリニック(福井県福井市) 非常勤医師として在宅診療を行いながら、福島県立医科大学放射線健康管理学講座大学院生として研究に従事
2025年10月よりナビタスクリニックに勤務
週1度、相馬中央病院 (福島県相馬市) 非常勤医師として内科外来を担当
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個人差と体質による影響
カフェインに対する感受性や代謝能力には、大きな個人差があります。同じ量のカフェインを摂取しても、まったく症状が現れない方もいれば、軽度の摂取でも動悸や不眠を経験する方もいます。この違いは、遺伝的要因、年齢、性別、体重、日常的なカフェイン摂取習慣、健康状態、服用している薬剤など、多様な要素が複雑に関与して決まります。
遺伝的要因と代謝能力
カフェイン代謝酵素であるCYP1A2の遺伝子型によって、代謝速度は大きく異なります。遺伝子型が「速代謝型」の方は、カフェインを摂取後3時間から4時間程度で半減させることができますが、「遅代謝型」の方では半減までに6時間から8時間かかることもあります。遅代謝型の方は、カフェインの影響が長時間持続するため、不眠や動悸といった症状が現れやすくなります。
日本人を含む東アジア系の集団では、遅代謝型の遺伝子型を持つ方の割合が高いことが報告されています。このため、欧米人と同じ量のカフェインを摂取しても、症状が出やすい傾向があると考えられています。自身の体質を理解し、カフェイン摂取後の身体反応を観察することが、安全な摂取量を見極めるうえで重要です。
年齢・性別・健康状態による違い
年齢によってもカフェインへの感受性は変化します。子どもや青少年は発達段階や体重によってカフェインの影響を受けやすく、少量でも興奮や不眠を引き起こすことがあります。高齢者では肝機能や腎機能の低下により、カフェインの排泄が遅れ、体内に蓄積しやすくなります。
性別による差も指摘されており、女性は男性に比べてカフェイン代謝が遅い傾向があります。特に妊娠中は胎盤を通じてカフェインが胎児に移行するため、胎児への影響を考慮して摂取量を制限する必要があります。また、経口避妊薬を服用している場合、カフェインの代謝が遅くなることが知られています。心疾患、不整脈、高血圧、胃潰瘍、不安障害などの既往がある方は、カフェインによって症状が悪化する可能性があるため、医師と相談しながら摂取量を調整することが望まれます。
まとめ
カフェイン中毒は、カフェインの過剰摂取によって引き起こされる健康被害であり、適切な知識と対処法を身につけることで予防可能です。急性中毒では動悸、震え、吐き気といった症状が現れ、重症例では生命に関わることもあります。慢性的な依存状態では、離脱症状により日常生活に支障をきたすことがあります。
安全な摂取量は健康な成人で1日400mg以下が目安ですが、個人差が大きいため、自身の体質を理解することが重要です。症状が現れた際は、カフェイン摂取を中止し、水分補給と安静を心がけ、重度の場合は速やかに医療機関を受診してください。日常生活では摂取量を記録し、代替飲料を活用するなど、カフェインとの健全な付き合い方を実践することが大切です。
気になる症状がある方や依存状態が疑われる方は、医療機関に相談し、適切な支援を受けることをおすすめします。カフェインは適量であれば日常生活を豊かにする有益な物質ですが、過剰摂取には十分な注意が必要です。正しい知識を持ち、自身の身体と向き合いながら、安全にカフェインを活用していきましょう。



