目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「十二指腸がん」の合併症となる病気はご存知ですか?治療法も解説!【医師監修】

「十二指腸がん」の合併症となる病気はご存知ですか?治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2025/01/26

十二指腸がんは自覚できる初期症状がほぼ出ないため早期発見が難しいとされています。

また十二指腸がんを含む小腸のがんは、消化器系の癌の中でも5パーセント以下のめずらしい癌です。

一般的にあまり知られていない癌のため、十二指腸がんを疑われたりステージが進んでいると言われたりした方は非常に不安な思いをしているのではないでしょうか。

診断・検査など、十二指腸がんについて知っておきたい項目を詳しく解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「十二指腸がん」を疑う症状・原因はご存知ですか?ステージについても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

十二指腸がんの診断と検査

医師

どのような検査で十二指腸がんと診断されますか?

十二指腸がんの診断には一般的に以下の検査を行います。

  • 血液検査
  • 腹部CT検査
  • 内視鏡検査

血液検査では腫瘍マーカーと呼ばれる癌より作られる特徴的なタンパク質の有無や量などを調べます。腫瘍マーカーの値が高ければ癌があると推測できますが、どこに発生しているのかまでは特定できません。CT検査や内視鏡検査での癌の発生個所の特定が必要です。
内視鏡検査は胃カメラ・カプセル内視鏡などがあります。また癌の確定診断には細胞組織が必要です。多くの場合は内視鏡検査と同時に変異した細胞を採取し癌の診断をします。

治療方法を教えてください。

十二指腸がんの治療方法は大きく分けると「外科的な手術」と「化学療法」に分かれ、癌が切除できる大きさであれば外科的な手術で切除します。体への負担を考えると小さな病変であれば内視鏡で切除するのが望ましいのですが、内視鏡で切除しきれない大きさの場合は開腹手術です。
前もって抗がん剤による化学療法で病変を小さくし手術で切除する場合もあります。十二指腸がんが進行し手術では切除できないと判断した場合、抗がん剤による化学療法を行うのが一般的です。
抗がん剤は体への負担が大きく、吐き気・頭痛・食欲不振・めまいなどの副作用が出やすいため、初めての抗がん剤治療は入院し医師の管理の下で受けることをおすすめします。

手術ができない場合もあるのでしょうか?

十二指腸がんの病変を手術では完全に切除しきれないと医師が判断した場合や、癌が進行し他の器官に転移している場合は手術できません。体への負担が大きい手術をしても治療効果を望めないため、手術をしないのです。
手術を患者や家族が強く望めば切除できる部分だけを手術で切除するという選択もありますが、多くの場合は手術ではなく抗がん剤による化学療法を薦められるのが一般的です。

十二指腸がんの合併症を教えてください。

十二指腸がんの手術から数年後に発症する可能性がある合併症には糖尿病と脂肪肝があります。十二指腸がんの手術では十二指腸と一緒に膵臓や肝臓の一部を切除するケースがあり、膵臓を切除すると糖尿病に、肝臓を切除すると脂肪肝になりやすくなります。
これらの合併症の予防には生活面での注意が必要なため、退院前や通院中に主治医から注意点をよく聞いておきましょう。また十二指腸がんは手術後に合併症の発症率が高い病気です。
手術から数週間以内に発生しやすい主な合併症には、膵液漏・腹腔内膿漏・腹腔内出血・胆管炎・創感染・胃内容排出遅延などがあげられます。これらの合併症には手術後の経過を見ながら適時治療を行うのが一般的です。

編集部まとめ

看護師
十二指腸がんは自覚症状があまりなく、貧血や腹痛など体の異変を自覚したときにはステージが進んでいるケースが少なくない病気です。

ある研究で5年生存率が30パーセント・平均生存期間が19か月となったのはステージが進んでいたことも影響しているのでしょう。

十二指腸がんは希少がんであるため正確な統計を示す臨床データがありません。まだまだ謎が多い癌ですが、やはり早期発見が寛解のポイントです

年に1度の定期健診で早い段階で病気を見つけてくださいね。

この記事の監修医師