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食べているのに痩せるのは病気?バセドウ病の初期症状、止まらない動悸と頻脈

 公開日:2025/12/05
バセドウ病の代表的な初期症状

バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、全身にさまざまな症状が現れる自己免疫疾患です。初期の段階では複数の症状が重なって現れることが多く、日常生活のあらゆる場面で身体の変化を感じるようになります。ここでは特に注意すべき初期症状について詳しく解説します。

久高 将太

監修医師
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

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琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。

バセドウ病の代表的な初期症状

バセドウ病の初期症状は多岐にわたり、日常生活のさまざまな場面で現れます。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで全身の代謝が亢進し、身体のあらゆる機能が過活動となった状態となります。

動悸と頻脈の出現

バセドウ病の初期に最も多く見られる症状の一つが動悸です。安静時でも心臓がドキドキと激しく打つ感覚があり、脈拍数が通常よりも明らかに増加します。健康な成人の安静時心拍数は1分間に60から100回程度ですが、バセドウ病の方では100回を超えることも珍しくありません。階段を上る、少し早歩きをするといった軽い運動でも息切れや動悸が強くなり、日常生活に支障をきたすこともあります。夜間の就寝時にも心臓の鼓動が気になって眠れないという訴えも少なくありません。 この動悸は甲状腺ホルモンが心筋に作用し、心拍数や心収縮力を増加させることで生じます。不整脈を伴う場合もあり、特に心房細動と呼ばれる不整脈が出現することがあるため注意が必要です。動悸が続く場合は循環器内科や内分泌内科での精査が推奨されます。

体重減少と食欲の変化

バセドウ病では代謝が亢進するため、食欲が増しているにもかかわらず体重が減少するという特徴的な症状が現れます。通常の食事量、あるいはそれ以上に食べているのに体重が減っていく場合、甲状腺機能の異常を疑う必要があります。1ヶ月に2キログラム以上の体重減少が見られることもあり、意図しないダイエット効果のように感じる方もいらっしゃいますが、これは病的な状態です。 基礎代謝が上がることで常にエネルギーを消費している状態となり、筋肉量も減少しやすくなります。また、消化管の動きが活発になることで下痢や軟便を伴うこともあります。食べても太らないことを喜ぶのではなく、原因不明の体重減少が続く場合は医療機関を受診することが重要です。

まとめ

バセドウ病は多様な症状を引き起こす自己免疫疾患ですが、早期発見と適切な治療により症状をコントロールすることが可能です。動悸や体重減少、手の震え、目の症状など気になる変化があれば、内分泌内科や甲状腺専門外来を受診することが推奨されます。特に女性や若年者、家族歴のある方、喫煙習慣のある方はリスクが高いため注意が必要です。甲状腺機能の検査は血液検査で簡単に行えます。症状を放置すると心臓や骨に影響が出ることもあるため、早めの対処が重要です。適切な治療により多くの方が日常生活を問題なく送れるようになるでしょう。 気になる症状がある場合には、内科・内分泌内科や眼科を受診し、専門的な評価と治療を受けることをおすすめします。

この記事の監修医師