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ほくろ発生の仕組みとメラノーマのリスク!紫外線対策と定期チェックで皮膚を守る

 公開日:2025/12/25
ほくろの発生メカニズムと予防

ほくろの発生にはメラノサイトの局所的な増殖と分化の異常が関与し、母斑細胞へと変化することで良性腫瘍として安定します。しかしメラノーマでは遺伝子変異の蓄積により増殖制御が破綻し、浸潤や転移能を獲得します。紫外線対策は日焼け止めや帽子、長袖の着用などで行い、特に幼少期からの習慣化が重要です。慢性的な刺激を避け、定期的な皮膚チェックを行うことで、ほくろの変化を早期に捉えることができます。

高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

ほくろの発生メカニズムと予防

ほくろの発生には、メラノサイトの局所的な増殖と分化の異常が関与します。正常なメラノサイトは表皮の基底層に単独で分布し、周囲の角化細胞に色素を供給しますが、ほくろではメラノサイトが集簇し、母斑細胞へと変化します。母斑細胞は通常のメラノサイトとは異なる形態と機能を持ち、増殖能力が制限されているため良性腫瘍に留まります。

しかしメラノーマでは、遺伝子変異の蓄積により増殖制御が破綻し、無秩序な増殖と浸潤・転移能を獲得します。BRAF、NRAS、KITなどの遺伝子変異がメラノーマの発症に関与することが明らかになっており、これらの変異を標的とした治療法も開発されています。

紫外線対策とほくろの予防

ほくろの増加やメラノーマの発症を抑えるためには、紫外線対策が重要です。日焼け止めはSPF30以上、PA+++以上のものを選び、2〜3時間ごとに塗り直します。帽子や長袖の衣服、日傘などで物理的に遮光することも有効です。特に午前10時〜午後2時の紫外線が強い時間帯は、屋外活動を控えるか十分な対策を講じます。

幼少期からの紫外線対策は、生涯のほくろの数やメラノーマリスクを減少させる可能性があります。子どもの皮膚は薄くデリケートであるため、日焼けによるダメージを受けやすく、将来の皮膚トラブルにつながります。学校行事や屋外スポーツの際も、保護者や指導者が適切な紫外線対策を促すことが望まれます。

日常的な紫外線対策を習慣化することで、皮膚の健康を長期的に守ることができます。季節を問わず、年間を通じた対策が推奨されます。

生活習慣とほくろの管理

ほくろへの慢性的な刺激は避けることが推奨されます。衣服の縫い目や下着の締め付けで繰り返し摩擦を受ける部位のほくろは、変化しやすい可能性があります。髭剃りで頻繁にほくろを傷つける場合は、切除を検討するのも一つの選択肢です。爪で引っ掻いたり、意図的にほくろを刺激したりする行為は控えましょう。

定期的な全身の皮膚チェックは、ほくろの変化を早期に捉える手段として有効です。鏡を使って背中や臀部など見えにくい部位も確認し、家族に協力してもらうのも良いでしょう。写真記録を残しておくと、経時的な変化を客観的に評価できます。異常を感じた場合は自己判断せず、皮膚科専門医の診察を受けることが大切です。

日常的な観察と適切な管理により、ほくろの変化を早期に発見し、必要に応じて適切な対応をとることができます。

まとめ

ほくろは日常的に目にする皮膚病変ですが、時に悪性黒色腫であることがあります。形状の非対称性、辺縁の不整、色調の不均一、直径の増大、経時的変化といった特徴を持つ場合は、早期に皮膚科を受診することが重要です。

メラノーマは早期発見により治療の選択肢が広がり、予後の改善が期待できます。日常的な皮膚の観察を習慣化し、異常があれば自己判断せずに専門医の診察を受けることが大切です。

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