「十二指腸がん」の初期症状・末期症状はご存知ですか?【医師監修】
十二指腸がんは自覚できる初期症状がほぼ出ないため早期発見が難しいとされています。
また十二指腸がんを含む小腸のがんは、消化器系の癌の中でも5パーセント以下のめずらしい癌です。
一般的にあまり知られていない癌のため、十二指腸がんを疑われたりステージが進んでいると言われたりした方は非常に不安な思いをしているのではないでしょうか。
原因や症状について知っておきたい項目を詳しく解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「十二指腸がん」を疑う症状・原因はご存知ですか?ステージについても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
十二指腸がんの症状と原因
十二指腸がんはどのような病気ですか?
十二指腸がんを含む小腸腺がんの発生率は全ての悪性腫瘍のうちの0.5パーセント以下であり、全ての消化器系の悪性腫瘍のうちでも5パーセント以下といわれ希少がんのひとつに数えられます。小腸に発生するがんは重篤な状態になるまで自覚症状が少ないのが特徴で、十二指腸がんもステージⅣになるまで自覚症状がほとんどありません。
また通常の内視鏡検査では十二指腸の状態が見えにくいため発見が遅れ、ステージが進んで貧血や腹痛を起こすようになってしまってから発見される場合が多いのが特徴です。
主な症状・末期症状を教えてください。
十二指腸がんが進行して腫瘍が大きくなり十二指腸をふさいでしまうと貧血を起こしたり腹痛や腸閉塞を起こしたりします。またお腹が張っている感じや吐き気・食欲不振・体重減少などの症状もありますが、これらの症状は一般的な「何かお腹の調子が悪い感じ」と似ているため見過ごされがちです。
がんは一般的に亡くなる2~3カ月前までは日常生活を比較的支障なく送ることができる病気です。十二指腸がんの末期も同様で比較的穏やかに日常生活を送ることができますが患部の痛みがあるでしょう。やがて倦怠感が強まり食べられなくなります。衰弱が始まり、意識が朦朧とした状態が続き死に至ります。
十二指腸がんを疑うべき初期症状はありますか?
希少がんであるだけに、データも少なく早期発見が難しいのが十二指腸がんです。しかし通常の胃がん健診などの内視鏡検査でも、内視鏡専門医が拡大内視鏡や特殊光内視鏡を用いることで、十二指腸がんを初期段階で発見できるケースも増えてきました。
自覚できる初期症状がないからこそ、定期的な健診が大切です。
発症する原因を教えてください。
しかし因果関係は特定されていませんが、以下の疾患を持つ方が十二指腸がんになるリスクが高いことが分かっています。
- クローン病(自己免疫疾患)
- 潰瘍性大腸炎(自己免疫疾患)
- ポイツイエガース症候群(遺伝性疾患)
- リンチ症候群(遺伝性疾患)
また、ご家族に大腸腺種症の方がいる場合も十二指腸がんの発生率が高いとされています。
編集部まとめ
十二指腸がんは自覚症状があまりなく、貧血や腹痛など体の異変を自覚したときにはステージが進んでいるケースが少なくない病気です。
ある研究で5年生存率が30パーセント・平均生存期間が19か月となったのはステージが進んでいたことも影響しているのでしょう。
十二指腸がんは希少がんであるため正確な統計を示す臨床データがありません。まだまだ謎が多い癌ですが、やはり早期発見が寛解のポイントです。
年に1度の定期健診で早い段階で病気を見つけてくださいね。