手術したら完治?緑内障術後の点眼・通院の必要性と、一生涯の視機能を守る長期管理

手術後の生活では、眼圧が安定し視野欠損の進行が止まることで、日常を送れるようになる方が多くいらっしゃいます。ただし、術後も継続的な管理が必要です。ここでは、術後の視機能と日常生活への影響、長期的な経過観察の必要性について解説します。

監修医師:
柿崎 寛子(医師)
目次 -INDEX-
緑内障手術後の生活
手術後の生活では、眼圧が安定し視野欠損の進行が止まることで、日常を送れるようになる方が多くいらっしゃいます。ただし、術後も継続的な管理が必要です。
術後の視機能と日常生活
緑内障手術は視野を回復させるものではなく、進行を止めることが目的です。したがって、手術前の視機能が術後も基本的には維持されます。手術直後は眼内の炎症や房水の流れの変化により、一時的に視力が低下することがありますが、通常は数週間で回復します。
術後の眼圧が安定すれば、通常の日常生活に戻ることができます。読書、テレビ視聴、パソコン作業など、眼を使う活動は問題ありません。ただし、術後しばらくは重いものを持ち上げる、激しい運動をする、眼を強くこするといった行為は避けるよう指導されます。
運転については、視野の状態と視力によって判断が異なります。視野欠損が進行している場合は、運転を控えるよう勧められることもあります。眼科医の意見を参考にしてください。
長期的な経過観察の必要性
手術後も定期的な通院は継続します。術後早期は頻繁に受診し、眼圧や炎症の状態を確認します。安定後は3〜6ヶ月ごとの受診が一般的ですが、患者さんの状態に応じて調整されます。
視野検査も定期的に実施し、進行がないか確認します。手術によって眼圧が下がっても、視野欠損が進行する場合は、さらなる治療の追加が必要になることがあります。点眼薬の継続が必要な場合もあり、手術したからといって治療が終わるわけではない点に注意が必要です。
また、片眼だけ手術を受けた場合、もう片方の眼に対する治療も継続します。緑内障は両眼性の疾患であることが多く、手術していない眼の管理も同様に重要です。
長期的には、加齢に伴う他の眼疾患(白内障、加齢黄斑変性など)のリスクも高まるため、総合的な眼の健康管理が求められます。緑内障治療と並行して、他の疾患の早期発見にも努めることが大切です。
まとめ
緑内障は初期症状に乏しく、進行すると視野が失われる疾患ですが、早期発見と適切な治療により、生涯にわたって良好な視機能を維持することは十分に可能です。40歳を過ぎたら定期的な眼科検診を受け、リスク要因がある方は特に注意深く経過を観察してください。治療の継続が進行を抑える鍵であり、点眼薬や手術によって眼圧をコントロールすることで失明を防ぐことができます。緑内障は「治らない」疾患ですが、「進行を止められる」疾患です。不安や疑問があれば、眼科専門医に相談し、納得のいく治療を選択してください。




