子宮頸がんを9割防ぐ!HPVワクチンの種類と効果、接種回数や時期を徹底解説

子宮頸がんの主な原因であるHPV感染を防ぐためには、HPVワクチンの接種が有効です。ワクチンにより感染を未然に防ぎ、将来的ながんリスクを大幅に減らすことが可能です。本章では、ワクチンの種類、予防効果、接種スケジュールについて詳しく紹介します。

監修医師:
西野 枝里菜(医師)
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医
HPVワクチンによる予防の重要性
HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスの感染を予防するワクチンです。現在利用可能なワクチンの種類と効果について詳しく解説します。
HPVワクチンの種類と予防効果
現在、日本で使用可能なHPVワクチンには、4価ワクチン(ガーダシル)と9価ワクチン(シルガード9)があります。これらのワクチンは、それぞれ異なる型のHPVに対する免疫を獲得することができます。
4価ワクチンは、HPV16型、18型、6型、11型に対する予防効果があります。16型と18型は子宮頸がんの原因となる高リスク型で、この2つの型だけで子宮頸がん全体の約70%を占めます。6型と11型は尖圭コンジローマの原因となる低リスク型で、良性の病変を予防します。
9価ワクチンは、4価ワクチンでカバーされる4つの型に加えて、31型、33型、45型、52型、58型の計9つの型に対する予防効果があります。これにより、子宮頸がんの約90%以上を予防することが可能とされています。
ワクチンの接種回数は、初回接種時の年齢により決まります。9〜14歳までに初回接種を行う場合は2回接種、15歳以上で初回接種を行う場合は3回接種が推奨されています。接種間隔は、2回接種の場合は6ヶ月以上、3回接種の場合は2ヶ月後と6ヶ月後に追加接種を行います。
接種対象と適切な接種時期
HPVワクチンの接種対象は、主に小学校6年生〜高校1年生相当の女子とされています。この年齢層は、性交渉を開始する前の時期にあたり、HPV感染前にワクチン接種を行うことで高い予防効果が期待できます。日本では、2013年から定期接種として小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象にHPVワクチン接種が開始されました。しかし、副反応への懸念により積極的勧奨が差し控えられていましたが、令和3年(2021年)に積極的勧奨が再開されました。
接種の際は、医師による十分な説明を受け、本人および保護者が接種の意義とリスクを理解したうえで接種を受けることが重要です。男性への接種についても、尖圭コンジローマの予防やパートナーへの感染予防の観点から、一部の国では推奨されています。日本でも、4価ワクチンは男性への接種が承認されており、個人の判断で接種を受けることが可能です。
まとめ
子宮頸がんは、予防と早期発見により克服可能ながんです。HPVワクチンによる一次予防と定期的な検診による二次予防、さらに異形成段階での適切な治療により、多くの場合で子宮頸がんの発症を防ぐことができます。
正しい知識を持ち、適切な予防行動を取ることで、健やかな人生を送ることができるでしょう。定期的な検診受診と、必要に応じた専門の医師への相談をおすすめします。
参考文献




