「トキソプラズマ症」という感染症はご存知ですか?感染経路や症状を解説!
私たちの身の回りには、さまざまな微生物が存在しています。その中には、私たちの健康に影響を及ぼす可能性のあるものも含まれています。
トキソプラズマ症は、その中でも特に注意が必要な感染症の一つです。
この病気は、日常生活の中での接触の可能性が高いにも関わらず、その詳細や予防方法について十分に知られていないことが多いのが現状です。この記事では、トキソプラズマ症の原因・症状について詳しく解説していきます。
正しい知識を身につけ、自身と家族の健康を守るための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
※この記事はMedical DOCにて『「トキソプラズマ症」という感染症はご存知ですか?感染経路や症状を解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
トキソプラズマ症の原因や感染経路
トキソプラズマ症とはどのような病気ですか?
感染初期には、特に症状が現れないか、現れたとしても風邪のような軽度の症状であることが一般的です。しかし免疫力が低下している人、特にHIV感染者・移植患者・妊娠中の女性が感染すると、脳・眼・その他の臓器に合併症を引き起こすリスクが高まります。
妊娠初期に感染すると胎児に重大な影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。またトキソプラズマ症は非常に一般的な感染症であり、世界の人口の約1/3が一度は感染した経験があるともいわれています。
このことからも、その感染の広がりと重要性が伺えます。
原因となる病原体を教えてください。
特に、猫はこの原虫の最終宿主として知られており、感染した猫が排泄する糞には感染力のあるオーシストと呼ばれる形態の原虫が含まれています。
感染経路について教えてください。
1つ目の経路は、感染した猫が排泄する糞に存在するオーシストです。具体的には、そのオーシストに直接触れたり、オーシストに汚染された土や水を手につけてその後口に運ぶことで感染する可能性があります。特に、猫のトイレの掃除やガーデニングを行う際は注意が必要です。
2つ目の経路は、食事を通じた感染です。感染した動物の生肉や内臓を調理不足のまま摂取することで、トキソプラズマに感染するリスクが高まります。特に、生肉・刺身・タタキなどの生食品を摂取する際は、十分な加熱や処理が行われているか確認することが大切です。
3つ目の経路は、妊娠中の母親から胎児への垂直感染です。感染した母親が妊娠中に胎児にも感染させてしまう場合があります。これらの感染経路を理解し、適切な予防策を講じることで、感染のリスクを大きく低減できます。
妊娠中の女性が感染すると危険なのですか?
この母子感染は、妊娠初期に特に注意が必要です。妊娠初期に母子感染すると、胎児に重大な影響を及ぼす可能性が高まります。胎児への感染が起こると、新生児において視覚・聴覚の障害・脳の発育障害・黄疸・発育不全などの合併症が生じかねません。
また、最悪の場合、流産や死産の原因となる可能性もあります。このため、妊娠中の女性は特に感染予防に注意を払う必要があります。
どのような症状が出るのですか?
しかし、免疫力が低下している人では、脳炎・肺炎・視神経炎などの神経系の症状や心筋炎・肝炎などの臓器障害が起こることがあることには注意が必要です。また、妊婦が感染した場合、自身は軽症であっても、胎児への影響が懸念されます。
編集部まとめ
トキソプラズマ症は、トキソプラズマ・ゴンディイという原虫によって引き起こされる感染症であり、世界の1/3以上の人々が一度は感染した経験があるといわれています。
多くの健康な成人では症状が出ないことが多いものの、免疫が低下している人や妊娠中の女性にとっては、重篤な症状や合併症のリスクがあるため注意が必要です。
感染の主な経路は、生肉の摂取や猫の糞を介した経路が知られています。特に妊娠中の女性は、新生児への感染リスクを避けるため、生肉の摂取や猫の糞の取り扱いに注意が必要です。
治療に関しては、特定の薬剤を用いることで効果的に治療することが可能ですが、予防が最も重要です。日常生活での基本的な衛生管理や食事の取り扱いに注意を払うことで、感染のリスクを低減できます。
最後に、トキソプラズマ症に関する正しい知識を持ち、日常の予防策を実践することで、私たち自身と大切な家族の健康を守れます。この記事を通じて、トキソプラズマ症についての理解を深め、予防の大切さを再認識していただければ幸いです。