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リバウンドしない体へ! 「肥満症の食事療法」科学的根拠に基づく基本原則【医師解説】

 公開日:2025/11/19
肥満症における食事療法の基本原則

食事療法は、肥満症治療の根幹をなす重要な治療法の一つです。科学的根拠に基づいた栄養管理により、健康的な体重減少と長期的な体重維持を実現することが主要な目標となります。適切なエネルギー収支と栄養バランスの両立について、具体的な方法を詳しく解説します。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

肥満症における食事療法の基本原則

食事療法は、肥満症治療の根幹をなす重要な治療法の一つです。適切な栄養摂取により、健康的な体重減少と長期的な体重維持を実現することが主要な目標となります。

科学的根拠に基づいた食事療法の考え方

現代の肥満症食事療法は、栄養学的な科学的根拠に基づいて体系化されています。エネルギー収支の原理に基づき、摂取エネルギーが消費エネルギーを下回る状態を作り出すことで、体重減少を図ります。しかし、単純なカロリー制限だけでなく、栄養バランスの維持が重要な要素となります。

マクロ栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)の適切な配分により、筋肉量の維持と代謝機能の保持を図ります。タンパク質の十分な摂取は、筋肉量の維持と食後の熱産生増加に重要な役割を果たします。炭水化物は、質の良い複合炭水化物を中心とし、血糖値の急激な上昇を避けることが推奨されています。

脂質についても、必須脂肪酸の摂取を確保しながら、総摂取量の適切な管理が必要です。食物繊維の十分な摂取は、満腹感の向上と消化管機能の改善に寄与します。また、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素の不足を防ぐため、多様な食品群からの栄養摂取が重要とされています。食事のタイミングや頻度も治療効果に影響を与えるため、規則正しい食事リズムの確立も指導の重要な要素です。

個別化された食事計画の作成方法

効果的な食事療法のためには、患者さん一人ひとりに適した個別化された食事計画の作成が不可欠です。年齢、性別、身体活動レベル、既往歴、嗜好などを総合的に考慮し、実現可能で継続可能な計画を策定します。

基礎代謝量の算出により、個々の患者さんに必要な基本的エネルギー需要を把握します。これに身体活動レベルを加味して、総エネルギー消費量を推定し、体重減少のための適切な摂取エネルギー量を設定します。一般的には、現在の摂取量から500~1,000kcal程度の減量により、週0.5~1kgの体重減少が目標とされています。

食品交換表や食事バランスガイドなどのツールを活用し、栄養バランスの取れた食事内容を具体的に提案します。患者さんの生活スタイルや調理技術、経済的条件なども考慮し、実行可能な食事内容を提案することが重要です。外食の頻度が高い患者さんには、外食時の選択方法についても具体的な指導を行います。食事記録の活用により、自己管理能力の向上を図り、治療への主体的な参加を促進します。

まとめ

肥満症治療は多面的なアプローチが重要であり、薬物療法、漢方治療、食事療法それぞれに特徴と適応があります。患者さん個々の状態に応じた治療法の選択と、継続可能な治療計画の策定が成功の鍵となります。今後も新しい治療選択肢の開発と制度改善により、より効果的な肥満症治療の提供が期待されます。
肥満症の治療は、単なる「ダイエット」ではなく、健康寿命を延ばすための医療的取り組みです。薬物療法、漢方、食事療法のいずれも、医師の指導のもとで正しく行うことで効果が期待できます。一人で悩まず医師に相談して、自分に合った治療法を見つけましょう。

この記事の監修医師