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放射線と抗がん剤をどう組み合わせる?進行子宮頸がんの治療スケジュールと副作用

 公開日:2025/12/11
放射線治療と化学療法の役割

進行した子宮頸がんでは、放射線治療と化学療法を組み合わせた治療が標準的です。放射線でがん細胞を破壊し、化学療法で再発を防ぎます。近年は副作用を抑えつつ高精度に照射できる技術も進化しています。ここでは、それぞれの治療法の特徴と実施方法を解説します。

西野 枝里菜

監修医師
西野 枝里菜(医師)

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【経歴】
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医

放射線治療と化学療法の役割

進行した子宮頸がんに対しては、放射線治療と化学療法を組み合わせた集学的治療が標準的な治療です。これらの治療法の特徴と効果について詳しく説明します。

放射線治療の種類と実施方法

子宮頸がんの放射線治療には、身体の外から放射線を照射する外部照射と、放射線源を直接子宮内に挿入する腔内照射があります。多くの場合、これらを組み合わせて治療を行います。

外部照射では、直線加速器を用いて、骨盤部に放射線を照射します。近年では、強度変調放射線治療や画像誘導放射線治療などの高精度な照射技術により、がん病巣に集中的に放射線を照射し、正常組織への影響を抑える工夫が行われています。

腔内照射は、放射線源を腟や子宮内に直接挿入し、近距離から高線量の放射線を照射する方法です。この治療により、がん病巣に効率的に放射線を照射できる一方で、周囲の正常組織への影響を抑えることができます。

放射線治療の効果は、がんの病期や大きさにより異なりますが、適切に実施された場合の治療成績は良好です。特に、化学療法と併用することで、単独治療よりも高い効果が得られることが確認されています。副作用として、急性期には皮膚炎、膀胱炎、直腸炎などが起こることがあります。

化学放射線療法の実際

化学放射線療法は、放射線治療と化学療法を同時期に行う治療法で、局所進行子宮頸がんの標準治療です。

治療スケジュールは、通常5〜6週間にわたって行われます。外部照射を週5回(月曜日から金曜日)実施し、同時に週1回シスプラチンを投与します。外部照射終了後、腔内照射を数回実施します。治療期間中は、定期的な血液検査や画像検査により、治療効果と副作用の確認が行われます。

化学放射線療法の副作用は、それぞれの治療による副作用が重複して現れることがあります。化学療法による副作用として、吐き気・嘔吐、骨髄抑制、腎機能障害、神経障害などがあります。これらの副作用に対しては、適切な支持療法や薬物治療により対処されます。治療効果は、画像検査や腫瘍マーカーの測定により評価されます。完全寛解が得られた場合の予後は良好ですが、定期的な経過観察により再発の早期発見に努めることが重要です。

まとめ

子宮頸がんは、予防と早期発見により克服可能ながんです。HPVワクチンによる一次予防と定期的な検診による二次予防、さらに異形成段階での適切な治療により、多くの場合で子宮頸がんの発症を防ぐことができます。
正しい知識を持ち、適切な予防行動を取ることで、健やかな人生を送ることができるでしょう。定期的な検診受診と、必要に応じた専門の医師への相談をおすすめします。

この記事の監修医師