40歳以上や強度近視は要注意!緑内障の発症リスクを高める遺伝や全身疾患の関係

緑内障は誰にでも起こりうる疾患ですが、特定の要因を持つ方はリスクが高くなることが知られています。年齢や遺伝、眼の構造、全身疾患など、さまざまな要因が発症に関わっています。ここでは、緑内障になりやすい方の特徴と、リスク要因について解説します。

監修医師:
柿崎 寛子(医師)
目次 -INDEX-
緑内障になりやすい人の特徴
緑内障は誰にでも起こりうる疾患ですが、特定の要因を持つ方はリスクが高くなることが知られています。リスク要因を理解し、該当する方は定期的な検診を心がけることが予防と早期発見につながります。
年齢と遺伝的要因
緑内障の発症リスクは年齢とともに上昇します。40歳以上では約5%、60歳以上では約10%、70歳以上ではさらに高い割合で緑内障が見られるとされています。加齢に伴い視神経の脆弱性が増すことや、眼の構造的変化が影響していると考えられています。
遺伝的要因も緑内障の発症に大きく関わっています。両親や兄弟姉妹に緑内障の方がいる場合、発症リスクは一般の方と比べて数倍高くなるという報告があります。特定の遺伝子変異が緑内障の発症に関与していることも明らかになってきており、家族歴がある方は若いうちから定期的な検診を受けることが推奨されます。
また、人種による違いも指摘されており、日本人を含むアジア系の方は正常眼圧緑内障が多く、欧米の方と比べて眼圧が正常範囲内でも視神経がダメージを受けやすい傾向があります。このため、眼圧が高くないからといって安心せず、総合的な評価が必要です。
眼の構造と全身疾患
眼の構造的な特徴も緑内障のリスクに影響します。強度近視の方は眼球が大きく引き伸ばされているため、視神経への負担が大きくなりやすく、緑内障を発症しやすいとされています。反対に、遠視の方は眼球が小さく、隅角が狭いため閉塞隅角緑内障のリスクが高まります。
全身疾患では、糖尿病や高血圧、低血圧、睡眠時無呼吸症候群などが緑内障と関連していることが報告されています。糖尿病では血流障害が視神経の健康に悪影響を及ぼし、高血圧や低血圧は眼への血流バランスを崩す可能性があります。睡眠時無呼吸症候群では、夜間の低酸素状態が視神経にダメージを与えると考えられています。
ステロイド薬の長期使用も眼圧上昇の原因となり、ステロイド緑内障と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。点眼薬、内服薬、吸入薬、皮膚に塗る薬など、さまざまな形態のステロイド薬が影響するため、長期使用している方は定期的に眼圧測定を受けることが大切です。
まとめ
緑内障は初期症状に乏しく、進行すると視野が失われる疾患ですが、早期発見と適切な治療により、生涯にわたって良好な視機能を維持することは十分に可能です。40歳を過ぎたら定期的な眼科検診を受け、リスク要因がある方は特に注意深く経過を観察してください。治療の継続が進行を抑える鍵であり、点眼薬や手術によって眼圧をコントロールすることで失明を防ぐことができます。緑内障は「治らない」疾患ですが、「進行を止められる」疾患です。不安や疑問があれば、眼科専門医に相談し、納得のいく治療を選択してください。




