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実は危険なイソフラボン不足:動脈硬化から糖代謝異常までの生活習慣病リスクとは

 公開日:2025/12/05

イソフラボンの不足は、更年期症状や骨密度だけでなく、生活習慣病の発症リスクにも関わってきます。心血管系や代謝機能にも重要な役割を果たすイソフラボンが不足することで、さまざまな健康リスクが高まる可能性があります。ここでは、イソフラボン不足と生活習慣病の関連性について、科学的な根拠とともに詳しく説明します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

イソフラボン不足による生活習慣病への影響

イソフラボンの不足は、生活習慣病の発症リスクにも影響を与える可能性があります。

心血管疾患リスクの増加

イソフラボンには、血管内皮機能を改善し、動脈硬化の進行を抑制する作用があることが報告されています。不足することで、血管の柔軟性が失われ、高血圧や動脈硬化のリスクが高まる可能性があります。 LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化を抑制し、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加させる作用も期待されるため、不足すると脂質異常症のリスクが高まることが考えられます。 血小板の凝集を抑制し、血栓形成を予防する作用もあることから、不足すると心筋梗塞や脳梗塞などの血栓性疾患のリスクが増加する可能性があります。 血圧調節にも関与しており、不足することで血圧の上昇や変動が生じやすくなることが報告されています。特に更年期以降の女性では、エストロゲン減少による血圧上昇をイソフラボンが緩和する効果が期待されています。

代謝機能への影響

イソフラボンは、糖代謝にも影響を与えることが知られています。インスリン感受性を改善し、血糖値の安定化に寄与する作用があるため、不足すると2型糖尿病のリスクが高まる可能性があります。 脂肪代謝にも関与しており、内臓脂肪の蓄積を抑制する効果が期待されています。不足することで、メタボリックシンドロームの発症リスクが高まることが懸念されます。 肝機能にも好影響を与えることが報告されており、脂肪肝の予防や改善に役立つとされています。不足すると、肝臓での脂質代謝が悪化し、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のリスクが高まる可能性があります。 基礎代謝の維持にも関与している可能性があり、不足すると代謝率が低下し、体重増加や肥満のリスクが高まることが考えられます。

まとめ

イソフラボンは大豆製品を中心とした食品に豊富に含まれ、女性ホルモン様作用により更年期症状の軽減や骨粗鬆症の予防などの健康効果が期待されています。適切な摂取量は1日30-50mgとされていますが、不足すると更年期症状の悪化や骨密度低下のリスクが高まり、過剰摂取するとホルモンバランスの乱れや消化器症状などの副作用が生じる可能性があります。日常の食事で納豆、豆腐、豆乳などをバランス良く取り入れ、個人の体質や生活習慣に応じて摂取量を調整することが重要です。

この記事の監修医師