バセドウ病は遺伝する?発症リスクを高める家族歴とストレスや喫煙、妊娠などの環境要因

バセドウ病の発症には遺伝的な素因と環境からの刺激が複雑に絡み合っています。完全に予防することは難しいものの、発症リスクを高める要因を知っておくことは重要です。ここでは家族歴や生活環境がどのように関わっているのかを解説します。。

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)
目次 -INDEX-
遺伝的要因と環境要因
バセドウ病の発症には遺伝的な素因と環境要因の両方が関与していると考えられています。完全に予防することは困難ですが、リスク要因を知ることは重要です。
遺伝的素因の関与
バセドウ病には家族集積性があることが知られており、血縁者にバセドウ病や他の自己免疫性甲状腺疾患(橋本病など)の方がいる場合、発症リスクが高まります。一卵性双生児の研究では、一方がバセドウ病を発症した場合、もう一方も発症する確率が20から30パーセント程度あると報告されています。
特定の遺伝子型(HLA型など)がバセドウ病の発症と関連することも明らかになっています。ただし、遺伝的素因を持っているからといって必ず発症するわけではなく、環境要因との相互作用が重要と考えられています。家族歴がある方は定期的な健康診断で甲状腺機能をチェックすることが推奨されます。
環境要因とトリガー
遺伝的素因を持つ方が環境要因に曝露されることで、バセドウ病が発症すると考えられています。具体的な環境要因としては、過度のストレス、感染症、妊娠・出産、喫煙などが挙げられます。
特にストレスは免疫システムに影響を与え、自己免疫疾患の発症や悪化に関与することが示唆されています。仕事や人間関係での強いストレス、家族の死別などの大きな精神的負荷の後にバセドウ病を発症するケースが報告されています。また、ウイルス感染などをきっかけに免疫システムが混乱し、自己免疫反応が誘発される可能性も指摘されています。
喫煙はバセドウ病の発症リスクを高めるだけでなく、後述する眼症の悪化因子としても知られています。禁煙は予防と治療の両面で重要です。
まとめ
バセドウ病は多様な症状を引き起こす自己免疫疾患ですが、早期発見と適切な治療により症状をコントロールすることが可能です。動悸や体重減少、手の震え、目の症状など気になる変化があれば、内分泌内科や甲状腺専門外来を受診することが推奨されます。特に女性や若年者、家族歴のある方、喫煙習慣のある方はリスクが高いため注意が必要です。甲状腺機能の検査は血液検査で簡単に行えます。症状を放置すると心臓や骨に影響が出ることもあるため、早めの対処が重要です。適切な治療により多くの方が日常生活を問題なく送れるようになるでしょう。
気になる症状がある場合には、内科・内分泌内科や眼科を受診し、専門的な評価と治療を受けることをおすすめします。




