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「腹膜播種」という「がん」に初期症状はある?進行すると現れる症状も解説!

 公開日:2024/12/23

胃腸などの臓器で、日頃からその箇所の不調を持たれている方は聞かなくてもいらっしゃると思います。

一番気になる病気といえば胃癌などが有名どころだとあげられますね。けれど胃癌などの、癌関連の疾患である腹膜播種とはどのような病気なのかご存じですか?

意外と知られていないので、文字からは一見わかりにくいとのイメージを持たれたかと思います。

そこで今回は腹膜播種の症状と治療方法などについてやさしく紹介させていただきます。

※この記事はMedical DOCにて『「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」という初期症状のない「がん」はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

腹膜播種(ふくまくはしゅ)の概要や症状

お腹を抑える女性

腹膜とはどのようなものですか?

腹膜とは、胃や腸などといった臓器と腹部の壁の全体、または一部の内臓を覆っている極めて薄い膜のことを指します。全体の大きさは1,7~2.0平方メートルで広く、腹膜自体は半透膜で、細い血管が網の目のように張り付いているような形状です。
腹膜は接している臓器の動きをスムーズに動かしながら保護する役割を果たします。

腹膜播種とはどのような病気ですか?

人間の腹部は「腹膜」に包まれており、この中に内臓が含まれているのです。癌の発生というのは内包されている、例えば胃であったら臓器の内側の粘膜から発生することが通説とされています。
しかし、この癌が成長して内側の粘膜から臓器の壁を破って表面まで進出し、臓器の表面から剥がれ、癌細胞が腹膜の中に広まることで腹膜播種といわれる状態になるのです。腹膜播種の由来について病名に「種を播く」という言葉が入っていますが、まさに腹膜の中に癌の種が播かれたような、広範囲に癌が成長をすることから名付けられました。
また普段の生活の中で腹膜播種について触れる機会は少ないですが、日本人に多い胃癌に罹患した患者さんで亡くなられる大半の人が腹膜播種に侵されるとされ、とりわけ珍しい病気ではありません。癌細胞のリンパ節への転移・肝転移と比べても転移率が高い疾患といえますね。
しかし、現在の医療のレベルでも腹膜播種はステージ4の末期の疾患とされています。

初期症状を教えてください。

癌細胞がはがれ落ちたばかりの時の播種は初期段階では症状が現れず、そのため超音波検査やCT検査を行ったとしても発見に至ることがないのが現在の医療の限界です。またCT検査などでは画像検査だけだと腹膜播種の診断を下すことはできず、その結果手術時に広く転移している様子が初めて発見され、手術せずにお腹を閉じるとなる症例も少なくありません。
他の病気であれば初期症状がみられることは度々ありますが、腹膜播種は患者自体が初期症状を感じない、または明確な症状がないため初手が打てない、これが腹膜播種の難しいところです。

進行するとどのような症状が出るのでしょうか?

進行すると症例としては

  • 小腸や大腸の通りが悪くなる腸閉塞
  • 腹部の膨張感、それに伴う嘔吐・痛み・便秘
  • 腹水がたまる
  • 胆道に異常をきたし黄疸が出やすくなる
  • 尿管が狭くなり水腎症になる

などがあげられます。なおこのように腹部の膨張や吐き気などの自覚症状が出てきてから、超音波検査やCT検査で異常が見つかるようになります

編集部まとめ

男性医師
いかがでしたか。

この記事は腹膜播種についての症状や治療法などを書かせていただいております。

腹膜内に癌細胞が広がってしまうと発症するということでしたが、広まってしまうと完全に癌細胞を取り除くことが難しくなるという疾患でした。

一か所に癌ができること自体が大変なのにその上広がるなんて、それだけでも身構えてしまいそうになる疾患でしたね。

癌になるとそれに伴う疾患なども気になることと思いますが、少しでも治療の方向はあると信じたいものです。

そこで覚えておきたいことは、個人の独断と偏見で治療方法を決めるのではなくどのような疾患であろうと、それに合った適切な医療を受けることが大切だということです。

まだ根治が大変だといわれている腹膜播種のような病気であっても、治療法が確立されているものもありますので、着実に治療を進めましょう。

この記事の監修医師