「腎移植」という選択肢。知っておきたいメリットと移植後の生活とは【医師解説】

腎移植は、慢性腎臓病の根本的な治療法として位置づけられています。成功すれば透析から解放され、より自由な生活を送ることが可能になります。ただし、移植を受けるためには条件があり、移植後も継続的な管理が必要です。メリットとリスクを十分に理解した上で、選択することが大切です。

監修医師:
井筒 琢磨(医師)
2014年 宮城県仙台市立病院 医局
2016年 宮城県仙台市立病院 循環器内科
2019年 社会福祉法人仁生社江戸川病院 糖尿病・代謝・腎臓内科
所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本不整脈心電図学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心エコー学会
目次 -INDEX-
腎移植という選択肢
腎移植は、慢性腎臓病の根本的な治療法の一つです。透析からの離脱が可能になり、生活の質を改善できる可能性があります。
腎移植の種類と手順
腎移植には、生体腎移植と献腎移植があります。生体腎移植は、健康な家族などから腎臓の提供を受ける方法です。献腎移植は、脳死または心停止後に提供された腎臓を移植する方法です。日本では、生体腎移植の割合が高い状況にあります。
腎移植を受けるには、さまざまな検査と評価が必要です。移植に耐えられる体力があるか、感染症がないか、組織の適合性はどうかなどが調べられます。また、移植後に必要な免疫抑制薬を適切に服用できるかも重要なポイントです。
移植手術は、通常4〜6時間程度で行われます。提供された腎臓は、下腹部に移植されます。元の腎臓は、特別な理由がない限り取り出さず、そのまま残されます。移植後は、拒絶反応を防ぐために免疫抑制薬を継続的に服用します。
移植後の経過が順調であれば、透析から離脱し、食事制限も緩和されます。ただし、定期的な通院と検査は必要です。また、免疫抑制薬の服用により、感染症のリスクが高まるため、注意が必要です。
移植のメリットと課題
腎移植のメリットは、透析からの解放です。週に数回の通院が不要になり、時間的な制約が減ります。食事や水分の制限も緩和され、旅行や趣味など、より自由な生活を送れるようになります。貧血や疲労感なども改善し、体調が良好になることが期待できます。
しかし、腎移植にも課題があります。まず、ドナー(提供者)の確保が難しいことです。献腎移植の場合、長期間の待機が必要になることがあります。生体腎移植の場合、ドナーとなる家族にも手術のリスクがあります。
移植後の拒絶反応も課題です。身体が移植された腎臓を異物と認識し、攻撃することがあります。これを防ぐために免疫抑制薬を服用しますが、薬には副作用があり、感染症のリスクも高まります。また、移植された腎臓が永久に機能し続けるとは限らず、再び透析が必要になることもあります。
経済的な面も考慮すべき点です。移植手術や免疫抑制薬の費用は、健康保険が適用されますが、自己負担額もあります。ただし、長期的には透析を続けるよりも費用が抑えられる場合もあります。これらのメリットとリスクを十分に理解した上で、移植を検討することが大切です。
まとめ
慢性腎臓病は、早期発見と適切な管理により、進行を遅らせることが可能な病気です。健康診断でクレアチニン値の異常を指摘された場合は、速やかに医療機関を受診し、精密検査を受けることが重要です。
食事療法、薬物療法、生活習慣の改善を組み合わせた総合的なアプローチにより、腎臓の機能を守ることができます。定期的な検査で状態を把握し、医師や管理栄養士と相談しながら、自分に合った治療を続けていきましょう。
病気の進行には個人差があり、治療の効果も異なります。不安や疑問があれば、遠慮せず医療スタッフに相談することをおすすめします。適切なサポートを受けながら、前向きに病気と向き合うことが大切です。




