子宮頸がんのステージ(病期)分類とは?I〜IV期の特徴とMRI・CTなどの画像診断

子宮頸がんの治療を決定するには、正確な病期(ステージ)の評価が欠かせません。国際的に用いられるFIGO分類では、がんの広がりや転移の有無によりI〜IV期に区分されます。ここでは、各病期の特徴と、MRIやCTなどによる画像診断の役割について詳しく解説します。

監修医師:
西野 枝里菜(医師)
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医
子宮頸がんの病期分類と評価方法
子宮頸がんの治療方針を決定するうえで、病期(ステージ)の正確な評価は極めて重要です。病期分類の基準と各段階での特徴について詳しく解説します。
FIGO分類による病期の区分
子宮頸がんの病期分類には、国際産婦人科連合(FIGO)による分類が世界的に用いられています。この分類は、がんの大きさ、周囲組織への浸潤の程度、リンパ節転移、遠隔転移の有無に基づいて、I期からIV期まで分類されます。
I期は、がんが子宮頸部の中にとどまっている初期の段階です。I期はさらに細分化され、IA期では顕微鏡でのみ確認できる小さながん(微小浸潤がん)で、浸潤の深さによりIA1期とIA2期に分けられます。
IB期は肉眼的に確認できる病変で、がんの大きさによってIB1期(4cm以下)、IB2期(4cmを超える)、IB3期などに細かく分類されます。
II期は、がんが子宮頸部を越えて広がっているが、骨盤壁や腟の下3分の1には達していない段階です。IIA期では腟の上3分の2までの浸潤、IIA1期(がんの大きさが4cm以下)とIIA2期(4cmを超える)に分かれます。
IIB期では子宮傍結合組織への浸潤が認められます。この段階では、手術治療と放射線治療のいずれも治療選択肢となります。
III期は、がんが骨盤壁まで達するか、腟の下3分の1に浸潤している段階、または水腎症や腎機能障害を伴う段階です。IIIA期では腟の下3分の1への浸潤、IIIB期では骨盤壁への浸潤または水腎症、IIIC期ではリンパ節転移が確認された段階です。III期では、主に放射線治療と化学療法の併用治療が選択されます。
IV期は、がんが骨盤の外にまで広がった最も進行した状態です。IVA期では膀胱や直腸など隣接臓器に浸潤し、IVB期では肺や肝臓、骨など遠くの臓器に転移しています。この段階では、放射線治療や化学療法を中心に、症状を和らげながら生活の質を保つ治療が行われます。
画像診断による病期評価の重要性
正確な病期評価のためには、画像診断が重要な役割を果たします。CT検査、MRI検査、PET検査などが用いられ、それぞれ異なる情報を提供します。
MRI検査は、子宮頸がんの局所浸潤の評価に優れており、がんの大きさ、子宮体部や腟への浸潤、子宮傍結合組織への浸潤の有無を詳細に評価できます。また、リンパ節の腫大も確認でき、治療方針の決定に重要な情報を提供します。
CT検査は、胸部から骨盤部までの広範囲を一度に撮影でき、リンパ節転移や遠隔転移の評価に有用です。また、腎臓の機能や尿路の状態も確認でき、治療計画の立案に重要な情報を提供します。
PET検査は、がん細胞の代謝活性を利用した検査で、全身のがん病巣を一度に検出できます。特に、リンパ節転移や遠隔転移の検出に優れており、通常の画像検査では発見が困難な小さな転移巣も発見できる可能性があります。ただし、炎症性病変でも陽性になることがあるため、ほかの検査結果と総合的に判断することが重要です。
まとめ
子宮頸がんは、予防と早期発見により克服可能ながんです。HPVワクチンによる一次予防と定期的な検診による二次予防、さらに異形成段階での適切な治療により、多くの場合で子宮頸がんの発症を防ぐことができます。
正しい知識を持ち、適切な予防行動を取ることで、健やかな人生を送ることができるでしょう。定期的な検診受診と、必要に応じた専門の医師への相談をおすすめします。
参考文献



