目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「腹膜播種の予後」は良好?不良?再発の可能性も解説!【医師監修】

「腹膜播種の予後」は良好?不良?再発の可能性も解説!【医師監修】

 公開日:2024/12/24

胃腸などの臓器で、日頃からその箇所の不調を持たれている方は聞かなくてもいらっしゃると思います。

一番気になる病気といえば胃癌などが有名どころだとあげられますね。けれど胃癌などの、癌関連の疾患である腹膜播種とはどのような病気なのかご存じですか?

意外と知られていないので、文字からは一見わかりにくいとのイメージを持たれたかと思います。

そこで今回は腹膜播種の症状と治療方法などについてやさしく紹介させていただきます。

※この記事はMedical DOCにて『「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」という初期症状のない「がん」はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

阿部 一也

監修医師
阿部 一也(医師)

プロフィールをもっと見る
医師、日本産科婦人科学会専門医。東京慈恵会医科大学卒業。都内総合病院産婦人科医長として妊婦健診はもちろん、分娩の対応や新生児の対応、切迫流早産の管理などにも従事。婦人科では子宮筋腫、卵巣嚢腫、内膜症、骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌や卵巣癌の手術や化学療法(抗癌剤治療)も行っている。PMS(月経前症候群)や更年期障害などのホルモン系の診療なども幅広く診療している。

腹膜播種(ふくまくはしゅ)の予後

医師

腹膜播種の余命について教えてください。

腹膜播種の患者の平均的な余命は、個人差が大きいため一概にいえず予後は極めて不良です。上に書いた通り胃癌が手術後再発してしまい、更に腹膜播種に転じてしまうと、腹膜播種の腹膜で癌細胞が広く散らばってしまう特性から患部の切除などを行なっても、完全に治すことは難しいといわれています。
特に今の医療現場ではスキルス胃癌や膵癌からによる腹膜播種は癌の進行が速く、抗癌剤への抵抗力も強いため予後は厳しいとされるのが見解です。一方、卵巣癌や大腸癌は腹膜内に大きな塊として点在し、抗がん剤や切除の方法が取りやすいので予後も確保できる傾向が見られます。

腹膜播種は再発することがありますか?

現状は腹膜播種に罹ると腹膜の中でも癌細胞が見えない箇所に転移している可能性があるので、術後に再発することが多いです。腹膜播種は手術で完全に取りきることは難しく、仮に取りきれたと思っている場合でも腹膜に広く発症しており、既に対応ができない場合もありますので、再発を抑えるためにも抗癌剤治療を進める処置が取られる傾向です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

腹膜播種は医師の元でしっかりした治療が行われるべき病気です。現在、腹膜播種に罹らないように予防する方法は発見されていません。そして腹膜播種に対抗できる主な治療方法は全身化学治療です。
また全身化学治療は手法が確立されて一定の成果が見られますので、多くの病院では抗癌剤治療で奏効率を少しでも上げる対応を患者さんに取る方針です。同様に腹膜播種に伴う症状に対抗するための緩和治療も行い、できるだけ苦痛のない症状に合わせた緩和ケアの重要性も示されている現状もみられています。
それに加えて、患者さんにも全身化学療法と緩和ケアを少しでも進める姿勢を大切にしてもらいたいポイントです。

編集部まとめ

男性医師
いかがでしたか。

この記事は腹膜播種についての症状や治療法などを書かせていただいております。

腹膜内に癌細胞が広がってしまうと発症するということでしたが、広まってしまうと完全に癌細胞を取り除くことが難しくなるという疾患でした。

一か所に癌ができること自体が大変なのにその上広がるなんて、それだけでも身構えてしまいそうになる疾患でしたね。

癌になるとそれに伴う疾患なども気になることと思いますが、少しでも治療の方向はあると信じたいものです。

そこで覚えておきたいことは、個人の独断と偏見で治療方法を決めるのではなくどのような疾患であろうと、それに合った適切な医療を受けることが大切だということです。

まだ根治が大変だといわれている腹膜播種のような病気であっても、治療法が確立されているものもありますので、着実に治療を進めましょう。

この記事の監修医師