「縦隔炎」の治し方はご存知ですか?“5つの治療法”と治療期間が長引く原因を解説!

早期発見と早期治療が重要である縦隔炎は、発症頻度は比較的少ないものの重篤化しやすいのが特徴です。
「そもそも縦隔とはどこの部位を指すのだろう?」、「縦隔炎はどのような原因によって起こるのだろう?」など、様々な疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
縦隔炎は一般的に聞き馴染みが少ない一方で、抜歯などの歯科治療後にも起こりうる身近な疾患です。
この記事では縦隔炎の診断や治療方法について解説しているため、縦隔炎について詳しく知りたい方はぜひ記事を参考にしてください。
※この記事はメディカルドックにて『「縦隔炎」の症状や原因はご存じですか?早期発見が重要で糖尿病の方は要注意!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
縦隔炎の診断と治療

縦隔炎はどのように診断されますか?
縦隔炎の治療方法を教えてください。
2つ目は頚部ドレナージ治療です。感染を強く起こしている病巣部に「ドレーン」と呼ばれる細い管を挿入し、膿性分泌物を排出させる方法です。炎症の範囲が頸部から縦隔の上部に留まっている場合に効果的とされます。
3つ目は胸骨切開による縦隔・胸腔ドレナージ治療です。感染の範囲が下部縦隔や後部縦隔に達している場合、頚部からのドレーン挿入では十分な治療効果を得られません。
そのため、胸部の切開を伴う縦隔感染巣へのドレナージ挿入が必要となります。この方法は胸膜の切開と膿汁の排出を行い、炎症を起こしている縦隔を十分に洗浄した上で、ドレーンを挿入する手術方法となります。
4つ目は局所陰圧閉鎖療法(NPWT)です。局所陰圧閉鎖療法(NPWT)は、感染部位に対して創部を密閉した状態で陰圧をかけて治療を行います。
5つ目は大胸筋皮弁による胸壁再建術です。胸壁再建術では、「デブリードマン」と呼ばれる感染を起こしている組織の除去と、それに伴う組織欠損部へ大胸筋を移植し血管吻合する手術を行います。
治療期間はどのくらいですか?
一方で、下部縦隔や後部縦隔まで炎症が広がっている際に必要な「開胸術による縦隔・胸腔ドレナージ治療」を行った場合、治療期間は手術実施に伴う全身状態が大きく影響します。手術後の循環動態や呼吸状態などが安定しない場合に追加で治療が必要になることや、全身状態の不安定さが結果的に炎症傾向増悪となることは、治療期間延長となる原因のひとつです。
また縦隔炎は原因不明の場合も多く、その場合は抗生物質が効かないことで症状が悪化するなど、治療期間の延長につながります。このように治療期間は「手術実施の有無」や、「原因がはっきりしているか」に左右されます。
編集部まとめ

縦隔炎とは胸部の縦隔と呼ばれる部位に炎症が生じる疾患で、降下性壊死性縦隔炎・食道裂孔に伴うもの・気道損傷に伴うもの・結核等の感染症によるもの・開心術後の縦隔炎など、起こりうる原因は様々です。
特に、口咽頭腫瘍や頸部外傷に伴う腫瘍が筋膜に沿って縦隔へ至る「降下性壊死性縦隔炎」は、最も重症度が高く致死率が高いとされています。
また原因や症状によって治療期間も様々であり、原因がはっきりせず薬物療法の効果が上手く得られない場合や、手術後の全身状態によって治療が数か月に及ぶ場合もあります。
このように縦隔炎は重篤となるリスクが高い疾患であり、早期発見と早期治療が重要なため、症状が見られた場合はすみやかに医師の診察を受けることが大切です。