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「血餅」がとれてドライソケットになるとどんなリスクがある?【医師監修】

 公開日:2025/01/26

血餅(けっぺい)をご存じでしょうか?血餅とは、抜歯後にできるかさぶたのようなものです。

血餅は歯茎の自然治癒機能により起こる現象で、放っておいても問題ありません。しかし、血餅が剥がれると「ドライソケット」という状態になり、痛みが出ます。

抜歯を経験したことがない方の多くは、これらの用語について馴染みがないほか、抜歯後のケアなどについて不安に思うかもしれません。

そこでこの記事では、抜歯後の血餅について、その特徴・注意点・取れるまでの時間などを解説します。

抜歯を予定している方は是非とも最後まで読んでいただき、適切なケアの参考になれば幸いです。

※この記事はMedical DOCにて『「血餅(けっぺい)」をご存知ですか?取れた場合や白くなる原因も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

酒向 誠

監修歯科医師
酒向 誠(酒向歯科口腔外科クリニック)

血餅(けっぺい)とドライソケット

頬を押さえる女性

血餅(けっぺい)を取ってしまうとドライソケットになると聞きましたが…。

血餅が取れて窪みが露出している状態をドライソケットといいます。
抜歯後2〜3日の血餅は形成過程にあるため取れやすいです。このタイミングで強い歯ブラシ・うがいなどを行うと血餅が取れてしまう可能性があります。そのため抜歯直後の口内は特に慎重なケアをしましょう。
なお、ドライソケットを治すには抗生物質を服用し、血餅の再形成によって自然治癒するまで待つ必要があります。それでも血餅がうまく再形成されない場合は、意図的に出血させ、血餅を形成する処置を行います。
血餅を人為的に形成するには、歯科医師による処置を再度行わなければなりません。そのため、血餅の形成時期はなるべく剥がれないようにケアするのが望ましいといえます。

ドライソケットにはどのようなリスクがありますか?

先述したとおり、血餅の役割は抜歯後の患部に細菌が入らないように保護することです。しかしドライソケットになると細菌が入り、炎症を起こしてしまう可能性があります。炎症を起こすと2週間程度続く場合があるでしょう。
また、ドライソケットは口臭の原因にもなります。細菌が患部に入って炎症を起こすと、化膿するおそれがあるからです。
なお、ドライソケットの膿には「メチルメルカプタン」という物質が含まれており、歯垢などによる口臭よりも強い悪臭を放つ傾向があります。生ゴミのような独特な異臭なので、自分自身はおろか、周りの方へも不快感を与えることになりかねません。

血餅(けっぺい)が取れたとき、歯科へ行くべき症状を教えてください。

血餅が取れた場合、痛みや出血が続かなければ問題ないのですが、多くの場合は先述したように炎症を起こす可能性があります。炎症がひどくなると膿が出てくることがあります。その場合は歯科医師によって膿を取り除く必要があるほか、抗生物質を服用して安静にすることが大切です。
特に喫煙者がドライソケットになると、炎症・化膿が起こりやすい傾向があります。タバコにはニコチンなどの有害物質が含まれており、傷の治りを遅くする働きがあるからです。抜歯直後は喫煙を控えましょう。

編集部まとめ

笑顔の女性
この記事では抜歯後にできる血餅について、その特徴・注意点・取れるまでの時間などについて解説しました。

また、歯科医師に相談すべき症状についても詳しく解説しました。

血餅は抜歯後に自然に起こる症状で、歯茎の治癒には不可欠な存在です。そのため、無理に剥がそうとするのではなく、取れないように細心の注意を払いましょう。

抜歯後の症状には馴染みが薄い方も多く、ドライソケットになる方は一定数存在します。少しでも判断に困ることがあれば、遠慮せずに歯科医師へ相談しましょう。

歯茎の自然治癒が適切かつ早期に完了すれば、その後の矯正など、各種治療をスムーズに進められます。

この記事の監修歯科医師